短い恋のお話

愛理

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「君のために強くなりたくて」

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  繊細で傷つきやすい君を色んなものから守りたくて僕は強くなりたいって心から思ったんだ。

「綾美」
  俺は自分の彼女の名前を呼び、俺が1人暮らしをしているマンションのベランダに出て外を眺めている綾美を後ろから抱きしめた。
  すると綾美は、
「健人、どうしたの」
  俺の方に顔だけ向けてそう言った。
「ん? 何か綾美の後姿を見たら抱きしめたくなってさ」
  俺がそう言うと綾美はくすっと笑って、
「何それ。でも嬉しいよ」
  綾美はそう言い今度は俺が抱きしめている手を解き、俺の方を向いて、俺にぎゅっと抱きついてきた。
「綾美」
  だから、俺も綾美を今度は前からぎゅっと抱きしめた。
  俺と綾美は今、お互いに社会人で24歳だけど恋人同士になったのは大学1年生の時からだった。
 同じ大学で出会ったんだけど、出会ったばかりの頃の綾美は何処か儚く見えて……。
  だけど、俺が思ったように本当に綾美は繊細で人から言われたことによく傷ついていた。
  だから、俺はそんな綾美を守りたくて、綾美を守れるように強くなろうって綾美と恋人同士になった時に思った。
  そして、あれから数年が経って今に至るんだけど……。
「なあ綾美、俺、強くなったかな?」
  俺はふとそんな言葉を口にしてしまった。
  すると綾美は少しだけ驚いたような顔をして、でも、すぐに俺が大好きな優しい笑顔を浮かべて、
「うん。凄く強くなったし本当に男らしくなったよ」
  そう言ってくれた。
  だから、俺はもの凄く嬉しくなって、綾美のことを更に強く抱きしめて、
「綾美にそう言ってもらえて嬉しいよ。だって、俺は色んなものから綾美を守りたくて強くなりたかったから。だけど、これからも、もっともっと強くなって綾美をずっと守っていくから」
  そう言った。
  すると綾美も更に強く俺に抱きついて、
「うん、ありがとう。その気持ち凄く嬉しいよ。だけど、健人も辛い時はこんな私で良かったら、もたれかかってね」
  そう言った。
  俺は綾美のその言葉が凄く嬉しくて、
「ああ、そうするよ。だから、綾美、俺の隣にずっといてくれよな」
  そう言った。
  そして、俺と綾美は少し見つめ合った後、キスをして手を繋ぎながら部屋の中へと入り、幸せな2人の時間を過ごした。
 
  なあ、綾美、本当にこれからもずっとずっと綾美を守っていくから。
だから、さっき言ったように俺の隣でずっと笑っていて。
                                                              END
                                                           
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