短い恋のお話

愛理

文字の大きさ
38 / 73

「君と出会えた奇蹟」

しおりを挟む
    君に会うまで本当は心の何処かでいつも寂しさを感じていたんだ。

「よし! 可愛く飾れた!」
    日曜日の昼過ぎに俺が1人暮らしをしているマンションで俺の恋人である里香がそう言った。
    里香はさっきここに来たばかりだった。
    今日は夕飯をつくってくれるらしい。
「何がよしなの?」
    俺はそう言いながら座っていたソファーから立ち上がり里香の傍に行った。
    俺達2人は今リビングルームにいた。
「ん? 今日、買ってきたお花を花瓶にバランスよく入れれたなって思って」
    里香はにこにこしながらそう言った。
    そう。里香は今日、ピンク色と黄色と白色の花を束にして持ってやって来たのだった。
    里香はたまにこうして俺の家に来る時に花を持ってやってくる。
    里香いわく、俺の部屋はモノクロトーンで殺伐としてるから、こういう可愛くて綺麗なものを飾った方がいいからということらしい。
    まあ、でも、確かに飾られた花を見て悪い気はしない。 
    むしろ、何かこう優しい気持ちにもなる。
    そして、花を見て、無邪気な笑顔を見せる里香も見ることができるから、花を飾ることはやっぱりいいことだなって、たった今、里香の笑顔を見てそう思った。
    俺と里香は俺が転職した会社で知り合った。
    前にいた会社がどうも性に合わなくて、2年で辞めて、今の会社に転職して、俺が転職した当時、既にそこで里香が事務職員として働いていた。
    新しく入ったばかりの俺に里香は凄く優しく色々と教えてくれて、また、人としても本当に優しい人だった。
    俺が転職した当時、俺は25歳で、里香は23歳と2つ年下であったけど、精神的には多分、里香の方がうんと大人だったと思う。
    そして、多分、今もそれは変わってないと思う。
    俺はそんな里香と接しているうちに里香にどうしようもなく惹かれて、知り合って1年後に気持ちが溢れだすのを抑えられなくて、里香を食事に誘った時に告白した。
     すると里香は私も好きなんだと言ってくれて、俺達は恋人同士になった。
    今は恋人同士になって2年目に入ろうとしているところだった。
    里香はどれだけ一緒にいるようになっても全然変わらない。
    とても優しい心の持ち主でいつも俺のことを優しく包み込んでくれる。
    だけど、今みたいに少女みたいなところもあって、そんなところは可愛くて堪らない。
    俺は里香と恋人同士になってからは凄く心が満たされるようになった。
    それまでは幾つか恋もしたけれど、そんなにお世辞とかも上手くない俺は恋人が言ってほしいこととか上手く言えなかったりして、よく喧嘩になって、最後には疲れて別れるというパターンばっかりだったから。
    でも、里香といる時は凄く自然な自分でいられて、何より本当に里香のことが愛しいって心から感じる。
    だから、里香といると凄く心が満たされるんだと思う。
    寂しがり屋ではない方だとは思っていたけど、里香に出会って、恋人同士になってからは本当はこういう存在を心の奥底で求めていたんだと凄く実感した。
    そう今、思い返して、俺は何だかもの凄く里香のことが愛しくなって堪らなくなり、俺は里香のことを抱きしめた。
「淳?」
「里香、愛してる。俺、里香に出会えたことは奇蹟だって思う程に本当に嬉しく思ってる。だから、これからもずっと俺の傍にいてくれよな。普段はあまりこんなこと言えない俺だけど、いつも里香のこと本当に想ってるから」
    俺がそう言うと里香は一瞬だけ目を見開いて、でも、すぐに笑顔になって、
「私も淳に出会って、恋人同士になれて、こうして2人一緒にいられることが奇蹟が起きた時みたいに嬉しいと思ってるよ。だから、勿論、ずっと傍にいるよ。だから、淳もずっとずっと私のこと好きでいてね。そして、私を傍に置いてね」
    そう言い俺の背中に手を回してぎゅっと力を籠めた。
                                                         END       
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

処理中です...