商人の恋人は魔王!!

雄雉@オリジナル小説

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治癒の後

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ディアボロスとの行為の翌朝
先日あんなに乱れきっていた事を微塵も感じさせず、ディアボロスはブレイブの隣で無音にも近い寝息を立てていた。

(あのディアボロスがこんなに眠っているなんて…そうとう体力の消耗が激しかったんだよな)

部屋の中には昨日までの甘い香りは落ち着いていたものの、情事後独特の湿った雰囲気はまだ部屋を包み込んでいる。
ちゅん…ちゅん…と外で小鳥がまだ眠る人間たちの事を起こすように鳴く。窓からはさわやかな日差しが部屋に差し込んで、ブレイブとディアボロスを照らしていた。
その光に照らされたディアボロスの体、鱗に覆われた身体がツヤツヤと淡く光を反射して、魔族に対してふさわしい感想かは分からなかったが素直に(神秘的だ)とブレイブは思った。
手で、ディアボロスの頬を撫でる。ピクっと震えた五つの瞼に、起こしてしまったかと瞬時に手をひっこめるが、一瞬だけ振るえただけでまたディアボロスはとても静かな寝息を立て始めた。

「もう少しこのままで居たいよなあ。こんだけ油断して…守ってやりたいなって…どうしても思うんだよな」

恋人が深く眠っている事が分かり、その寝顔にぽつりぽつりとブレイブは言葉を零す。
魔王を守りたいという叶わない願いは、静かな早朝の薄暗い部屋の中に消えて行ってしまった。
魔王の宿命、責任…その全てを受け止めて支えようと思っていたが、今までの事で自分はちっぽけな存在でしかないのだと感じさせられた。
ディアボロスの魔力を回復できても、それは自分自身の能力ではなくたまたま自分に興味をもってテリジェの力添えあってこそだ。
自分よりも遥かに強く、恐ろしい、魔王という存在なのに、ブレイブの隣にいるディアボロスの寝顔はとても、脆く柔らかに感じたのだ。

しばらくディアボロスの寝顔を眺めていると、グウ…とブレイブの腹の虫が鳴る。
なんとも空気の読めない音に、ブレイブはハア…とため息を吐いた。
そろそろディアボロスが目を覚ましてしまうかもしれない、ブレイブはベッドを抜け出し身支度をして朝食を作り始める。

じゅう…と殻を割られた卵がフライパンに落ちて焼ける音が鳴り、香ばしい匂いが立ち上がる。近所のパン屋で買った食パンを薄く切り、火の近くに置いて炙り、良い感じの焦げ目がついたところで取り出す。
目玉焼きと食パン、簡単な朝食を食べていると、ディアボロスが起き上がる姿が見える

「おはよう、ディアボロス」
『ああ。ブレイブよ、昨夜は世話になったな…すまぬ。もう大丈夫だ』
「良かった!なあ、すぐ戻るんだろ?朝食は?」
『いや、我には不要だ』
「そっか、また後で行くよ」
『ああ…では、ブレイブよ。また、後程会おう』

ス…と姿を消すディアボロスにへへ…とブレイブは笑う。
そう言えば、ベッドを新しくしてから行為をすることが無く、こんなに事後の翌朝会話をかわすことが今までに無かったのだ。
さっきまで悩んでいた姿は何処へやら、ブレイブはニヤける顔を抑えることもせず、少し冷めたトーストを頬張った。
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