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トリガー(日本語版)
5、~少年と少女~
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望の生命に対する感覚はもう、その時狂っていたのだった。
目の中の虹彩が完全に開ききるのを感じるとともに、ブーンという低い耳鳴りが始まる。そして次の瞬間、、、
奈美が頭を抱え出した。
『え…?奈美が傘を挟んだ人間…??いやこいつは傘持ってないし、そんなはずは…。』
と望は考える。そしてもう1つ、おかしなことが起こった。耳鳴りが全然鳴り止まないのだ。
「おい奈美!大丈夫か??」
望は焦って奈美の肩を掴み揺らす。そうすると、何かが奈美のカバンの中で光った。それを見てすぐに、望の顔はまた生気を失ったように…目はゾンビのようになった。
それは銀色の…折りたたみ傘の持ち手部分だった。
『嘘だそんな…!本当に奈美なのか!?でもどうやって折りたたみ傘を電車のドアに………いや……奈美ならやりかねない…。
どっちにしろ…奈美は俺のたった一人の親友だ…。殺すなんてできない…いや、したくない!!』
望は思いを巡らす。
無防備な命を盗むなんて…どんな理由でも許されない…?
彼は気づいた。
『死ぬな奈美!俺が間違ってた…悪かった…本当に…だから、頼むっ!!』
望が頭の中でそう念じ直す。
奈美を見る。
彼女はぎゅっと目を閉じながら、唇の隙間から八重歯をのぞかせていた。
その時だった。
彼のブーンという低い耳鳴りが、キーンという高い耳鳴りへと変わる。
それら全てがおさまり、、、
次の瞬間…
「…?キャンセル…できたのか…?」
望が小さい声で呟く。
「へ?なに?」
奈美が猫みたいな顔で聞き返してくる。いつもの奈美だった。
「いや。なんでもない。」
望が答える。彼の顔は、安堵と罪悪感でぐしゃぐしゃになっていた。そしてこの時、彼はこの能力は2度と使わないと誓う。
誓うのだが…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5分後、彼らは最寄駅に着いた。
そして電車から降りるとすぐに、それは起こった。
奈美の背後から、
ナイフを持った男が首筋にそれを突きつけて叫んだ。
「今すぐこの駅を封鎖しろ!おとなしくいうことを聞け。さもないとこの女を殺す!」
『なんでこうなるっ!?』
望は嫌な顔をする。
『どうやったらあいつを助けられる?もしあの男を爆破したら、俺ら全員巻き込まれるし…。』
そんな風に考えている時だった。
望がさっきと同じキーンという高い耳鳴りを聞いたかと思うと、彼の目にあるものが目に入る。
そして次の瞬間、なんとも言えない嫌な音が男の腕の中から聞こえてきた。
男が断末魔のような叫び声をあげて、ナイフを落とす。望だけでなく、周りにいた皆、開いた口が塞がらなかった。
「け、警察を呼ばないと…ね…?」
奈美がゆっくりと言う。
望はそんな彼女を見ながら考えていた。
『また同じ耳鳴りだった…それに、今見たぞ…奈美の目が真っ黒になったような…。それって…』
『わたしもう本当にこの能力嫌いっ!
昨日だって東京で、いきなり後ろから襲われてびっくりして殺しちゃったし…
夜なんか眠れなかった…
今は爆破させる場所をコントロールできたけど…。それにしても、玉ちゃんの反応…さっきの低い耳鳴りもそうだし…玉ちゃんは他の人と何か違う。この能力を持ってる人がわたし以外にいても不思議じゃないけど……』
奈美は望の見開かれた目を見ながら考えていた。
そこで初めて、二人とも目があったことに気づき、顔を少し赤らめて目をそらす。
『まさかね!』
彼らはホームルームのことなんかすっかり忘れていた。
END
目の中の虹彩が完全に開ききるのを感じるとともに、ブーンという低い耳鳴りが始まる。そして次の瞬間、、、
奈美が頭を抱え出した。
『え…?奈美が傘を挟んだ人間…??いやこいつは傘持ってないし、そんなはずは…。』
と望は考える。そしてもう1つ、おかしなことが起こった。耳鳴りが全然鳴り止まないのだ。
「おい奈美!大丈夫か??」
望は焦って奈美の肩を掴み揺らす。そうすると、何かが奈美のカバンの中で光った。それを見てすぐに、望の顔はまた生気を失ったように…目はゾンビのようになった。
それは銀色の…折りたたみ傘の持ち手部分だった。
『嘘だそんな…!本当に奈美なのか!?でもどうやって折りたたみ傘を電車のドアに………いや……奈美ならやりかねない…。
どっちにしろ…奈美は俺のたった一人の親友だ…。殺すなんてできない…いや、したくない!!』
望は思いを巡らす。
無防備な命を盗むなんて…どんな理由でも許されない…?
彼は気づいた。
『死ぬな奈美!俺が間違ってた…悪かった…本当に…だから、頼むっ!!』
望が頭の中でそう念じ直す。
奈美を見る。
彼女はぎゅっと目を閉じながら、唇の隙間から八重歯をのぞかせていた。
その時だった。
彼のブーンという低い耳鳴りが、キーンという高い耳鳴りへと変わる。
それら全てがおさまり、、、
次の瞬間…
「…?キャンセル…できたのか…?」
望が小さい声で呟く。
「へ?なに?」
奈美が猫みたいな顔で聞き返してくる。いつもの奈美だった。
「いや。なんでもない。」
望が答える。彼の顔は、安堵と罪悪感でぐしゃぐしゃになっていた。そしてこの時、彼はこの能力は2度と使わないと誓う。
誓うのだが…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5分後、彼らは最寄駅に着いた。
そして電車から降りるとすぐに、それは起こった。
奈美の背後から、
ナイフを持った男が首筋にそれを突きつけて叫んだ。
「今すぐこの駅を封鎖しろ!おとなしくいうことを聞け。さもないとこの女を殺す!」
『なんでこうなるっ!?』
望は嫌な顔をする。
『どうやったらあいつを助けられる?もしあの男を爆破したら、俺ら全員巻き込まれるし…。』
そんな風に考えている時だった。
望がさっきと同じキーンという高い耳鳴りを聞いたかと思うと、彼の目にあるものが目に入る。
そして次の瞬間、なんとも言えない嫌な音が男の腕の中から聞こえてきた。
男が断末魔のような叫び声をあげて、ナイフを落とす。望だけでなく、周りにいた皆、開いた口が塞がらなかった。
「け、警察を呼ばないと…ね…?」
奈美がゆっくりと言う。
望はそんな彼女を見ながら考えていた。
『また同じ耳鳴りだった…それに、今見たぞ…奈美の目が真っ黒になったような…。それって…』
『わたしもう本当にこの能力嫌いっ!
昨日だって東京で、いきなり後ろから襲われてびっくりして殺しちゃったし…
夜なんか眠れなかった…
今は爆破させる場所をコントロールできたけど…。それにしても、玉ちゃんの反応…さっきの低い耳鳴りもそうだし…玉ちゃんは他の人と何か違う。この能力を持ってる人がわたし以外にいても不思議じゃないけど……』
奈美は望の見開かれた目を見ながら考えていた。
そこで初めて、二人とも目があったことに気づき、顔を少し赤らめて目をそらす。
『まさかね!』
彼らはホームルームのことなんかすっかり忘れていた。
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