「もう1度、澄んだ青空を見るために」

愛理

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第1章「異変」

第11話「この世界に異変が起きた理由」

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「何かスケールのでかい話だよなあ。わりと何でも受け入れる俺でもちょっと信じられないけど、ワープとかできるのを見せられたりしたら信じるしかないよな。でもさ、不思議なんだけどこんなスケールのでかい話を聞いても、やっぱり腹って減るもんなんだよな」
 功が言った。
 功の最後の部分の発言に対して、勇気は少し呆れたような表情で功を見て、心と守はそれとは正反対に優しい笑みを浮かべて功を見た。
「そうですね。お腹が減るのは生きているんだからあたり前の現象です。じゃあ私がちょっとお台所をお借りして、ご飯をつくってきます。勿論、私の手料理で皆さんが良ければですが」
 心が優しい口調で言った。
「えっ? でも、料理つくる材料あんの?」
 勇気がそう聞くと、
「大丈夫です。この家をこんな風に使うだろうことは前から予想していたので、冷蔵庫にはたっぷりと食料になる素材を入れておいたので。勿論、期限がもつものも沢山用意しています」
 守がにっこりと笑ってそう言った。
 一体、この2人の落ち着きようは何処から来るんだろうと勇気は思った。
 守は光の世界の住人だから、まだ解るような気もするけれど、心はどうしてこんなに落ち着いていられるんだろうと思う。
 しかし、勇気のそんな想いはテーブルに心がつくった手料理が並べられて何処かにあっという間に飛んでしまった。
 もの凄く美味しそうだったからだ。
「うわー、すっげーうまそー」
 功が弾んだ声で言った。
 4人は今、居間のテーブルを囲んで床に座っていて、そのテーブルにはビーフシチュー、サラダ、デザート、ご飯が並べられていた。
「お口にあえば嬉しいんですが」
 心が言う。
「大丈夫。こんだけいい匂いしてるし」
 功が言う。
 そして、4人は心がつくった料理を食べ始める。
「うわーっ! すっげー美味い! そういえば俺、朝から何も食べてなかったんだよなあ。だから、生き返った感じがする!」
 功がビーフシチューをがつがつ食べながら言う。
「本当に美味しいですね」
 守が優しい笑みを浮かべて言う。
「ところでさ守ってさ、あ、守って呼び捨てにしていいよな? 俺のことも勿論、呼び捨てにしてくれていいし」
 功が言う。
「はい。勿論です。で、何でしょうか?」
 守が功の方を見て言った。
「うん、光の世界の住人だけど、こういうものも食べるんだ?」
「はい。光の世界の住人はどの世界の食べ物も受けつけられる身体になっているんです」
「へー、それは便利だよなあ。後さ、黒い心って一体どんな化け物なの? でかいのか?」
「ええ、もの凄く大きいです。だって、地球の人達の心の闇の部分でつくられた化け物なので」
「地球の人達の心の闇の部分でつくられた化け物?」
 功が少し顔をしかめて言った。
「はい、そうです。勿論、この地球に住む人達は良心的な部分が沢山ありました。だけど、ここ数年で心に闇を抱えるようになった人達が圧倒的に増えてきました。黒い心はそんな闇でつくられたものなんです。そして、この世界でこんな異変が起こったのです」
「……じゃあさ、俺の母さんが変になったのは?」
「それはおそらく黒い心がばら撒いた闇の菌のせいです。だから、黒い心を倒し、この世界に住む人達を元通りにしなければならないのです。また、黒い心を倒すと共にこの世界は以前のように思いやりをもった人達が沢山住む世界にもなるはずです」
 勇気はこの世界の異変の原因は人間の心の闇の部分がつくりだしたものだと聞き驚いた。
 心も守の話をじっくりと聞いていた。
 そして、功は真剣に守の話を聞きながらもご飯だけは食べ続けていた。
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