「忘れられない人」

愛理

文字の大きさ
23 / 64

第23話「想いを伝えたくて」

しおりを挟む
  私が知咲から陸人がアメリカに行き当分の間、日本に帰ってこないと聞いたのは18日だった。
  それから私は悩んだあげく、23日に陸人が旅立つ空港へ行き、陸人に私の本当の想いを伝えることにした。
  そうしなければずっと後悔すると思ったから。
  だけど、肝心の陸人が利用する空港は結局、解らずじまいだった。
  だから、私はいちかばちかの賭けに出て、成田空港へと行くことにした。
  成田空港に決めた理由は私と陸人がつきあっていた時に陸人がアメリカへと旅立って行った場所だからという凄く単純なことだった。

   私は前もって、23日は有給休暇をもらい、堂々と成田空港まで行った。
  そして、成田空港に着くと必死に陸人を捜した。
  知咲から陸人がアメリカに行くと聞いた次の日、私は思わず陸人に電話をかけてしまった。
  だけど、コールはするものの陸人が電話に出ることがなくて、折り返しの電話もかかってこなかった。
  だから、私は直接、陸人を捜すしかなかった。
  勿論、ここに陸人がいるという保証は何もないけれど。
  だけど、陸人を捜して、30分くらい経った頃、神様が私に味方してくれた。
  私は椅子に座って、飛行機の時間の表示を見ている陸人を見つけた。
  周りにいる人達は今、そこに座っているのが人気モデルの佐山陸人だということには気づいていないらしく、誰も陸人の方を向いてはいなかった。
  今の陸人はいつもより地味目の服を着ていて、髪型もメディアに出る時はしないような髪形をしているからからもしれない。
  だけど、私はすぐにそれが陸人だと解った。
  私は陸人にそっと近づき、陸人の目の前に立った。
  すると訝しげな表情で陸人は私を見上げて、そして、その後すぐに驚いた顔をして、
「亜美」
  私の名前を呼んだ。
「どうしてここに?」
  陸人はまだ驚いたような顔をしてそう言った。
「偶然だけど、陸人がアメリカに行くって聞いたから。それに当分、日本に帰ってこないとも。だから、私、陸人に本当の気持ちを伝えに来たんだ。今、伝えておかないと一生、後悔すると思うから」
  私がそう言うと陸人は少しだけ戸惑ったような顔をして、でも、その後、
「解った。じゃあ、俺も亜美に本当の気持ちを伝えるよ。だから、あまり人が来ないような場所に行こう」
  そう言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

側妃の愛

まるねこ
恋愛
ここは女神を信仰する国。極まれに女神が祝福を与え、癒しの力が使える者が現れるからだ。 王太子妃となる予定の令嬢は力が弱いが癒しの力が使えた。突然強い癒しの力を持つ女性が異世界より現れた。 力が強い女性は聖女と呼ばれ、王太子妃になり、彼女を支えるために令嬢は側妃となった。 Copyright©︎2025-まるねこ

処理中です...