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2章 地下街の秘密基地
10話 姫巫女属性
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「あっ・・・」
パターン黒を、追いかけようとしていたあるじが、悲しい声をあげた。
「ドアが開かない・・・」
あるじが、パン屋の自動ドアの前に立っているにも関わらず、自動ドアはピクリともしない。
僕が、自動ドアの前に立つと、当然の様にドアは開いた。
もしかすると、あるじは幻覚、または霊的な存在なのではないかと、一瞬、思ってしまった。
今現在、僕は記憶喪失中なわけだし・・
何らかのショックで幻覚を見ているのかも・・・
そう言えば、現実的に考えて、おかしな事ばかりだ。
だって、僕が誘拐犯グループだなんて、それも憲兵隊本部長の娘を誘拐するなんて、現実的に考えて、ありえないだろう。
さらに秘密結社だって?
都市伝説でしょう、それ・・
そして、目の前に儚い幸薄美少女・・・
幻覚か夢幻か、もしくはこの世の者ではないか・・・
彼女は、それを思わせるだけの美しい容姿だ。
僕は、そっとあるじの肩に触れてみた。
「ん?何、家臣くん」
「もしかすると、あるじは存在しないのかと思って、確認してみました」
「私は存在するよ~」
地下街のパン屋の前で、あるじは悲しげな声で言った。
「もう」とすねた後、あるじは、悲しげな表情のまま、パターン黒の後を追って歩き出した。
「すいません」
僕は小声で謝ると、あるじの後を追った。
パターン黒は、階段を昇り地上に向かった。
僕らは、通勤や通学を急ぐ人々を避けながら、走った。
階段を急いで上がると、パターン黒は公園に入って行くのが見えた。
僕らは距離を取りながら、尾行を続けた。
ジョギングコースを揃えた大きな池がある公園では、早朝のランナーや、バレー部の高校生たちが朝練をしていた。
今の僕には、朝の陽ざしがとても眩しかった。
パターン黒も、このさわやかな朝は、不似合いならしく、ちょっと目立っていた。
爽やかな朝の空を、鳥たちが囀りながら飛んでいた。
それは、爽やかではあるのだが、僕はピンと来た。
運のない幸薄少女と居て覚醒を、始めているのかも知れない。
あるじの腕を引き寄せ、襲撃してくる鳥の糞からあるじを守った。
あるじは、僕を信頼してくれているのか、僕の動きに身体を委ねてくれた。
僕なんかを、信頼してくれてるなんて、ありがたきしあわせだ。
しかし!
僕は能力の限界を、思い知らされる出来事が起こった。
僕が、一難去った事で油断したのだ。
「すいませ~ん」
その声と同時に、白いバレーボールが、曲線を描きながら、あるじの頭に当たった。
それだけなら、大した悲劇ではなかった。
バレーボールは、あるじの頭をバウンドして、ちょうど横を通ったОLさんが運転する自転車の籠にスポッと収まったのだ。
どれだけの確率でそのような事が起こるだろうか?
「おぉー」
通りすがりの人々が感嘆の声を上げた。
「すいませんでした」
走ってきたバレー部の女子部員が謝った。
注目を集め顔を赤らめたあるじは、ちょっとだけ会釈をして、逃げるように足を速めた。
僕は、これが姫巫女属性なのだと確信した。
あるじの周辺では、あるじの意思に関わらず、そして、良い悪いに関わらず奇跡が起こるのだ。
その姫巫女属性が、武者倶楽部を名乗る秘密結社に取って、かなり貴重な存在なのだろう。
そんな貴重な存在を、身元不明な僕と2人きりにする事はないだろう。
どこかで見張っているはずだ。でも、今は確認する余裕はない。
僕は、僕のあるじを追った。
「すいません、僕の不注意で」
「うん、大丈夫」
あるじは、答えた。
つづく
パターン黒を、追いかけようとしていたあるじが、悲しい声をあげた。
「ドアが開かない・・・」
あるじが、パン屋の自動ドアの前に立っているにも関わらず、自動ドアはピクリともしない。
僕が、自動ドアの前に立つと、当然の様にドアは開いた。
もしかすると、あるじは幻覚、または霊的な存在なのではないかと、一瞬、思ってしまった。
今現在、僕は記憶喪失中なわけだし・・
何らかのショックで幻覚を見ているのかも・・・
そう言えば、現実的に考えて、おかしな事ばかりだ。
だって、僕が誘拐犯グループだなんて、それも憲兵隊本部長の娘を誘拐するなんて、現実的に考えて、ありえないだろう。
さらに秘密結社だって?
都市伝説でしょう、それ・・
そして、目の前に儚い幸薄美少女・・・
幻覚か夢幻か、もしくはこの世の者ではないか・・・
彼女は、それを思わせるだけの美しい容姿だ。
僕は、そっとあるじの肩に触れてみた。
「ん?何、家臣くん」
「もしかすると、あるじは存在しないのかと思って、確認してみました」
「私は存在するよ~」
地下街のパン屋の前で、あるじは悲しげな声で言った。
「もう」とすねた後、あるじは、悲しげな表情のまま、パターン黒の後を追って歩き出した。
「すいません」
僕は小声で謝ると、あるじの後を追った。
パターン黒は、階段を昇り地上に向かった。
僕らは、通勤や通学を急ぐ人々を避けながら、走った。
階段を急いで上がると、パターン黒は公園に入って行くのが見えた。
僕らは距離を取りながら、尾行を続けた。
ジョギングコースを揃えた大きな池がある公園では、早朝のランナーや、バレー部の高校生たちが朝練をしていた。
今の僕には、朝の陽ざしがとても眩しかった。
パターン黒も、このさわやかな朝は、不似合いならしく、ちょっと目立っていた。
爽やかな朝の空を、鳥たちが囀りながら飛んでいた。
それは、爽やかではあるのだが、僕はピンと来た。
運のない幸薄少女と居て覚醒を、始めているのかも知れない。
あるじの腕を引き寄せ、襲撃してくる鳥の糞からあるじを守った。
あるじは、僕を信頼してくれているのか、僕の動きに身体を委ねてくれた。
僕なんかを、信頼してくれてるなんて、ありがたきしあわせだ。
しかし!
僕は能力の限界を、思い知らされる出来事が起こった。
僕が、一難去った事で油断したのだ。
「すいませ~ん」
その声と同時に、白いバレーボールが、曲線を描きながら、あるじの頭に当たった。
それだけなら、大した悲劇ではなかった。
バレーボールは、あるじの頭をバウンドして、ちょうど横を通ったОLさんが運転する自転車の籠にスポッと収まったのだ。
どれだけの確率でそのような事が起こるだろうか?
「おぉー」
通りすがりの人々が感嘆の声を上げた。
「すいませんでした」
走ってきたバレー部の女子部員が謝った。
注目を集め顔を赤らめたあるじは、ちょっとだけ会釈をして、逃げるように足を速めた。
僕は、これが姫巫女属性なのだと確信した。
あるじの周辺では、あるじの意思に関わらず、そして、良い悪いに関わらず奇跡が起こるのだ。
その姫巫女属性が、武者倶楽部を名乗る秘密結社に取って、かなり貴重な存在なのだろう。
そんな貴重な存在を、身元不明な僕と2人きりにする事はないだろう。
どこかで見張っているはずだ。でも、今は確認する余裕はない。
僕は、僕のあるじを追った。
「すいません、僕の不注意で」
「うん、大丈夫」
あるじは、答えた。
つづく
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