『数億光年離れた遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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8章 5000年前からの贈り物

14話 機械猫は、だいたい適当に生きている。

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シュガーコート177には、オプションとして靴がローラーシューズの様になっていて、そのローラーが自動で回り、直立不動のまま動ける設定だ。


なぜそんなオプションを、メーカーは付けたのかは不明だが、無料オプションだったから、機械猫たちはそんなに気にしなかった。


でも直立不動で動く人型アンドロイドを実際に見ると、

「それカッコいいか?」と機械猫のあゆみ&バイカルは、思ってはいたが、砂糖さんはかなりお気に入りな様子なので、言うのも憚れた。


前に「スケートの様にして滑ればカッコいいよ」と言ったら、制御不能になったので、それ以降、機械猫たちは沈黙した。

多分、オプションとしてローラーはついているが、それを制御するソフトが入ってないのだろう。まあ安物だから仕方ない。



路地裏に入ると、あゆみ&バイカルは、砂糖さんを残し、マンホールを開け中に入った。マンホールの中は、配線が大量に設置されていた。


地上の砂糖さんが、マンホールの蓋をしめると、完全な暗闇に包まれた。


あゆみ&バイカルは、この時を待っていた!

10億を超える価格の機械猫の機体には、当然の如く赤外線暗視装置がついていた。


あゆみ&バイカルは、お互いのにやけた顔を見合った。

「俺らってイケてる?」

「もちろん!」

あゆみの問いにバイカルは即答した。

しかし興奮してしまったのだろう、バイカルの声が大きすぎて、トンネル内で響いてしまった。元が白虎だから仕方ない。


二匹の機械猫は、静まるまでトンネル内を見続けた。

誰も来ない。


「行こう」とあゆみは、指で合図した。


5分くらい歩くと、穴の奥から、誰かが近づいてくるのが解った。

懐中電灯の光と共に近づいてくる。

管理アンドロイドだろう。


高性能な聴覚を持つあゆみ&バイカルは、相手に発見される前に、狭い横道に隠れた。


「あれ?砂糖さんと同型のシュガーコート177じゃなかった?」


『消せない安物感出てたな(推定)』

バイカルは、ほぼ無音でしゃべった。

さっき大声出したから反省したのか?

(推定)は、「バイカルは多分そう言っているであろう」と、あゆみが思っている言葉だ。


「普通に歩いてたよね」

『だね(推定)』

「きっと無料オプションついてないんだね」

『無料なのにもったいないわな(推定)』


砂糖さんと同じように、低性能な管理アンドロイドは、気づくことなく通り過ぎた。

この穴の中でも場所によっては高性能な管理アンドロイドがいるらしいが、今回はセーフだ。


さらにトンネルを歩いて行くと、小さな横穴が合った。

大型の白虎アンドロイドのバイカルには、ちょっと窮屈だが、何とか通れる横穴だ。


「バイカル、イケる?」

『大丈夫だ(推定)』


まあ前も来た事があるトンネルだし。


横穴を進むと、「うぃぃぃぃん」配線穴の奥から音が近づいてきた。

横穴用清掃&管理ロボットだろう。

こちらは人型ではなく、小さな車の様な形だ。


あゆみ&バイカルは、隠し扉を開け、隠し部屋に隠れた。

そんな秘密めいた隠し扉ではないのだが、未だ疑われた事がない。

清掃&管理ロボットの性能が低すぎるのだろう。


管理ロボットが去り、さらに横穴を進むと、その部屋はあった。

機械の猫たちの秘密基地だ。


秘密基地!


に興奮したバイカルが、今にも雄叫びを上げそうな表情をした。

あゆみは慌ててバイカルの口を塞いだ。


「君は馬鹿なの?」

『いや虎です(推定)』

「いや動物の種類を聞いてる訳じゃなくてね」


「えっ?動物の種類?何の事だ?」


どうやら、あゆみの推定が間違いだったらしい。


「深い意味はないよ」

「そうか」


機械猫は、だいたい適当に生きている。



つづく




機械の猫たち

【あゆみ】元人間のカラカルの機械猫。自称エースパイロット。

【バイカル】人見知りの激しい虎型アンドロイド。元々は白虎。



人型アンドロイド

【砂糖さん】機種名シュガーコート177。低価格低性能のアンドロイド。


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