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ヘイトクライム(憎悪犯罪)の親玉 ⑨
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アヤメが高梨さんを再び食堂に連れてくる。
「それで、その問題のスマホと言うのはどれですか?」
「これよ。」
二人は、敦が大野弁護士からパクって来たスマホを手にしながら何やら話し込んでいる。
高梨さんがスマホをもって食堂から出て行った。
「何話してたの?」
「あのスマホの中の情報を高梨さんに安全に抜き取ってもらおうと思って。」
「えええ。あのじいちゃんに、そんなことができるのかよ。」
敦が俺に聞いてきたが、俺も高梨さんにそんなことが出来るのか知らなかった。
「高梨さんは、コンピューター関係にはとても詳しいのよ。」
アヤメが俺の代わりに敦に答える。
初耳だった。俺は高梨さんのスキルの多さに脱帽する。
「高木班長が、今回の件を知らないのなら。わざわざ知らせる必要はないわ。人間を正規に逮捕して日本の警察に引き渡しても、その後の対応をどうしたのか報告書すら来ないことがあるんだから。今回、私たちは、あくまでもプライベートで動くことにしましょう。」
「しましょうって、アヤメ。もしアイツらがものすごく大それたことを考えてたら、どうするんだよ。」
「その時は、その時よ。」
「俺はアヤメ姉さんに賛成だ!」
敦がいの一番に手をあげる。
「俺も、今回は刑部さんに賛成だ。高木班長を騙すようで気が引けるけど、ヴァン共反会のやってることは違法だし、日本の警察が頼りにならない以上、俺たちが何とかするしかない。」
3対1、、、。民主国家に生まれた者の悲しい性なのか。俺も渋々賛成にまわった。
「わかったよ。それでどうするんだ。」
「まずは、高梨さんの情報を待つのよ。」
アヤメはコーヒーポットから自分の分のコーヒーをカップに注いで、俺の隣に座る。
4人は向かい合って高梨さんが戻るのを待った。
高梨さんを待つこと10分。高梨さんががタブレットを持って戻って来る。
「アヤメ様。この中に情報はすべて移してあります。」
「ありがとう。高梨さん。」
「じいちゃん。すげぇな。料理も旨かったし、コンピューターにも詳しいなんて。」
敦が高梨さんに称賛の言葉を贈る。
「ほほほ。人より少しだけ長生きしております分、いろいろと覚える時間がありましたから。」
高梨さんはそう答えたが、同じ眷属として、俺が長生きしても彼のようなスーパー眷属になれる気は全くしなかった。
「アヤメ様。あのスマホは、どうなさいますか?」
「情報がタブレットに移してあるなら、スマホはもういらないから、高梨さんにあげる。」
「アヤメ、大野弁護士に返さないのか?」
「バカね一宇。なんて言って返すのよ。必要な情報はすべて抜き取りましたから、お返ししますとでも言うの?」
「それはそうだけど、、。」
高梨さんがスマホを持って出て行った後、俺たちはタブレットで、大野弁護士の連絡先リストからカタカナの変な登録名を見つける。ヴァン共反会の関係者や。大野の弁護士仲間、家族、友人はそれぞれグループ分けされて登録してあったが、この男だけが単独で登録されていた。
登録名「モリ アキト」
このモリと言う男と大野弁護士は、頻繁に電話で連絡を取り合っているようだ。
しかも、大野が杜に送ったメールが履歴にたくさん残っている。
俺たちは、大野弁護士がモリに宛てたメールだけをピックアップして読んでみることにした。
消去されていないメールは、昨年4月からおよそ1年分。30通弱。
「連絡事項:大野/ 今月分の活動費として、200,000×100件、全ての口座に振り込みを確認いたしました。」
初期のメールのほとんどは、大野からモリと言う男への入金を確認したという連絡だった。
「うひょー。すげぇな。一、十、百、千、万、、、。20万円を100件で、ええっと、、。」
敦が指を使って計算を始める。
「二千万だよ、敦。それに、今月分って言ってるってことは、毎月、大野弁護士は、このモリって男から二千万円の資金提供を受けてるってことだよな。」
入金連絡ばかりの大野のメールの内容に変化が現れたのは、年が明けた頃。
この頃から、大野弁護士は、モリに意味不明な内容のメールを送信している。
最初のメールの内容は、
「連絡事項:大野/ 先日、モリさんからご相談のありました、お祭りの件ですが。会の幹部と相談した結果、全員一致で祭りの開催と言う結論に至りました。つきましては、祭りの費用等、ご相談したく近くお目にかかれないかと、メールいたしました。ご連絡お待ちしております、」
お祭り?ヴァン共反会で何かイベントでも開催するのか?
おかしなことに、メールは、大野弁護士からの一方通行で相手の男らの返信の記録が一切ない。
そのうえ、メールのやり取りがひどく断片的で、彼らの話の内容が全く見えてこなかった。
「連絡事項:大野/ お祭り用の花火の材料受け取りました。現在、打ち上げに向けて職人が新作花火の製造中です。準備が整いましたら連絡します。」
「連絡事項:大野/ イベントの会場は森さんのご希望通りVPに、日時は先日の打ち合わせ通りで開催が決定しました。お祭りの開催には、多くのヴァン共反会メンバーが参加を希望しています。」
「なんだぁ。ヴァン共反会のやつら、春祭りでもやろうってのか?」
メールを一通り読み終えた敦がつぶやいた。
「でも、このメールなんか変よね。モリって男からの返信がないのはなぜ?」
「それに、まだ肌寒いこの季節に花火ってのもおかしな話だよな。」
何かが引っかかる。ヴァン共反会に対する多額の資金援助。「モリ アキト」と言う謎の男。春の花火。お祭り。それと開催場所のVP、、、、、、。
ヴァンパイアポリス!
俺の頭の中でばらばらだったパズルのピースがおぼろげな形で一つに繋がる。俺の想像が正しいならヴァン共反会のやつらは、かなり大それたことを考えているのかもしれない。
「なぁ、これは俺の想像なんだけど、今日、山田さんがヴァン共反会の廊下で聞いた爆弾って言葉。これが、このメールの花火って考えられないか?つまり。奴らは爆弾を使ってVP。つまりヴァンパイアポリスにテロを仕掛けるつもりなんじゃ、、、。」
この確証も何もない俺の想像は、まるで現実の事のようにそこに居た全員の心をとらえた。
「あり得るわね。」
アヤメがそう言うと、山田さんと、敦も頷く。
「でも、どうやって確かめれば。」
「こんな大それたことを考えるなんて、日本の警察だのヴァンパイアポリスだのと縄張りを気にしている場合じゃないわね。」
「それって?どうする気なんだ?」
「簡単よ。本人に聞いてみればいいのよ。」
本人に聞く????
アヤメは何か楽しい事でも始めるかのように俺たち3人に向かって。
「皆の者、参るぞ!」と拳を振り上げた。
「それで、その問題のスマホと言うのはどれですか?」
「これよ。」
二人は、敦が大野弁護士からパクって来たスマホを手にしながら何やら話し込んでいる。
高梨さんがスマホをもって食堂から出て行った。
「何話してたの?」
「あのスマホの中の情報を高梨さんに安全に抜き取ってもらおうと思って。」
「えええ。あのじいちゃんに、そんなことができるのかよ。」
敦が俺に聞いてきたが、俺も高梨さんにそんなことが出来るのか知らなかった。
「高梨さんは、コンピューター関係にはとても詳しいのよ。」
アヤメが俺の代わりに敦に答える。
初耳だった。俺は高梨さんのスキルの多さに脱帽する。
「高木班長が、今回の件を知らないのなら。わざわざ知らせる必要はないわ。人間を正規に逮捕して日本の警察に引き渡しても、その後の対応をどうしたのか報告書すら来ないことがあるんだから。今回、私たちは、あくまでもプライベートで動くことにしましょう。」
「しましょうって、アヤメ。もしアイツらがものすごく大それたことを考えてたら、どうするんだよ。」
「その時は、その時よ。」
「俺はアヤメ姉さんに賛成だ!」
敦がいの一番に手をあげる。
「俺も、今回は刑部さんに賛成だ。高木班長を騙すようで気が引けるけど、ヴァン共反会のやってることは違法だし、日本の警察が頼りにならない以上、俺たちが何とかするしかない。」
3対1、、、。民主国家に生まれた者の悲しい性なのか。俺も渋々賛成にまわった。
「わかったよ。それでどうするんだ。」
「まずは、高梨さんの情報を待つのよ。」
アヤメはコーヒーポットから自分の分のコーヒーをカップに注いで、俺の隣に座る。
4人は向かい合って高梨さんが戻るのを待った。
高梨さんを待つこと10分。高梨さんががタブレットを持って戻って来る。
「アヤメ様。この中に情報はすべて移してあります。」
「ありがとう。高梨さん。」
「じいちゃん。すげぇな。料理も旨かったし、コンピューターにも詳しいなんて。」
敦が高梨さんに称賛の言葉を贈る。
「ほほほ。人より少しだけ長生きしております分、いろいろと覚える時間がありましたから。」
高梨さんはそう答えたが、同じ眷属として、俺が長生きしても彼のようなスーパー眷属になれる気は全くしなかった。
「アヤメ様。あのスマホは、どうなさいますか?」
「情報がタブレットに移してあるなら、スマホはもういらないから、高梨さんにあげる。」
「アヤメ、大野弁護士に返さないのか?」
「バカね一宇。なんて言って返すのよ。必要な情報はすべて抜き取りましたから、お返ししますとでも言うの?」
「それはそうだけど、、。」
高梨さんがスマホを持って出て行った後、俺たちはタブレットで、大野弁護士の連絡先リストからカタカナの変な登録名を見つける。ヴァン共反会の関係者や。大野の弁護士仲間、家族、友人はそれぞれグループ分けされて登録してあったが、この男だけが単独で登録されていた。
登録名「モリ アキト」
このモリと言う男と大野弁護士は、頻繁に電話で連絡を取り合っているようだ。
しかも、大野が杜に送ったメールが履歴にたくさん残っている。
俺たちは、大野弁護士がモリに宛てたメールだけをピックアップして読んでみることにした。
消去されていないメールは、昨年4月からおよそ1年分。30通弱。
「連絡事項:大野/ 今月分の活動費として、200,000×100件、全ての口座に振り込みを確認いたしました。」
初期のメールのほとんどは、大野からモリと言う男への入金を確認したという連絡だった。
「うひょー。すげぇな。一、十、百、千、万、、、。20万円を100件で、ええっと、、。」
敦が指を使って計算を始める。
「二千万だよ、敦。それに、今月分って言ってるってことは、毎月、大野弁護士は、このモリって男から二千万円の資金提供を受けてるってことだよな。」
入金連絡ばかりの大野のメールの内容に変化が現れたのは、年が明けた頃。
この頃から、大野弁護士は、モリに意味不明な内容のメールを送信している。
最初のメールの内容は、
「連絡事項:大野/ 先日、モリさんからご相談のありました、お祭りの件ですが。会の幹部と相談した結果、全員一致で祭りの開催と言う結論に至りました。つきましては、祭りの費用等、ご相談したく近くお目にかかれないかと、メールいたしました。ご連絡お待ちしております、」
お祭り?ヴァン共反会で何かイベントでも開催するのか?
おかしなことに、メールは、大野弁護士からの一方通行で相手の男らの返信の記録が一切ない。
そのうえ、メールのやり取りがひどく断片的で、彼らの話の内容が全く見えてこなかった。
「連絡事項:大野/ お祭り用の花火の材料受け取りました。現在、打ち上げに向けて職人が新作花火の製造中です。準備が整いましたら連絡します。」
「連絡事項:大野/ イベントの会場は森さんのご希望通りVPに、日時は先日の打ち合わせ通りで開催が決定しました。お祭りの開催には、多くのヴァン共反会メンバーが参加を希望しています。」
「なんだぁ。ヴァン共反会のやつら、春祭りでもやろうってのか?」
メールを一通り読み終えた敦がつぶやいた。
「でも、このメールなんか変よね。モリって男からの返信がないのはなぜ?」
「それに、まだ肌寒いこの季節に花火ってのもおかしな話だよな。」
何かが引っかかる。ヴァン共反会に対する多額の資金援助。「モリ アキト」と言う謎の男。春の花火。お祭り。それと開催場所のVP、、、、、、。
ヴァンパイアポリス!
俺の頭の中でばらばらだったパズルのピースがおぼろげな形で一つに繋がる。俺の想像が正しいならヴァン共反会のやつらは、かなり大それたことを考えているのかもしれない。
「なぁ、これは俺の想像なんだけど、今日、山田さんがヴァン共反会の廊下で聞いた爆弾って言葉。これが、このメールの花火って考えられないか?つまり。奴らは爆弾を使ってVP。つまりヴァンパイアポリスにテロを仕掛けるつもりなんじゃ、、、。」
この確証も何もない俺の想像は、まるで現実の事のようにそこに居た全員の心をとらえた。
「あり得るわね。」
アヤメがそう言うと、山田さんと、敦も頷く。
「でも、どうやって確かめれば。」
「こんな大それたことを考えるなんて、日本の警察だのヴァンパイアポリスだのと縄張りを気にしている場合じゃないわね。」
「それって?どうする気なんだ?」
「簡単よ。本人に聞いてみればいいのよ。」
本人に聞く????
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「皆の者、参るぞ!」と拳を振り上げた。
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