透明なシュミット博士

健野屋文乃(たけのやふみの)

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1章

2話 美少女のフィールド内に取り込まれつつある。

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エマ・シュミットは言った。

「私と一緒に来て」

エマ・シュミットは、64分の1だけ金星人の血が入っている。

金星。明けの明星。愛と美の象徴ビーナス。

僕はチラッとエマシュミットの横顔を見た。
その愛と美を兼ね備えた横顔には、とても相応しい星だ。

金星人がどんな人々なのかは知らないが、僕は今、エマシュミットに誘われて、時空移動要塞の中にいる。
ドーナツ状で、球場のドームくらいの大きさの代物だ。
要するに円盤だの、UFOだのと言われるものだ。

中学の同窓生に時空移動要塞を保有している少女がいるなんて、かなりラッキーと言ってよい。

その、かなり美少女のエマシュミットが、僕の横で同じように立っている。
ちょっと風が吹けば、触れてしまう距離だ。

美少女な上に賢く、僕とはレベルの違う知能を要している。
美少女過ぎる生き物は、その美しきさゆえに、凡人の接近を阻んでいる。

学校でも、眩しく輝き、その接近阻止オーラは健在だった。

そして、今、僕の隣にいるエマ・シュミットからも、そのフィールドの様なオーラ―が絶賛展開中だ。
しかし、そのフィールドは、徐々に僕の方へと広がった。
そして僕自身は、エマ・シュミットが展開する美少女フィールド内に取り込まれつつある。
と感じている。それを証明する術はないが。

ただ僕の身体の細胞の一つ一つが、テンションマックス状態なのと、エマシュミットの表情がとても穏やかなのだけは解った。


「この要塞10兆円するんだよ」

エマ・シュミットが、10兆円と言う金額には相応しくない軽い口調で言った。

「10兆円!」

戦艦大和と戦艦武蔵と、もう一隻買えるお値段だ。

「お祖母ちゃんに買ってもらったの」

どんなお祖母ちゃんだろう。

64分の1金星人の血が入ったエマ・シュミットのお祖母ちゃんなら、きっと16分の1金星人の血が入っているに違いない。

金星人は、地球人とは桁が違う程のお金持ちなのかも知れない。金の星と書いて金星だし。

時空移動要塞の中では、ペンギンがせわしなく働いていた。

「海王星のペンギンさん。ここのスタッフだよ。
海王星のペンギンは知的生命体に進化していて、みんな優秀な船乗りさんなんだよ」

「そうなんだ」

海王星のペンギンたちに操作された時空移動要塞は、上昇を始めた。

日常を失くした地上は、真っ白な銀世界だった。
銀世界、美しい響きだがそこに人々が営む日常はなかった。


時空移動要塞が高度を上げていく度に、僕の心は締め付けられた。



つづく
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感想 1

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みんなの感想(1件)

中七七三
2019.12.14 中七七三

ツイッターから来ました。面白そうです。
一行目ですが
>児童が→児童に
ではないでしょうか。

2019.12.15 健野屋文乃(たけのやふみの)

ツイッターでは、いつもお世話になっております。\(^ ^)/
誤字のご指摘ありがとうございます。
「児童に」が正解でしたね。
一行目から間違えるとは(;^◇^;)ゝ

今後とも、よろしくお願いします。

解除

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