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彼女の行方 ②
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吉井の彼女は高野さんという名前で、すぐに会うことが出来た。彼女は、いわゆる複数のパパからおこずかいをもらって生活している女性で、「彼氏は曜日別なの」と悪びれることなく、そんなことを言った。
彼女に、石野美幸こと桜子の事を聞くと、よく覚えてると言った。と言うのも、彼女も年齢を重ね、プロの契約恋人業に限界を感じていたからだ。
高野さんは、ムーンシュガーに行ったときに、美幸から貰った連絡先を大事に持っていた。石野美幸が失踪した事実を知って怖くなったのか、その連絡先のカードをすぐに俺たちに渡す。
男の名前、武藤吉行と電話番号の印刷されたカードには、石野美幸と手書きで書きこんであり、紹介者として美幸の名前を必ず告げるように美幸に言われたと、高野さんは言った。
俺たちは、最後のところで繋がった、微かな手掛かりを持ってヴァンパイアポリスに戻る。
事務所に戻った俺たちは、得た手掛かりを持って半沢主任のオフィスを訪ねた。
今回の捜査で分かったことを主任に伝え、アヤメは主任にこう切り出した。
「おとり捜査がしたいんです。」
石野美幸が関係していた謎の男の連絡先に、このカードを持っていた、高野を名乗りおとり捜査をしたいと言った。
半沢主任は、俺たちから話を聞き、しばらく難しい顔をして考え込んでいる。
眉間には、しわがくっきり3本刻まれていた。
「この段階でやるべきかな。どう思う?」
半沢主任が俺たちに質問する。
「現時点では、何もわかっていないことは認めます。石野美幸についても、失踪したのかと言う事すらあやふやだし。でも、私たちは、石野美幸の恋人の斎藤さんに「貴方の彼女を探す」と約束してしまったので、今止めるわけにはいかないんです。」
(アヤメ、、、。なんてことを、、、。)
「本田君も同じ考えなんだね。」
半沢主任が、今度は俺に質問する。
「はい。同じ考えです。」
(あああ、、。俺はバカか、、、。なんてことを、、、。)
「じゃ、刑部君。君は、その個人的な約束のために、ヴァンパイアポリスを動かして捜査したいと言ってるのかな?」
「そうです。」
アヤメはきっぱり肯定した。
(アヤメ、、、、。さすがにマズイだろ。せめて、捜査を続けさせてくださいって言う場面だろ。)
半沢主任の眉間のしわがますます深くなった。
そして、しばしの沈黙。非常に気まずい、、、。
「あははははははははははは。」
半沢主任が突然笑い出した。眉間のしわはもうない。
「私は、刑部君のそういうところが好きなんだよね。上司としてはマズイんだよ。本当にね。本来なら、私は君のストッパーにならなくちゃいけない立場なのに、私は君のその行動力があって、自分の直感を信じて突き進んでしまうところが、たまらなく好きなんだな、マズイことに。上司的には、もう少し捜査を進めて、「確証を得られたらゴーサインを出す」と言うべきところなんだけど、今回は、失踪人の安全上の問題から、、、、認めることにする。」
「ありがとうございます。」
俺とアヤメは二人そろって頭を下げた。
「いやいや、本当にダメな上司ですよ。私は。」
主任は、そう言っていたが顔は笑っていた。
事務所に戻ると、早速、高木班長に今回の事と経緯を話し半沢主任から、OKが出たと告げる。
高木主任は、捜査官と眷属隊に召集をかける。
アヤメが今回の経緯と、名刺の男武藤のおとり捜査について説明する。
「あの。その程度の事で本当に主任から、おとり捜査の了解が下りたんですか?」
杉山さんが至極まっとうな質問をする。
「了解したわよ。嘘だと思うなら主任に聞いてきたら?」
「了解しているなら、それでいいんです。」
この二人は、本当に水と油だ、、、。困ったことに。杉山さんの言っている事はいつも正しい。
しかも、今回のおとり捜査のような場合には、彼女の作戦の企画力が必要不可欠だ。
すでに、杉山さんの頭の中では今回の作戦の枠組みが出来上がっているようだ。
「今回の作戦で一番肝心なのは、おとり役の人選ですが、、、。」
「はーい。はーい。はい、はい!ノエル、立候補する!」
いの一番にノエルが手を上げる。
「そうですね。私も、今回のおとり役には、結城さんが適任かと思います。」
(へ?そうなの???)
「えええ。マジ。ダメもとで手を上げたんだけど、超ラッキー!!」
「今回の高木さんと言う女性は、女性を武器にして男性の庇護下で生活をしている女性です。だとすると、セックスアピールのない女性ではこの役に不向きと思われます。」
「なによ。私だってセックスアピールぐらいあるわよ。」
アヤメが口を尖らせる。
「そうですか?」
杉山さんがアヤメの胸元に目をやる。
「だよね~。この、おとり役には、貧乳のアヤメや、男性恐怖症ロボットの杉山ちゃんには無理だよねぇ。」
ノエルが余計な口を挟む。
「結城さん!」
「ノエル!」
この二人にすごまれても、ノエルにはどこ吹く風の様子で、今回の大抜擢にご機嫌だ。
「まぁまぁ。じゃ、今回のおとり役は結城さんと言うことで、話を進めましょう。」
見かねた高木班長がそう言って、作戦会議の続行を促した。
作戦の決行は、明日の夜。高木に扮したノエルが、名刺に書かれていた、武藤に連絡をする。
そして会う約束を取り付け、その場の状況に応じて対応することになった。
これで、斎藤さんの彼女の行方がつかめ、彼女を無事に斎藤さんの元へ返せるかもしれない。
彼女に、石野美幸こと桜子の事を聞くと、よく覚えてると言った。と言うのも、彼女も年齢を重ね、プロの契約恋人業に限界を感じていたからだ。
高野さんは、ムーンシュガーに行ったときに、美幸から貰った連絡先を大事に持っていた。石野美幸が失踪した事実を知って怖くなったのか、その連絡先のカードをすぐに俺たちに渡す。
男の名前、武藤吉行と電話番号の印刷されたカードには、石野美幸と手書きで書きこんであり、紹介者として美幸の名前を必ず告げるように美幸に言われたと、高野さんは言った。
俺たちは、最後のところで繋がった、微かな手掛かりを持ってヴァンパイアポリスに戻る。
事務所に戻った俺たちは、得た手掛かりを持って半沢主任のオフィスを訪ねた。
今回の捜査で分かったことを主任に伝え、アヤメは主任にこう切り出した。
「おとり捜査がしたいんです。」
石野美幸が関係していた謎の男の連絡先に、このカードを持っていた、高野を名乗りおとり捜査をしたいと言った。
半沢主任は、俺たちから話を聞き、しばらく難しい顔をして考え込んでいる。
眉間には、しわがくっきり3本刻まれていた。
「この段階でやるべきかな。どう思う?」
半沢主任が俺たちに質問する。
「現時点では、何もわかっていないことは認めます。石野美幸についても、失踪したのかと言う事すらあやふやだし。でも、私たちは、石野美幸の恋人の斎藤さんに「貴方の彼女を探す」と約束してしまったので、今止めるわけにはいかないんです。」
(アヤメ、、、。なんてことを、、、。)
「本田君も同じ考えなんだね。」
半沢主任が、今度は俺に質問する。
「はい。同じ考えです。」
(あああ、、。俺はバカか、、、。なんてことを、、、。)
「じゃ、刑部君。君は、その個人的な約束のために、ヴァンパイアポリスを動かして捜査したいと言ってるのかな?」
「そうです。」
アヤメはきっぱり肯定した。
(アヤメ、、、、。さすがにマズイだろ。せめて、捜査を続けさせてくださいって言う場面だろ。)
半沢主任の眉間のしわがますます深くなった。
そして、しばしの沈黙。非常に気まずい、、、。
「あははははははははははは。」
半沢主任が突然笑い出した。眉間のしわはもうない。
「私は、刑部君のそういうところが好きなんだよね。上司としてはマズイんだよ。本当にね。本来なら、私は君のストッパーにならなくちゃいけない立場なのに、私は君のその行動力があって、自分の直感を信じて突き進んでしまうところが、たまらなく好きなんだな、マズイことに。上司的には、もう少し捜査を進めて、「確証を得られたらゴーサインを出す」と言うべきところなんだけど、今回は、失踪人の安全上の問題から、、、、認めることにする。」
「ありがとうございます。」
俺とアヤメは二人そろって頭を下げた。
「いやいや、本当にダメな上司ですよ。私は。」
主任は、そう言っていたが顔は笑っていた。
事務所に戻ると、早速、高木班長に今回の事と経緯を話し半沢主任から、OKが出たと告げる。
高木主任は、捜査官と眷属隊に召集をかける。
アヤメが今回の経緯と、名刺の男武藤のおとり捜査について説明する。
「あの。その程度の事で本当に主任から、おとり捜査の了解が下りたんですか?」
杉山さんが至極まっとうな質問をする。
「了解したわよ。嘘だと思うなら主任に聞いてきたら?」
「了解しているなら、それでいいんです。」
この二人は、本当に水と油だ、、、。困ったことに。杉山さんの言っている事はいつも正しい。
しかも、今回のおとり捜査のような場合には、彼女の作戦の企画力が必要不可欠だ。
すでに、杉山さんの頭の中では今回の作戦の枠組みが出来上がっているようだ。
「今回の作戦で一番肝心なのは、おとり役の人選ですが、、、。」
「はーい。はーい。はい、はい!ノエル、立候補する!」
いの一番にノエルが手を上げる。
「そうですね。私も、今回のおとり役には、結城さんが適任かと思います。」
(へ?そうなの???)
「えええ。マジ。ダメもとで手を上げたんだけど、超ラッキー!!」
「今回の高木さんと言う女性は、女性を武器にして男性の庇護下で生活をしている女性です。だとすると、セックスアピールのない女性ではこの役に不向きと思われます。」
「なによ。私だってセックスアピールぐらいあるわよ。」
アヤメが口を尖らせる。
「そうですか?」
杉山さんがアヤメの胸元に目をやる。
「だよね~。この、おとり役には、貧乳のアヤメや、男性恐怖症ロボットの杉山ちゃんには無理だよねぇ。」
ノエルが余計な口を挟む。
「結城さん!」
「ノエル!」
この二人にすごまれても、ノエルにはどこ吹く風の様子で、今回の大抜擢にご機嫌だ。
「まぁまぁ。じゃ、今回のおとり役は結城さんと言うことで、話を進めましょう。」
見かねた高木班長がそう言って、作戦会議の続行を促した。
作戦の決行は、明日の夜。高木に扮したノエルが、名刺に書かれていた、武藤に連絡をする。
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