「君に会ってから」

愛理

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第6話「ドキドキが止まらない」

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「あー、どうしよう。もう何か俺、大丈夫かな」
  王子様役を頑張ろうと決めたものの、練習が始まるとそんな沢山、出番はないとはいえ、やっぱり、重要な役どころではあるから、演劇の経験のない俺には難しいと思ってしまった。
  そして、俺は学校からの帰り道に思わずそんなことを言ってしまった。
  ちなみに木崎さんに王子様役をすることになったと伝えた時は木崎さんは凄く喜んで、
「わあ、凄い。でも、きっと谷原くん、王子様役、似合うだろうな。私、楽しみにしてるね」
  そう言ってくれた。
  俺はそんな木崎さんの言葉を聞いて、ますます頑張ろうと思ったんだけど……。
  演技の練習する時は本当に一杯、一杯になってしまって。
「もう、お前、うざい。頑張るって決めたんやろ」
  広ちゃんが呆れたように言った。
「うん、そうだけど」
「あー、じゃあ、お前、章子に練習相手になってもらえや」
  広ちゃんが言った言葉にえっ? と俺は驚いてしまった。
  だって、それって、俺と木崎さんがもしかするとラブシーンとかしてしまうってことかもしれないから。
  それに木崎さんだって、俺相手に練習とか嫌だろうし。
  俺がそんなことを思っていると、
「シンデレラのお姫様の役かあ。それなら、私、練習相手になってみたいな」
  木崎さんがそう言い、俺はまた驚いた。
  え? 嘘。
  というか王子様の役、俺なんだけど……。
  広ちゃんじゃなくていいの?
  俺がそう思っていると、
「じゃあ、日曜日に谷原の家で3人で練習しようや」
  広ちゃんがそんなことを言った。
  え、俺の家で?  まあ、俺のことなんだから、俺の家で妥当かとは思うけど、何で役の練習もしない広ちゃんまで来ることになるんだろう?
  やっぱり、それって、俺と木崎さんが2人きりになると嫌だからとかそんな理由だろうか。
  俺はそんなことを思って、頭の中をぐるぐると回転させていると……。
「俺はお前ら2人の演技見て、観客目線で、ええわとか、あかんわとか言ったるから。だって、そうやないとお前らの演技がいいか悪いかなんか解らへんやろ」
  広ちゃんがそう言ったので、俺は、あ、そういうことなのかと単純に納得してしまった。
  ただ、勿論、まだまだ広ちゃんと木崎さんが好き合っているかもしれないということは思っているけど。
  でも、広ちゃんが思いつきで言って、偶然そうなったとはいえ……そして、演劇の練習とはいえ、今度の日曜日に俺と木崎さんがラブシーンをするのかと思ったら、俺は何だかドキドキしてきて、そのドキドキが止まらなくなってしまった。
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