破滅の王子と武者倶楽部 美少女は秘密結社のエージェント♪

健野屋文乃(たけのやふみの)

文字の大きさ
30 / 40
3章 我が忠実なる家臣団

10話 捨て駒の愛人・・・

しおりを挟む
色々考えていると、心に不安が満ちてきた。
パニックルームの亡命貴族の部屋の様な雰囲気が、さらに不安をかき立てた。

「もしかして・・・」

僕は、万が一に備えて、出入り口のドアが開くのか調べてみた。
鍵が掛かっていて、中からは開けることは出来ない。

完全な密室だ。
今まで、閉じ込められている事を、調べなかった自分の安直さを呪った。

映画見放題だぁ!ゲームし放題だぁ!引きこもりし放題だぁ!
と喜んでいる場合ではなかったのだ。


例えば、その光学迷彩とやらを着た透明人間が、僕を殺しに来たとしても、僕には防ぎようがない。

いや、わざわざそんな手間を掛けなくても、毒を盛るのは簡単だ。

「それならそれで良いや・・・どうせ僕は捨て駒だ」

誘拐の主犯にしたてて、その罪をすべて着せて、自殺に見せかけて殺されてしまう程度の、ただの捨て駒。

そして、それを由良穂香が容認もしくは、望んだのであれば、受け入れよう。

「・・価値のない人間が一人消えたとしても、誰も騒がない。命の大切さを訴えたとしても、それが現実だ」

そう言えば、さっきサンドイッチを一口食べた時、ちょっとだけ違和感を感じた。
普通ではない何か・・・僕の常識の範疇を超えた何か。

僕は一口だけ食べられているサンドイッチを凝視した。

一口では、致死量に達しなかったのか?
それとも毒の塗られていないところを食べただけなのか?

「ふっ」
僕はなぜか笑った。
別に死に急ごうって訳ではない。
捨て駒なら捨て駒らしく、捨てられて死ぬのも悪くはない。
由良穂香に捨てられるのなら、訳の解らない犯行グループに捨てられるより、ちょっとはマシだ。

僕はじっと見つめた後、ラマンさんから届けられたハムチーズサンドを食べ、紅茶を飲んだ。

口の中で、違和感がないか探った。
違和感はあった。

やっぱし・・・

2皿のサンドイッチを2杯の紅茶でお腹に流し込んだ。

「・・・・」

僕は亡命貴族の部屋を見渡した。
実に芝居じみた部屋だ。


そして呟いた。
「実に美味しサンドイッチだ」

僕は理解した。
良いもの過ぎるサンドイッチは、僕の口には違和感としか感じなかったことを!
僕の身体の細胞のすべてが踊り狂っているようだ!

「ふふ、穂香ちゃん&ラマンさん大好き♪」

うん、さて本題のラマンさんからの課題をしよう。

【光学迷彩を使った妄想を書け!】

とりあえず僕が守るべき秘密は、由良穂香がお漏らしをしたって事だけだろう。
それは厳守だ。
 
しかし、ラマンさんって何者だろう?
愛人・・・だれかの愛人なのだろうか?
「あなたのラマン」と手紙には書いてあった。

僕の愛人なのか?

捨て駒の愛人・・・

悲哀は感じるが、それはあり得ないだろう。
少なくとも由良穂香の所属する秘密結社の秘密の中枢に居そうな存在だ。

そんな人が、ただの捨て駒の愛人だなんて・・・

さらに愛人なら、僕には妻がいるはずだ。
僕の年齢は20前後?
完全に否定は出来ないが、妻がいる可能性は低いだろう。

しかし、妄想を書けと言われてもね。そんな変態じゃないし・・・


僕がビリヤードの球を打つと、心地よい音を立てた。

その音で僕は閃いてしまった!正しいか間違っているかは問題ではない!

ラマンさんは、由良穂香の愛人だと!

秘密結社の大切な姫巫女候補生に手を出してしまった禁断の恋!

僕は原稿用紙に思いつく妄想を急いで書きこんだ。
光学迷彩を着た僕が、由良穂香とラマンさんの密会の情事を、吐息が感じるほどの目の前で目撃するシーンを!

原稿用紙に書き込むと、すぐにエレベーターに放り込み、→ ←のボタンを押した。

その数秒後、僕は激しく後悔した。

「やってもうた」

もう僕に原稿用紙を取り戻す術はない。

そして、もし本当に禁断の恋だったら・・・多分、このまま抹殺される。


つづく


秘密結社な小説への御来訪、ありがとうございます。 [壁]‥) チラッ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

明治かんなぎ少女の冥契 五百年の時を超えて、あなたに愛を

花籠しずく
キャラ文芸
 ――ですが、わたくしは生まれました。あなたに会うために。  月のものが来るようになってから、琥珀は不思議な夢を見る。誰かに探されている夢。きっと大切な人だったことは分かるのに、目が覚めると朧気で何も思い出せない。婚約者である志貴の言いなりの人形になる生活をし、生家とは会うと脅され、心が疲弊していたある日、家からひとり抜け出すと、妖魔のようなものに出会う。呪術師である志貴に、一時祓ってもらいはしたが、不思議と心が痛む。夢に美しい男が現れ、声に導かれるようにして、ある山のふもとの、廃れた神社の中に入ると、そこには苦しそうに蹲るあの妖魔がいた。琥珀はそれが夢に現れた、蘿月という男だと直感する。全身が黒い靄で包まれた彼の、靄を払う方法を、どうしてか琥珀は知っていた。口づけをし、息を吹き込むように、生きて、と願った。  帰ってすぐに志貴に殴られ、月のものがはじまっていたことが志貴にばれる。琥珀を穢そうとする志貴の様子に恐ろしさを覚えて、助けてと叫んだその瞬間、闇を裂くようにして、蘿月が現れた。 「琥珀は、俺が五百年待ち望んだ花嫁だ」  これは、時を超えて紡がれる愛の物語。そして虐げられた少女が、愛を知り、愛のために生きる自由を選ぶ物語。 ※R-15っぽいゆるい性描写があります。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

後宮なりきり夫婦録

石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」 「はあ……?」 雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。 あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。 空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。 かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。 影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。 サイトより転載になります。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...