白銀皇女の覇道譚 ~侵略国家の皇女は覇道を歩む~

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第二章 学園編

23 広がる噂

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 入学式の終了後、アルメリアは学園に併設されている学生寮に用意されている自分用の一室に来ていた。
 今まで彼女が暮らしていた離宮は学園からそう遠くない位置にある。その為、離宮から通学する事も不可能ではない。
 だが、今のアルメリアの身分はオルティア商会の令嬢だ。その為、離宮からこの学園に通う訳にもいかない。故に彼女は学園内にある学生寮へと入寮する事になっていた。
 しかし、曲がりなりにも皇族であるアルメリアを普通の部屋にするわけにもいかない。そこで、アルメリアの部屋は高位貴族の令嬢の為に用意されている特別な部屋を貸し与えられていた。
 しかし、今のアルメリアは皇家御用達とはいえ一商会の令嬢という身分だ。彼女にそんな部屋が用意されるのは不自然だ。
 そこで、オルティア商会が多額の献金を行った事でアルメリアにこの部屋の使用許可が下りたという形になっている。

「姫様、お疲れ様でした」
「ええ、ありがとう」

 入学式後も今後についての説明等があり、結局彼女達が子の寮に到着したのは夕刻になってからだった。

「それにしても、驚きましたわ。まさか、最後にお父様がいらっしゃるなんて」
「そうですね……」

 この件についてまったく知らされていなかったアルメリアは父の目的が何かを考えた。しかし、彼の目的については皆目見当がつかなかった。だが、あの父のやる事だ、何らかの目的があるのは間違いないだろう。

「まぁ、今はその件については考えても無駄でしょう。リリア、就寝の準備を」
「畏まりました」

 そして、アルメリアは明日に備えて就寝の準備を始めるのだった。



 アルメリアが学園に入学してから数日が経っていたある日の事。彼女たちは学園内に流れていたある噂の事を耳にしていた。
 それは、皇族の一人が身分を隠して学園に在籍しているというものだった。その理由の一つとして挙げられているのは入学式での皇帝の登壇であった。

「まさか、皇帝陛下のご登壇がこんな噂を招くとは……」
「そうですわね……」

 学園に向かう道中でそんな事を二人は話していた。
 その噂はある意味では事実なのだが、それを知っているのはこの国でも殆どいない筈だ。それこそ、ここにいる二人を除けば父であるガイウスとその側近、また学園前に一度だけ顔合わせをしたオルティア商会の商会長くらいだろう。

「まさか、姫様の事が露呈したのでは?」
「いえ、それはあり得ませんわ。もし、わたくしの事が露呈したのであれば、今頃わたくしに声を掛けてくる生徒がいる筈ですもの」

 しかし、現実はアルメリアに声を掛けてくる生徒はいない。それはアルメリアの事は露見していない事を意味している。

「では、この噂は何処から流れてきたのでしょうか。生徒たちが面白半分で噂を流しているのでしょうか?」
「ですが、それだけではないのでしょう。恐らく、正確な噂の発信元がある筈ですわ。そして、その発信元はその都度正しい噂を流しているのでしょう」
「……どういう事でしょうか?」
「この噂、内容があまりにも具体的過ぎますし、その内容も正確すぎますわ」

 普通、こういった噂は荒唐無稽なものから始まり、人を介するにつれ面白おかしく脚色されていくものだ。そして、その中に実は正解があるというものが定番だったりする。
 しかし、今学園で流れている噂はその内容が最初から一貫しすぎていた。

「恐らく、この噂の後ろには何者かの意図が絡んでいるのでしょうね」
「何者か、ですか……」

 この短期間でこれだけ正確な内容の噂を流す事が出来る人物、彼女にはその人物に思い当たる者が一人だけいた。

「……まさか」
「リリア、あなたの想像通りですわ。この噂にはお父様が関与しているのでしょう」
「……皇帝陛下は何をお考えなのでしょうか?」
「分かりませんわ。まぁ、お父様の行う事ですし、何かの意図があるのは間違いないでしょうが」

 恐らく、あの入学式の時から噂を流す事を考えていたのだろう。
 だが、アルメリアの感想としては先日も思った通り、今は考えても無駄だろうという事だけだった。

「今は考えても詮無き事。学園の勉学に集中するとしましょうか」
「……畏まりました」

 そして、アルメリアは学園の中へと入っていくのだった。
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