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ヘイトクライム(憎悪犯罪)の親玉 ⑧
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刑部家に到着する。インターフォンを鳴らし、玄関を開けてもらう。
玄関に現われたアヤメは、俺たち3人の意外な顔ぶれに驚いた様子だったが、何も聞かず、俺たちを食堂に案内する。
食堂では、高梨さんが白いエプロン姿で俺たちを待っていた。
既に食堂のテーブルに乗りきらないほどの料理が並べてある。
俺たち3人はすごい勢いで料理を片っ端から平らげていった。
「キヨばあちゃんの料理も旨いけど、じいちゃんの料理も旨いな。」
敦が高梨さんの料理を褒める。
「本田君は、羨ましいな。こんな旨いものをいつも食べられて。」
山田さんが感心したように言う。
「俺もそう思います。」
俺たちが、料理を次々と胃袋に収めていくのを高梨さんは嬉しそうに眺めていたが、食後のコーヒーとデザートのケーキを置くと、食堂から出て行った。
高梨さんの退室を待っていたかのように、アヤメが俺たち3人に質問を開始する。
「いったい、今日は3人で朝から何やってたのよ!それに、山田さんと一宇だけならまだわかるけど、敦まで一緒って、、。何事なの!」
「アヤメ姉さん、それは違うぜ。山田さんと一宇は約束してたみたいだけど、俺は偶然一緒になっただけなんだよなぁ。」
「それで、3人でどこに行ってたの?」
「ヴァン共反会の本拠地だよ。あれ?一宇、アヤメ姉さんに言わずに来たのか?」
「お前は、キヨさんに言って来たのかよ。」
「ははははは、俺も言ってねぇや。」
「そう言う問題じゃない!そんな場所に眷属が3人揃って出かけて行って危険だと思わなかったの?あんたたちは良いとして、敦は一般市民なのよ!」
アヤメは本気で心配しているようだった。
「だから、姉さん違うんだって。俺は一宇とは関係なく、俺個人で行ったんだよ。偶然、ヴァン共反会の入り口で会っただけで。俺は、キヨさんに対する嫌がらせの抗議に行ったんだから。一宇に帰れって言われたけど、帰ったふりして最後まで付き合ったのは俺の意志だから、一宇を怒らないでよ。」
敦にかばわれるのは2度目だ、、、。
「それで?」
「それでって?」
「どうだったのよ。ヴァン反協会の偵察は?」
アヤメにバレた以上、素直に話すしかない。俺たちは今日一日で見聞きしたことをアヤメに順を追って説明した。アヤメは俺たちの話を興味深そうに聞いている。
「でも、わかったのはそのくらいで、肝心な事はあんまりわからなかったんだよな。」
俺がそう言うと、山田さんが思い出したように、話し始める。
「そう言えば、俺。セミナーの前にトイレに行っただろ。その時、廊下に他の部屋でミーティングしてるやつらの声が聞こえたんだけど、なんか、粛清だの爆弾だのって物騒なこと言ってるのが聞こえたんだよな。」
「爆弾?まさかあいつらテロを起こそうってんじゃないだろうな。」
「それは聞き捨てならないわね。」
アヤメも深刻な表情になる。
「でも、俺たちは、あの会の入り口付近を見て来ただけで、会の内情までは分からないんだよな。」
山田さんが残念そうにそう言った。
「おっと、皆様。諦めるのは早いぜ。」
敦が、そう言ってポケットからスマホを出してテーブルの上に置いた。
「スマホ?敦、アンタのなの?」
「違うよ。あのクソじじいのスマホだよ。」
「クソじじい?」
「あの、大野弁護士ってやつのだよ。」
セミナーに入って来た大野弁護士に笑顔でハグしていた敦の姿が頭に浮かぶ。
「敦、お前。あの時に盗んだのか?」
「盗んだなんて人聞きの悪いこと言わないでよ一宇。ちょっと借りただけだよ。」
スマホには、何件もの着信が入っている。大野がスマホが無くなったことに気が付いて探しているのかも知れない。
「一宇、GPSで探されると厄介だから電源切って。」
俺は慌ててスマホの電源を落とす。
「敦、良くやった。」
アヤメが敦を褒める。アヤメ、お前、捜査官なのにスリなんか褒めていいのか???
「ところで山田さん。今回の事は高木班長はご存じなのかしら?」
「あ、ああ、、、いや、今回の事は、俺と本田君の完全なプライベートでの事だから、、高木さんには、、、その。」
「言ってないのね。」
「はい。言ってません。」
「それは、ますます好都合だわ。ちょっと待ってて、私、高梨さんを呼んでくるから。」
アヤメが何を考えているのか俺たち3人には全く分からなかった。
きっと俺たち以上に突拍子もないことを考えているのは間違いなかった。アヤメは嬉々として高梨さんを呼びに行った。
「刑部さん、何を考えているんだろう。」
山田さんが不安を口にする。俺も口にはしなかったが、同じ気持ちだった。
その中で、一人。敦だけがのんきにケーキをほおばっていた。
玄関に現われたアヤメは、俺たち3人の意外な顔ぶれに驚いた様子だったが、何も聞かず、俺たちを食堂に案内する。
食堂では、高梨さんが白いエプロン姿で俺たちを待っていた。
既に食堂のテーブルに乗りきらないほどの料理が並べてある。
俺たち3人はすごい勢いで料理を片っ端から平らげていった。
「キヨばあちゃんの料理も旨いけど、じいちゃんの料理も旨いな。」
敦が高梨さんの料理を褒める。
「本田君は、羨ましいな。こんな旨いものをいつも食べられて。」
山田さんが感心したように言う。
「俺もそう思います。」
俺たちが、料理を次々と胃袋に収めていくのを高梨さんは嬉しそうに眺めていたが、食後のコーヒーとデザートのケーキを置くと、食堂から出て行った。
高梨さんの退室を待っていたかのように、アヤメが俺たち3人に質問を開始する。
「いったい、今日は3人で朝から何やってたのよ!それに、山田さんと一宇だけならまだわかるけど、敦まで一緒って、、。何事なの!」
「アヤメ姉さん、それは違うぜ。山田さんと一宇は約束してたみたいだけど、俺は偶然一緒になっただけなんだよなぁ。」
「それで、3人でどこに行ってたの?」
「ヴァン共反会の本拠地だよ。あれ?一宇、アヤメ姉さんに言わずに来たのか?」
「お前は、キヨさんに言って来たのかよ。」
「ははははは、俺も言ってねぇや。」
「そう言う問題じゃない!そんな場所に眷属が3人揃って出かけて行って危険だと思わなかったの?あんたたちは良いとして、敦は一般市民なのよ!」
アヤメは本気で心配しているようだった。
「だから、姉さん違うんだって。俺は一宇とは関係なく、俺個人で行ったんだよ。偶然、ヴァン共反会の入り口で会っただけで。俺は、キヨさんに対する嫌がらせの抗議に行ったんだから。一宇に帰れって言われたけど、帰ったふりして最後まで付き合ったのは俺の意志だから、一宇を怒らないでよ。」
敦にかばわれるのは2度目だ、、、。
「それで?」
「それでって?」
「どうだったのよ。ヴァン反協会の偵察は?」
アヤメにバレた以上、素直に話すしかない。俺たちは今日一日で見聞きしたことをアヤメに順を追って説明した。アヤメは俺たちの話を興味深そうに聞いている。
「でも、わかったのはそのくらいで、肝心な事はあんまりわからなかったんだよな。」
俺がそう言うと、山田さんが思い出したように、話し始める。
「そう言えば、俺。セミナーの前にトイレに行っただろ。その時、廊下に他の部屋でミーティングしてるやつらの声が聞こえたんだけど、なんか、粛清だの爆弾だのって物騒なこと言ってるのが聞こえたんだよな。」
「爆弾?まさかあいつらテロを起こそうってんじゃないだろうな。」
「それは聞き捨てならないわね。」
アヤメも深刻な表情になる。
「でも、俺たちは、あの会の入り口付近を見て来ただけで、会の内情までは分からないんだよな。」
山田さんが残念そうにそう言った。
「おっと、皆様。諦めるのは早いぜ。」
敦が、そう言ってポケットからスマホを出してテーブルの上に置いた。
「スマホ?敦、アンタのなの?」
「違うよ。あのクソじじいのスマホだよ。」
「クソじじい?」
「あの、大野弁護士ってやつのだよ。」
セミナーに入って来た大野弁護士に笑顔でハグしていた敦の姿が頭に浮かぶ。
「敦、お前。あの時に盗んだのか?」
「盗んだなんて人聞きの悪いこと言わないでよ一宇。ちょっと借りただけだよ。」
スマホには、何件もの着信が入っている。大野がスマホが無くなったことに気が付いて探しているのかも知れない。
「一宇、GPSで探されると厄介だから電源切って。」
俺は慌ててスマホの電源を落とす。
「敦、良くやった。」
アヤメが敦を褒める。アヤメ、お前、捜査官なのにスリなんか褒めていいのか???
「ところで山田さん。今回の事は高木班長はご存じなのかしら?」
「あ、ああ、、、いや、今回の事は、俺と本田君の完全なプライベートでの事だから、、高木さんには、、、その。」
「言ってないのね。」
「はい。言ってません。」
「それは、ますます好都合だわ。ちょっと待ってて、私、高梨さんを呼んでくるから。」
アヤメが何を考えているのか俺たち3人には全く分からなかった。
きっと俺たち以上に突拍子もないことを考えているのは間違いなかった。アヤメは嬉々として高梨さんを呼びに行った。
「刑部さん、何を考えているんだろう。」
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その中で、一人。敦だけがのんきにケーキをほおばっていた。
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