63 / 92
第2章>仔羊の影踏[ゾンビ・アポカリプス]
Log.59 secret base
しおりを挟む
*
目が覚めると、そこはさっきまでいたところとあまり変わらない、暗い部屋だった。
電子機器が動く音と、激しい頭痛。黒塗りで、弾丸型の棺桶?コクーン?とでも言えばいいのだろうか。
そこの蓋が開いて、俺は久々に外の空気を吸うことが出来た。
「アキ!!」
すぐ側で、美頼がこちらを覗いていた。そして抱きついてきた。俺は元の体に戻っていた。
「ちょっ……」
「ありがとう……もしかしたら私死ぬんじゃないかって……」
意外だった。美頼は泣いていた。
それだけ怖かったのに、あんな強がっていたのか。
「だ、大丈夫だから……」
そう声をかけるので精一杯だった。
「いったー……何、何が起こってんの?てかここどこ?いや頭イッタッ!?」
隣で蓋の開く音がしたかと思えば、すぐに腑抜けた麻尋の声がした。みんな無事なようだ。
あたりを見回すが、暗すぎて何も見えない。俺らのコクーンは綺麗に並んでいて、隣にそれぞれ心電図モニターのようなものが立っている。画面を確認すると、心拍数や、時間など、今までの俺の行動が全て記録されていた。
ゲームクリア時間は、【CLEAR TIME 4/30 20:12】とある。だいぶ長い間、仮想世界に送り込まれていたみたいだ。そりゃ頭も痛くなるだろう。
ともあれ麻尋に一部始終を説明すると、
「え、まじ?そんな壮大なことがあったの?」
と、残念そうな顔をする。こいつ……人の気も知らないで。
まだ咲夜から聞いた話はしていない。こいつが俺の妹だって?にわかには信じ難い。そして優衣さんも……おそらく彼女は……。
そこまで考えた時、美頼が短い悲鳴をあげた。さっきから彼女はこの部屋を探索している。探索しているのに、出口はまだ見つかっていない。
「ミヨっち?」
「どうした?なんかあったか」
「人が……死んでる」
「はぁ?!」
驚いて声のする方へ行くと、同じような黒いコクーンがある。その中には、苦痛に歪んだ男の顔が透けて見えた。俺はそいつの名をつぶやく。
「蒲通……咲夜」
「うぇ……なんか、見てるだけで吐き気がするんだけど。この人が例の?」
麻尋の問いには、美頼が答えた。
「うん。本当に死ぬゲームだったんだね……私半分疑ってたから……」
「いや、そんなはずない。あいつ俺は嘘をついたって……致死量の電流は流せないように作ってあるとか言ってたし……」
もしかしたら気絶しているだけかもしれない。あまり気が進むものではなかったが、俺はコクーンの蓋を無理矢理開けた。でも、やはり脈はなかった。
すぐ隣に心電図モニターのようなものが立っていた。それを眺めていた麻尋が、何かに気づき声を上げた。
「あれ?秋山。この人とはさっきまで話してたんだよね?」
秋山呼びの謎の安心感。じゃなくて、なんだ?どういう意味だ。
「そうだけど……なんで?」
「だとしたらおかしいよ。この人、30分以上前に死んでるもん」
麻尋の発言に、俺は耳を疑った。
彼女が今見ていたモニターには、【TIME OF DEATH 4/30 19:20】と表示されている。これが本当であれば、明らかに時間が合わない。俺がクリアした時間、つまり目を覚ました時間から50分は前に、もう咲夜は死んでいたことになる。
俺が話していた相手は、一体誰だったのか。ということになるのだ。
「もしかして優衣さんみたいに、この人も電子化したみたいな?」
美頼が面白いことを言う。確かに、死んでからも仮想世界で生き続けるという展開はあってもおかしくない。こんなゾンビだらけのVRMMOを発明して、しかもデスゲームを主催する人だ。だが……
「いや、そう思うとあれ、咲夜じゃなかったな」
「どういうこと?」
「喋り方がおかしかった。俺と美頼が戦ってた時は、ネトネトした気持ち悪い喋り方だっただろ?それが倒してからは普通に喋ってたんだ。見た目が同じだったからそんなに疑わなかったけど、俺と美頼が入れ替わって気づかれなかったんだ。あいつの体に違う人が入っても分かるわけがない。国のデータベースにハッキングが可能なら、協力者かなんかがこのゲーム内でのユーザーを入れ替えるのも簡単なんじゃないか?」
じゃあ一体、あいつは誰だったんだ……?
あいつが言ったことは、どこまでが本当なんだ……??
「た、確かにそうかも……」
美頼が腕を組んでそれっぽく考え込んでいる。その横で、麻尋が壁に寄りかかっている。その瞬間何かが外れる音がして、壁がくるりと回った。
ダイナミックに転ぶ麻尋さん。そこに巻き込まれて一緒に転ぶ美頼さん。
「うぎゃ」
うぎゃじゃねぇ。
「いってて……隠し扉だったのね。そりゃあ、見つかるわけないわ」
「マヒロンよくやった!」
すぐそこに、月明かりが見えた。窓がある。バルコニーもある。
しばらくぶりの外の景色に、胸が高まる。
「こっちにウチらの携帯とかあるわ」
「というか、普通に住宅街なんだけど。本当にどこだここ?」
美頼がバルコニーに出て言った。麻尋は恐らく、110番に通報している。何しろ死体が隣の部屋にあるんだからな。
「あ、アキの家だ」
俺も携帯の電源が無事について、一息ついた。
「とにかく今は外に出るべきか…………美頼お前今なんて言った?」
「アキの家が見えるって言った」
「は?」
俺は急いでバルコニーに駆け寄る。いくらなんでも俺の家にそんなに近いって……。
「……マジかよ」
歩いて5分くらいの距離に、俺の家があるのが見える。目を凝らせば俺の部屋の窓も見えるし、玄関も丸見えだ。その時、携帯で起動した地図アプリが、聞き慣れた地名を示す。
そこは始業式の日にも話に出た馴染みのある家。毎日の通学路に面している家。美頼がパンケーキ屋になるといいとかほざいてた建物。
以前は佐藤さんの八百屋だった、あの家だったのだ。
麻尋が呼んだと思われるパトカーの音が、夜の街に響いている。警察がここに来るのに、もうそんなに長くはかからないだろう。
少し呆然としながら、俺は近くに落ちていた双眼鏡に気づいた。視線を少しずらせば、部屋の中の机に、見るからに怪しい分厚い手帳が置いてある。
手帳の中身から、俺の生活が監視されていたことを知るのに、ものの10秒もかからなかった。
目が覚めると、そこはさっきまでいたところとあまり変わらない、暗い部屋だった。
電子機器が動く音と、激しい頭痛。黒塗りで、弾丸型の棺桶?コクーン?とでも言えばいいのだろうか。
そこの蓋が開いて、俺は久々に外の空気を吸うことが出来た。
「アキ!!」
すぐ側で、美頼がこちらを覗いていた。そして抱きついてきた。俺は元の体に戻っていた。
「ちょっ……」
「ありがとう……もしかしたら私死ぬんじゃないかって……」
意外だった。美頼は泣いていた。
それだけ怖かったのに、あんな強がっていたのか。
「だ、大丈夫だから……」
そう声をかけるので精一杯だった。
「いったー……何、何が起こってんの?てかここどこ?いや頭イッタッ!?」
隣で蓋の開く音がしたかと思えば、すぐに腑抜けた麻尋の声がした。みんな無事なようだ。
あたりを見回すが、暗すぎて何も見えない。俺らのコクーンは綺麗に並んでいて、隣にそれぞれ心電図モニターのようなものが立っている。画面を確認すると、心拍数や、時間など、今までの俺の行動が全て記録されていた。
ゲームクリア時間は、【CLEAR TIME 4/30 20:12】とある。だいぶ長い間、仮想世界に送り込まれていたみたいだ。そりゃ頭も痛くなるだろう。
ともあれ麻尋に一部始終を説明すると、
「え、まじ?そんな壮大なことがあったの?」
と、残念そうな顔をする。こいつ……人の気も知らないで。
まだ咲夜から聞いた話はしていない。こいつが俺の妹だって?にわかには信じ難い。そして優衣さんも……おそらく彼女は……。
そこまで考えた時、美頼が短い悲鳴をあげた。さっきから彼女はこの部屋を探索している。探索しているのに、出口はまだ見つかっていない。
「ミヨっち?」
「どうした?なんかあったか」
「人が……死んでる」
「はぁ?!」
驚いて声のする方へ行くと、同じような黒いコクーンがある。その中には、苦痛に歪んだ男の顔が透けて見えた。俺はそいつの名をつぶやく。
「蒲通……咲夜」
「うぇ……なんか、見てるだけで吐き気がするんだけど。この人が例の?」
麻尋の問いには、美頼が答えた。
「うん。本当に死ぬゲームだったんだね……私半分疑ってたから……」
「いや、そんなはずない。あいつ俺は嘘をついたって……致死量の電流は流せないように作ってあるとか言ってたし……」
もしかしたら気絶しているだけかもしれない。あまり気が進むものではなかったが、俺はコクーンの蓋を無理矢理開けた。でも、やはり脈はなかった。
すぐ隣に心電図モニターのようなものが立っていた。それを眺めていた麻尋が、何かに気づき声を上げた。
「あれ?秋山。この人とはさっきまで話してたんだよね?」
秋山呼びの謎の安心感。じゃなくて、なんだ?どういう意味だ。
「そうだけど……なんで?」
「だとしたらおかしいよ。この人、30分以上前に死んでるもん」
麻尋の発言に、俺は耳を疑った。
彼女が今見ていたモニターには、【TIME OF DEATH 4/30 19:20】と表示されている。これが本当であれば、明らかに時間が合わない。俺がクリアした時間、つまり目を覚ました時間から50分は前に、もう咲夜は死んでいたことになる。
俺が話していた相手は、一体誰だったのか。ということになるのだ。
「もしかして優衣さんみたいに、この人も電子化したみたいな?」
美頼が面白いことを言う。確かに、死んでからも仮想世界で生き続けるという展開はあってもおかしくない。こんなゾンビだらけのVRMMOを発明して、しかもデスゲームを主催する人だ。だが……
「いや、そう思うとあれ、咲夜じゃなかったな」
「どういうこと?」
「喋り方がおかしかった。俺と美頼が戦ってた時は、ネトネトした気持ち悪い喋り方だっただろ?それが倒してからは普通に喋ってたんだ。見た目が同じだったからそんなに疑わなかったけど、俺と美頼が入れ替わって気づかれなかったんだ。あいつの体に違う人が入っても分かるわけがない。国のデータベースにハッキングが可能なら、協力者かなんかがこのゲーム内でのユーザーを入れ替えるのも簡単なんじゃないか?」
じゃあ一体、あいつは誰だったんだ……?
あいつが言ったことは、どこまでが本当なんだ……??
「た、確かにそうかも……」
美頼が腕を組んでそれっぽく考え込んでいる。その横で、麻尋が壁に寄りかかっている。その瞬間何かが外れる音がして、壁がくるりと回った。
ダイナミックに転ぶ麻尋さん。そこに巻き込まれて一緒に転ぶ美頼さん。
「うぎゃ」
うぎゃじゃねぇ。
「いってて……隠し扉だったのね。そりゃあ、見つかるわけないわ」
「マヒロンよくやった!」
すぐそこに、月明かりが見えた。窓がある。バルコニーもある。
しばらくぶりの外の景色に、胸が高まる。
「こっちにウチらの携帯とかあるわ」
「というか、普通に住宅街なんだけど。本当にどこだここ?」
美頼がバルコニーに出て言った。麻尋は恐らく、110番に通報している。何しろ死体が隣の部屋にあるんだからな。
「あ、アキの家だ」
俺も携帯の電源が無事について、一息ついた。
「とにかく今は外に出るべきか…………美頼お前今なんて言った?」
「アキの家が見えるって言った」
「は?」
俺は急いでバルコニーに駆け寄る。いくらなんでも俺の家にそんなに近いって……。
「……マジかよ」
歩いて5分くらいの距離に、俺の家があるのが見える。目を凝らせば俺の部屋の窓も見えるし、玄関も丸見えだ。その時、携帯で起動した地図アプリが、聞き慣れた地名を示す。
そこは始業式の日にも話に出た馴染みのある家。毎日の通学路に面している家。美頼がパンケーキ屋になるといいとかほざいてた建物。
以前は佐藤さんの八百屋だった、あの家だったのだ。
麻尋が呼んだと思われるパトカーの音が、夜の街に響いている。警察がここに来るのに、もうそんなに長くはかからないだろう。
少し呆然としながら、俺は近くに落ちていた双眼鏡に気づいた。視線を少しずらせば、部屋の中の机に、見るからに怪しい分厚い手帳が置いてある。
手帳の中身から、俺の生活が監視されていたことを知るのに、ものの10秒もかからなかった。
0
あなたにおすすめの小説
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わり、転校してきたのは、初恋の相手だった——。
鬱々とした気分で二学期の初日を迎えた高須明希は、忘れかけていた記憶と向き合うことになる。
名前を変えて戻ってきたかつての幼馴染、立石麻美。そして、昔から気になっていたクラスメイト、河西栞。
親友の田中浩大が麻美に一目惚れしたことで、この再会が静かに波紋を広げていく。
性と欲の狭間で、歪み出す日常。
無邪気な笑顔の裏に隠された想いと、揺れ動く心。
そのすべてに触れたとき、明希は何を守り、何を選ぶのか。
青春の光と影を描く、"遅れてきた"ひと夏の物語。
前編 「恋愛譚」 : 序章〜第5章
後編 「青春譚」 : 第6章〜
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話
頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。
綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。
だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。
中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。
とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。
高嶺の花。
そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。
だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。
しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。
それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。
他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。
存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。
両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。
拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。
そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。
それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。
イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。
付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる