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八木山ベニーランド

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八木山ベニーランドに到着する。俺の分とゆずの分の夜間乗り放題のパスポートを購入する。

ゆずはすっかり普通の子どもと化した。彼女は次々と絶叫系の乗り物を選び、列に並ぶ。とはいっても、創業100年を超す老舗の子供も楽しめる遊園地だ。それほど怖い乗り物が無くて助かった。立て続けに乗り物に乗った後、俺が根を上げて、お土産屋を見ないか?とゆずに提案してみる。
ゆずは大喜びでスーベニアショップに向かう。ゆずはその小さな体のどこにそんなに体力があるのかと思うほど精力的にショップ内を見て歩く。

「何か欲しいものがあったら、買ってあげるよ。」
俺がそう言うと、

「高梨さんからお小遣いをもらってきました。いつも高梨さんを手伝っているお駄賃だそうです。」
そう言ってから、恥ずかしそうに。
「でも、お館様が買ってくださるなら、これが欲しいです。」
そう言いながら、ベニーランドのキャラクターが付いた小さな髪留めを指さす。

「このくらいお安い御用だよ、ゆず。」
そう言って俺は髪留めをレジまで持っていく。
その後、ゆずはその小さな身体に抱えきれないほどのお土産を買っていた。
結女さんや正博にあげると言ってうれしそうに買い物をしている。
ゆずをここに連れて来て本当に良かった。俺は心からそう思った。
その後、大量のお土産をコインロッカーに預けて、俺たちは時間いっぱいまで乗り物に乗り続けた。

園内に蛍の光の音楽が流れる。
ゆずは残念そうな顔をしたが、ロッカーからお土産を出してご機嫌に出口へと向かう。

スマホが鳴る。高梨さんからだった。

「もしもし。高梨さん?今からベニーランドを出るところです。何かありましたか?」

「はい。高橋モーターズ様と言う方から一宇様にお電話があって、なにかお急ぎの御用だとか。今すぐ店まで来てほしいと、、、。」

パーツ屋の親父が俺に電話???

「わかりました。今すぐゆずと帰ります。」

「いいえ。私は出口のところにおります。ゆず様を私が家までお連れしますので、一宇様はすぐに先方様のところへ向かってください。」
出口の先に高梨さんが待っていた。

「ゆず、ごめんな。」
俺が謝る。
「いいえ。お館様。お仕事頑張ってくださいませ。今日のデートのこと、ゆずは一生忘れません。」
そう言って高梨さんとゆずは高梨さんと一緒に帰って行った。

俺は、自動運転をゴールデン商店街にセットして車が走り出すのを確認してから高橋モータースに電話を掛ける。
親父はすぐに電話に出た。

「親父さんどうした?何かあったのか?」

「おう!あったもあった。お前今どこにいるんだ?」

「今、八木山だけど、そっちに向かっているよ。あと10分くらいで到着すると思う。」

「そうか。昨日言ってたあの変なもんを注文した客が、今日、突然受け取りに来てよ。焦ったぜ。」

「ええええ。今日来たのか?それで、そいつはどうした?もう帰ったのか。」

「帰さねぇよ。とっ捕まえてここにいる。」

「なにぃぃぃ。捕まえてそこに居るだぁぁぁ。」

「おう。待ってるから早く来いよ。」
電話が切られる。俺は自動運転を解除し、スピード違反で高橋モータースに急いだ。
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