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「初めての本気 リターンズ」
第6話
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それから数日後のことだった。
「長原、話があるんだけど」
とかなり久しぶりに花蓮さんが俺のクラスに教室にやって来てそう言った。
2時間目の授業が終わった後の休み時間に。
それもかなり怒っているような感じなので、教室にいる他の皆もこっちに注目していた。
「何かな?」
だけど俺は他の皆の視線は気にしないことにして、花蓮さんだけを見てそう言った。
すると花蓮さんはまだ怒ったような感じで、
「ここじゃ話しにくいから、別の場所に移動してくれる?」
そう言ったので、俺は花蓮さんと一緒に教室から出ていった。
花蓮さんは俺達2年生の教室がある校舎とは向かい合わせにある校舎の方に向かって歩いていった。
向かい合わせの校舎には2階にある渡り廊下を渡って行けるようになっていた。
そして、俺達2年生の教室は2階にあるから、簡単にその渡り廊下に行くことができた。
花蓮さんが立ち止まったのは向かいの校舎にある、今は人気がない視聴覚室の前だった。
そこで立ち止まり、くるりと俺の方を向いて、
「長原、理菜が1時間目の休み時間が終わって1人でトイレに行って教室まで戻ってくる間に怪我したんだけど」
そう真剣な顔をして言った。
「えっ? もしかして怪我酷いの? でも、何で怪我したの?」
俺は驚いて少し、しどろもどろになりながらそう言った。
「怪我はたいしたことはなかったの。少し右の膝を打って、赤くなったくらいで。勿論、念のために保健室には連れていったけど。だけど転んだ理由がね」
花蓮さんはそこで一旦、言葉を区切り、溜息を吐いた。
俺はそんな花蓮さんを見て嫌な予感がした。
もしかして、理菜が怪我した理由って……俺?
俺がそう思っていると、
「長原、あんたが以前、つきあっていた彼女に転ばされたみたい。しかも、その場には未だにあんたに片思いしている子もいたみたいで」
花蓮さんがそう言った。
ああ、やっぱり。
俺はそう思い顔をしかめた。
そんな俺を見て花蓮さんはまたもう1度だけ溜息を吐き、その後、
「長原、私はあんたが理菜のことを本気で想ってる気持ちは今はよく知ってる。だから、勿論、理菜とあんたの恋は応援してるし、何かあったら私ができることなら協力はする。だけど、あまりにもこんな風に理菜が傷ついたりするなら、その時は例えあんたがどんなに理菜のことを想っていたって、容赦なく引き離すから。だから、そうならないように長原にはもっと理菜を守ってやっていてほしいの」
強い口調でそう言った。
「花蓮さん」
「話はそれだけ。突然、教室まで尋ねてこんなところまで連れてきてごめんね。だけど、やっぱり、理菜には傷ついてほしくないから。じゃあ、私、行くね」
花蓮さんはそう言った後、今度は1人でスタスタと俺達2年生の教室がある方の校舎に向かって歩いていった。
今の休み時間は10分しかなく、もうそろそろチャイムがなる頃だから俺も花蓮さんの後を追ってすぐに教室に戻らなければいけない。
だけど、今、花蓮さんから伝えられた事実……俺の知らないところで、俺のせいでまた理菜のことを傷つけてしまったという事実に打ちのめされて俺はその場から少しの間、動くことができなかった。
「長原、話があるんだけど」
とかなり久しぶりに花蓮さんが俺のクラスに教室にやって来てそう言った。
2時間目の授業が終わった後の休み時間に。
それもかなり怒っているような感じなので、教室にいる他の皆もこっちに注目していた。
「何かな?」
だけど俺は他の皆の視線は気にしないことにして、花蓮さんだけを見てそう言った。
すると花蓮さんはまだ怒ったような感じで、
「ここじゃ話しにくいから、別の場所に移動してくれる?」
そう言ったので、俺は花蓮さんと一緒に教室から出ていった。
花蓮さんは俺達2年生の教室がある校舎とは向かい合わせにある校舎の方に向かって歩いていった。
向かい合わせの校舎には2階にある渡り廊下を渡って行けるようになっていた。
そして、俺達2年生の教室は2階にあるから、簡単にその渡り廊下に行くことができた。
花蓮さんが立ち止まったのは向かいの校舎にある、今は人気がない視聴覚室の前だった。
そこで立ち止まり、くるりと俺の方を向いて、
「長原、理菜が1時間目の休み時間が終わって1人でトイレに行って教室まで戻ってくる間に怪我したんだけど」
そう真剣な顔をして言った。
「えっ? もしかして怪我酷いの? でも、何で怪我したの?」
俺は驚いて少し、しどろもどろになりながらそう言った。
「怪我はたいしたことはなかったの。少し右の膝を打って、赤くなったくらいで。勿論、念のために保健室には連れていったけど。だけど転んだ理由がね」
花蓮さんはそこで一旦、言葉を区切り、溜息を吐いた。
俺はそんな花蓮さんを見て嫌な予感がした。
もしかして、理菜が怪我した理由って……俺?
俺がそう思っていると、
「長原、あんたが以前、つきあっていた彼女に転ばされたみたい。しかも、その場には未だにあんたに片思いしている子もいたみたいで」
花蓮さんがそう言った。
ああ、やっぱり。
俺はそう思い顔をしかめた。
そんな俺を見て花蓮さんはまたもう1度だけ溜息を吐き、その後、
「長原、私はあんたが理菜のことを本気で想ってる気持ちは今はよく知ってる。だから、勿論、理菜とあんたの恋は応援してるし、何かあったら私ができることなら協力はする。だけど、あまりにもこんな風に理菜が傷ついたりするなら、その時は例えあんたがどんなに理菜のことを想っていたって、容赦なく引き離すから。だから、そうならないように長原にはもっと理菜を守ってやっていてほしいの」
強い口調でそう言った。
「花蓮さん」
「話はそれだけ。突然、教室まで尋ねてこんなところまで連れてきてごめんね。だけど、やっぱり、理菜には傷ついてほしくないから。じゃあ、私、行くね」
花蓮さんはそう言った後、今度は1人でスタスタと俺達2年生の教室がある方の校舎に向かって歩いていった。
今の休み時間は10分しかなく、もうそろそろチャイムがなる頃だから俺も花蓮さんの後を追ってすぐに教室に戻らなければいけない。
だけど、今、花蓮さんから伝えられた事実……俺の知らないところで、俺のせいでまた理菜のことを傷つけてしまったという事実に打ちのめされて俺はその場から少しの間、動くことができなかった。
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