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「優しい君に包まれていたい」
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生きるって辛いことばかりだと思ってた。
大学が休みの日曜日の朝10時頃に1人暮らしをしているワンルームマンションの自宅のチャイムが鳴った。
インターホン越しに出るとチャイムを鳴らしたのは俺の彼女の美佐だと解り俺はすぐにドアを開けに行った。
するといきなり美佐は色とりどりの可愛い花束を俺の前に差し出してきて、
「おはよう。優くん」
いつもの優しい笑顔でそう言った。
「今日ねバイトがお店の都合で休みになったから優くん家に突然行って、優くんのこと驚かせようかな~って思ったんだ」
部屋に入ってコートを脱いだ後、美佐は2人分のコーヒーを淹れてテーブルに置いた後にそう言った。
「そうなんだ」
「うん、だって、優くんも今日、バイトないから家でゆっくりしとくって言ってたからいるかなと思って」
そう言い美佐は花束と一緒に持ってきたという美佐の手づくりのクッキーをお皿の上に出した。
俺と美佐は今、大学2年生で大学に入ったばかりの頃に俺が暇つぶしのためにたまたま覗いた音楽サークルで出会った。
俺はただの暇つぶしだったけど美佐はフルートが大好きで先輩にフルートを借りて熱心に吹いていた。
お世辞にも上手いとは言えなかったけど、でも、何だかその時の美佐の吹くフルートの音色が俺には凄く心地良くて俺は無意識のうちに美佐に声をかけた。
どうしてそんなことになったのかはっきりとは解らないけれど、俺はその時の美佐の吹くフルートの音色にもっと触れていたいと思ったんだと今では思っている。
美佐の吹くフルートの音色は凄く優しくも感じたから。
それまでの俺は殆ど優しさというものに触れてこなかったから。
だから、きっとその優しい音色に惹かれたんだと思う。
そして、それまでの俺は自分以外は信じることはできなかったから。
でも、美佐はそんな俺の心を出会ってから少しずつ溶かしてくれた。
そして、また生きるということは楽しいことも沢山あるんだと教えてもくれた。
「このクッキー美味しいな」
俺は美佐が持ってきてくれたクッキーを食べた後、素直にそう言った。
そう、本当に凄く美味しかったから。
「本当? 良かったあ!」
美佐はそう言った俺に凄く嬉しそうな顔を向けてそう言った。
「でも、何で花も持ってきたの? クッキーなら食べ物だから解るけど。俺、花とかに興味ないのに」
俺は今はもう既に花瓶の代わりに長いグラスワインに生けてある美佐が持ってきた花達を見て言った。
「ん? だってね、優くんにはいつも明るい気持ちでいてほしいから。カラフルなお花を飾ると楽しい気持ちになれるかなあって」
「まあ、確かにこの殺風景な部屋にカラフルな花があると本当に明るい感じになるよな。でも、美佐」
「ん?」
俺は少し離れて座っていた美佐を引き寄せて抱きしめた。
そして、
「……俺が明るい気持ちでいられるのは…1番元気でいられるのは美佐と一緒にいる時だよ。だから、これからもずっとずっと傍にいてくれよな」
そう言った。
俺がそう言うと美佐は思いっきり嬉しそうな顔をして、
「うん、ずっとずっと一緒にいるからね! 後、私も1番元気でいられるのは優くんといる時だから」
そう言い俺の右の頬にキスをした。
そう。俺は君のおかげで人生も楽しいって思えるようになったんだ。
とても優しい君のおかげで。
だから、いつまでもその優しさで俺を包んでいてほしい。
それは君にしかできないことだから。
END
大学が休みの日曜日の朝10時頃に1人暮らしをしているワンルームマンションの自宅のチャイムが鳴った。
インターホン越しに出るとチャイムを鳴らしたのは俺の彼女の美佐だと解り俺はすぐにドアを開けに行った。
するといきなり美佐は色とりどりの可愛い花束を俺の前に差し出してきて、
「おはよう。優くん」
いつもの優しい笑顔でそう言った。
「今日ねバイトがお店の都合で休みになったから優くん家に突然行って、優くんのこと驚かせようかな~って思ったんだ」
部屋に入ってコートを脱いだ後、美佐は2人分のコーヒーを淹れてテーブルに置いた後にそう言った。
「そうなんだ」
「うん、だって、優くんも今日、バイトないから家でゆっくりしとくって言ってたからいるかなと思って」
そう言い美佐は花束と一緒に持ってきたという美佐の手づくりのクッキーをお皿の上に出した。
俺と美佐は今、大学2年生で大学に入ったばかりの頃に俺が暇つぶしのためにたまたま覗いた音楽サークルで出会った。
俺はただの暇つぶしだったけど美佐はフルートが大好きで先輩にフルートを借りて熱心に吹いていた。
お世辞にも上手いとは言えなかったけど、でも、何だかその時の美佐の吹くフルートの音色が俺には凄く心地良くて俺は無意識のうちに美佐に声をかけた。
どうしてそんなことになったのかはっきりとは解らないけれど、俺はその時の美佐の吹くフルートの音色にもっと触れていたいと思ったんだと今では思っている。
美佐の吹くフルートの音色は凄く優しくも感じたから。
それまでの俺は殆ど優しさというものに触れてこなかったから。
だから、きっとその優しい音色に惹かれたんだと思う。
そして、それまでの俺は自分以外は信じることはできなかったから。
でも、美佐はそんな俺の心を出会ってから少しずつ溶かしてくれた。
そして、また生きるということは楽しいことも沢山あるんだと教えてもくれた。
「このクッキー美味しいな」
俺は美佐が持ってきてくれたクッキーを食べた後、素直にそう言った。
そう、本当に凄く美味しかったから。
「本当? 良かったあ!」
美佐はそう言った俺に凄く嬉しそうな顔を向けてそう言った。
「でも、何で花も持ってきたの? クッキーなら食べ物だから解るけど。俺、花とかに興味ないのに」
俺は今はもう既に花瓶の代わりに長いグラスワインに生けてある美佐が持ってきた花達を見て言った。
「ん? だってね、優くんにはいつも明るい気持ちでいてほしいから。カラフルなお花を飾ると楽しい気持ちになれるかなあって」
「まあ、確かにこの殺風景な部屋にカラフルな花があると本当に明るい感じになるよな。でも、美佐」
「ん?」
俺は少し離れて座っていた美佐を引き寄せて抱きしめた。
そして、
「……俺が明るい気持ちでいられるのは…1番元気でいられるのは美佐と一緒にいる時だよ。だから、これからもずっとずっと傍にいてくれよな」
そう言った。
俺がそう言うと美佐は思いっきり嬉しそうな顔をして、
「うん、ずっとずっと一緒にいるからね! 後、私も1番元気でいられるのは優くんといる時だから」
そう言い俺の右の頬にキスをした。
そう。俺は君のおかげで人生も楽しいって思えるようになったんだ。
とても優しい君のおかげで。
だから、いつまでもその優しさで俺を包んでいてほしい。
それは君にしかできないことだから。
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