短い恋のお話

愛理

文字の大きさ
33 / 73

「2人の運命」

しおりを挟む
「ね、実、もしもね、この先、私と実が離れる運命だったらどうする?」
 日曜日の朝、私は彼氏の実の車でドライブをしている時にそう言った。
 私と実は幼馴染で、同じ歳で、今はお互いに24歳だった。
 大学まではずっと一緒で、会社は別々の所に就職した。
 恋人同士になったのは、お互いに社会人になってからだった。
 実がずっと好きだったと告白してくれた。
 私もずっと実のことが好きだったから凄く嬉しかった。
 私達は家がずっと隣同士で今もお互いに実家に住んでいる。
「何? ずっと俺、瑠奈に片思いしてて、やっとこうして恋人同士になったのにまた俺、片思いでもすんの?」
「そうじゃなくて、お互いに好きでたまらないのに離れなきゃいけない運命だったらってこと」
「どんな状況だよ」
「もしもの話だよ。もしも、離れなきゃ2人に災難が降りかかってくるとしたら実どうする?」
 私がそう言った後、実はふっと笑った。
 え? 何? やっぱり、もしもの話なんて馬鹿らしいとか思われてるのかな。
 私がそう思っていると、
「もしそんな状況になったとしても絶対に離れないに決まってるじゃん。それにどんな災難が降りかかってこようと俺はお前を守りながら、どんな災難でも困難でも乗り越えてみせるし、離れなきゃいけない運命なんだったら、俺の手でそうならないように運命だって変えてやるよ」
 実が力強い声でそう言った。
 私はそんな実にドキッとした。
「な、何か実、さらっと凄いこと言ってない?」
 だから、私は少し動揺してこんな言葉しか言えなかった。
 だって、まさか真面目にこんな風に答えてくれるなんて思ってなかったから。
「そうか? でも、本当のことだし。でもさ、だから、そんな、もしもとかの悪い仮説のことなんてもう2度と考えないで幸せの方の仮設を考えろよ。それで俺に運命を預けてろよ」
 そう言い実は信号待ちで車を停めた時に私に優しいキスをした。
 私はそのキスを受けとめながら、
 うん、私の運命、実に全て預けるよ。
 実がそう言ってくれるなら。
 だから、実、どうか、これからもずっとずっと一緒に私といてね。
 そして、運命を共にしてね。
 そう思っていた。
                                                           END
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

処理中です...