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1章 妖精のお姫様
第9話 そこに私がいた。
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「魂のままで、勝手に出歩くのは危険、
早く戻って来て・・・。」
その透き通った声は、深夜の渡り廊下に、
風の様に響き渡った。
多分、さっきの妖精の姫さまの声だ。
「魂のままで?」
「リコンハキケン」
「離婚は危険?」
「そう離婚は危険、子どもたちの事も考えて、
一時の衝動で決断する事じゃないわ、・・・って違うわ!
なんで生娘のあなたが離婚なんてできるのよ!
離魂・・肉体から魂が離れている状態」
「魂が離れてる状態?」
気持ちの良い風が吹く、旅館の渡り廊下で、
思惟は立ち止まり、自分の状態を確認した。
そう言えば、身体が軽い。
そして、さっきまであった疲労感が全くない。
別館の方から、バスタオルを巻いただけの、
会璃(あいり)が、慌てて駆けつけて来た。
「あの・・・いくら深夜だからって、
そんな恰好で旅館をうろつくのは、ちょっと・・・」
その声が、実際に出たのか出ていないのか、
解らないような声で、思惟は呟いた。
会璃は、自身の身体を覆っているバスタオルで、
まるで虫を捕まえるかのように、思惟の身体を覆った。
すると思惟の記憶が、ふっと飛んだ。
気が付くと女将の間、目の前には大きな会璃と騰子。
そして、大きな思惟が、会璃と騰子に支えられて、
立ち尽くしていた。
「あれ、私ちょっと太ったかな?きっとストレスの性だわ
私って食べて、ストレス解消しようとするのよね~
・・・って言ってる場合じゃない!」
大きな思惟とは別の、小さな思惟はテーブルの上に立って、
目を閉じた大きな思惟を見上げていた。
小さな方の思惟の隣では、思惟と同サイズの、
妖精のお姫さまが、慈愛に満ちた目で優しく微笑んでいた。
「えっ?」
小さな方の思惟は、何が起こったのか考えを巡らせた。
「あれ、やばい・・・・もしかして私、死んだの?」
「・・・・」
「お願い、何か言ってよ!こんなのって!」
「・・・あたしも最善は尽くしたけど・・・」
妖精の姫さまは、哀れみに満ちた表情を浮かべた。
「そんな!何で私が死ななきゃならないの?全然意味が解らない!」
「その意味は、あなた自身が良く知っているはずよ」
「えっ?」
思惟は、じっと考えたが、何も思い当たる節は無かった。
ちょっと疲れてたけど、至って健康だった・・・はず。
「わかんない・・・わかんないよ!何でよ!
まだいっぱいやりたい事があったのに!
いっぱいいっぱい恋もしたかったのに!」
妖精の姫さまは、思惟を優しく抱きしめ、
思惟は妖精の姫さまの胸で号泣した。
「いやあああ、まだ生きていたい!」
「姫さま、もうその位で・・・・」
大きな会璃は、小さな姫さまに諫言した。
姫さまは、ニヤっとすると
「ごめん、思惟ちゃん、あなた死んでないわ」
「えっ?」
「あなたの今の状態は、魂への諸々の干渉を避けるために、
魂を固形化した状態。」
「元に戻れるの?」
「戻りたい?」
「うん・・・」
姫さまは、自分のマントを脱いで、全裸で号泣する思惟を覆った。
「ありがと、姫さま」
「でもその前に、ジョショウとして、私を助けてほしいの」
「ジョショウ?あっ、女将(おかみ)のことね。でも私まだ見習いだよ。」
「女将の間にはジョショウしか、住めないと聞いている」
「うん、継母に勧められて私が女将になったんだけど、
でも実際に、旅館を仕切ってるのは継母なの・・・」
「見習いか・・・」
姫さまは、困惑して上を見上げた。
見上げる先には、大きな会璃(あいり)と騰子(とーこ)がいた。
大きいと言っても、思惟が小さくなっただけで、
二人のサイズは普通の人間サイズだ。
会璃と騰子は、意識を失っている大きな思惟を支えていた。
意識を失ってる思惟は、なんかめっちゃアホぽい顔をしていた。
鏡では見慣れているけど、
第3者的に見ると、こんな感じなのだろうか?
予想以上にアホぽくて、ちょっとショックだ。
「見習いだけど、女将のおばあちゃんを近くで、
ずっと見て来たから・・・
私に出来る事だったら、頼まれても良いよ」
思惟が、そう言うと、妖精のお姫さまは、嬉しそうに微笑んだ。
「良かった。じゃあ一緒に来てくれる?」
「えっ、どこに行くの?」
「行ってからの、お・た・の・し・み♪」
姫さまは思惟を、
黄金の甲冑武者の胸部コックピットへと、誘った。
つづく
早く戻って来て・・・。」
その透き通った声は、深夜の渡り廊下に、
風の様に響き渡った。
多分、さっきの妖精の姫さまの声だ。
「魂のままで?」
「リコンハキケン」
「離婚は危険?」
「そう離婚は危険、子どもたちの事も考えて、
一時の衝動で決断する事じゃないわ、・・・って違うわ!
なんで生娘のあなたが離婚なんてできるのよ!
離魂・・肉体から魂が離れている状態」
「魂が離れてる状態?」
気持ちの良い風が吹く、旅館の渡り廊下で、
思惟は立ち止まり、自分の状態を確認した。
そう言えば、身体が軽い。
そして、さっきまであった疲労感が全くない。
別館の方から、バスタオルを巻いただけの、
会璃(あいり)が、慌てて駆けつけて来た。
「あの・・・いくら深夜だからって、
そんな恰好で旅館をうろつくのは、ちょっと・・・」
その声が、実際に出たのか出ていないのか、
解らないような声で、思惟は呟いた。
会璃は、自身の身体を覆っているバスタオルで、
まるで虫を捕まえるかのように、思惟の身体を覆った。
すると思惟の記憶が、ふっと飛んだ。
気が付くと女将の間、目の前には大きな会璃と騰子。
そして、大きな思惟が、会璃と騰子に支えられて、
立ち尽くしていた。
「あれ、私ちょっと太ったかな?きっとストレスの性だわ
私って食べて、ストレス解消しようとするのよね~
・・・って言ってる場合じゃない!」
大きな思惟とは別の、小さな思惟はテーブルの上に立って、
目を閉じた大きな思惟を見上げていた。
小さな方の思惟の隣では、思惟と同サイズの、
妖精のお姫さまが、慈愛に満ちた目で優しく微笑んでいた。
「えっ?」
小さな方の思惟は、何が起こったのか考えを巡らせた。
「あれ、やばい・・・・もしかして私、死んだの?」
「・・・・」
「お願い、何か言ってよ!こんなのって!」
「・・・あたしも最善は尽くしたけど・・・」
妖精の姫さまは、哀れみに満ちた表情を浮かべた。
「そんな!何で私が死ななきゃならないの?全然意味が解らない!」
「その意味は、あなた自身が良く知っているはずよ」
「えっ?」
思惟は、じっと考えたが、何も思い当たる節は無かった。
ちょっと疲れてたけど、至って健康だった・・・はず。
「わかんない・・・わかんないよ!何でよ!
まだいっぱいやりたい事があったのに!
いっぱいいっぱい恋もしたかったのに!」
妖精の姫さまは、思惟を優しく抱きしめ、
思惟は妖精の姫さまの胸で号泣した。
「いやあああ、まだ生きていたい!」
「姫さま、もうその位で・・・・」
大きな会璃は、小さな姫さまに諫言した。
姫さまは、ニヤっとすると
「ごめん、思惟ちゃん、あなた死んでないわ」
「えっ?」
「あなたの今の状態は、魂への諸々の干渉を避けるために、
魂を固形化した状態。」
「元に戻れるの?」
「戻りたい?」
「うん・・・」
姫さまは、自分のマントを脱いで、全裸で号泣する思惟を覆った。
「ありがと、姫さま」
「でもその前に、ジョショウとして、私を助けてほしいの」
「ジョショウ?あっ、女将(おかみ)のことね。でも私まだ見習いだよ。」
「女将の間にはジョショウしか、住めないと聞いている」
「うん、継母に勧められて私が女将になったんだけど、
でも実際に、旅館を仕切ってるのは継母なの・・・」
「見習いか・・・」
姫さまは、困惑して上を見上げた。
見上げる先には、大きな会璃(あいり)と騰子(とーこ)がいた。
大きいと言っても、思惟が小さくなっただけで、
二人のサイズは普通の人間サイズだ。
会璃と騰子は、意識を失っている大きな思惟を支えていた。
意識を失ってる思惟は、なんかめっちゃアホぽい顔をしていた。
鏡では見慣れているけど、
第3者的に見ると、こんな感じなのだろうか?
予想以上にアホぽくて、ちょっとショックだ。
「見習いだけど、女将のおばあちゃんを近くで、
ずっと見て来たから・・・
私に出来る事だったら、頼まれても良いよ」
思惟が、そう言うと、妖精のお姫さまは、嬉しそうに微笑んだ。
「良かった。じゃあ一緒に来てくれる?」
「えっ、どこに行くの?」
「行ってからの、お・た・の・し・み♪」
姫さまは思惟を、
黄金の甲冑武者の胸部コックピットへと、誘った。
つづく
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