25 / 52
第二章 学園編
24 魔道具の授業
しおりを挟む
学園内で広がっている身分を隠した皇族の噂、それは当然アルメリア達のいるクラスでも広がっていた。
「おい、知っているか。一年生の中に皇族の方が……」
「なんでも、身分を隠して……」
そして、そんな生徒たちの噂話は嫌でもアルメリアの耳にも入ってくる。
(あの噂、ここまで広がっていますのね。ですが、噂をしている彼等もまさか自分たちのすぐ近くにその本人がいるとは思ってもいないのでしょうね)
そして、アルメリアがそこまで考えた時、チャイムが鳴った。次の授業が始まる合図だ。その音が鳴ると、噂話をしていた生徒たちは一瞬にして静まりかえる。
すると、その直後に教室に入ってきたのは白衣を着た女教師であった。
「初めまして、わたしは皆さんの魔道具に関する授業を受け持つアイシャと言います。よろしくお願いします」
そして、アイシャと名乗ったその女教師は早速と言わんばかりに授業を始めた。
「では、これより授業を行います。今日は魔道具の歴史についての講義です。皆さん、早速ですが魔道具が何なのかは知っていますね」
アイシャのその言葉に教室にいた全員が首肯する。魔道具は今の人間の生活に欠かせないものだ。それこそ、街を照らしている街灯や火を起こすためのコンロに始まり、戦場で使われる武器に至るまで、ありとあらゆる場所で魔道具は使用されている。
「では、魔道具がどのようにして作られているのか、それが分かる人はいますか?」
アイシャのその言葉に数名の生徒が手を上げると、彼女はその内の一人を指名し答えるように促した。
「魔道具は魔獣の死骸から採取できる骨や皮、或いは魔石を素材としています。それを錬金術を用いて加工することで作られています」
「はい、その通りです」
そして、アイシャはそれらの内容を黒板に書き記していく。
「ここにいる皆さんであるなら魔獣の事はご存じですよね」
「はい。魔獣とは魔族が生み出した眷属、或いはその子孫の事です」
「ええ、その通りです」
そして、彼女は魔獣と錬金術についての歴史を話し始めた。
かつて、存在した魔王の眷属であった魔族たちは自らの眷属や下僕として野生の獣を元に魔獣を生み出した。
しかし、今では聖魔大戦と呼ばれる戦争の最終局面、勇者と魔王の最終決戦時に数多くの魔族が魔王と共に討たれる事になった。その際、彼らが従えていた魔獣たちの一部が生き残ってしまったのだ。それらは主を失い、そのまま野に放たれることになる。
そんな魔獣たちは野生の獣と交わり子孫を残していた。幸か不幸か、どちらかの親が魔獣であった場合、生まれてくる子供も全て魔獣になるという特性も備えていたのだ。
そんな特性からか、野生の魔獣は時間とともにその数を増していった。
教会の騎士たちも魔獣を討伐していたが、討伐速度に対し繁殖速度が勝り次第に魔獣たちはその数を増やしていく。
更に言うなら、魔獣の個体数の増加には周辺諸国の協力性の無さも大いに影響していた。
魔王という強大な敵がいなくなった事で協力体制を築いていた国々が小競り合いを始めたのだ。
また、魔王とは違い、魔獣は知性の低い獣でしかない。言うなれば、魔獣という存在は各国にとっては獣害程度でしかなく、国家規模の脅威ではなかった。
更に言うなら、魔獣を討伐すること自体が、国家にとって殆ど利益のない行為であった。魔獣の死骸は魔王の遺産であるとされていた為、教会によって回収されることになっていたからだ。
そのため、各国は魔獣の討伐にはかなり消極的であったのだ。
そこで、教会が考え出した苦肉の策が魔獣の死骸の再利用であった。魔獣から採取する事が出来る数多の素材、それを利用した錬金術による魔道具の作成、それを認めることで各国に自発的に魔獣を討伐するように仕向けたのだ。
その目論見は見事に成功し、各国は挙って自国内の魔獣を討伐し始めたのである。
「そして、今では各国が錬金術を研究しております。昨今では錬金術の技術水準は国家の国力を決める大きな指針の一つであるとも言われておりますね」
そう言いながら、アイシャは黒板にそれらの内容を書き記していく。
「それでなのですが、教会は魔獣の死骸を素材とすることを認めたと説明したと思いますが、その中には認められないものもありました。それが魔王とその力に関する研究ですね。
魔獣は魔王の眷属であるが生み出した下僕です。魔獣を研究してかつての魔王と同じ力を手に入れようと野心ある国が昔は少なからずあったみたいですよ。
でも、それが教会に見つかって、周辺諸国や教会の抱える聖騎士部隊に一気に攻め込まれて国が滅んだという話もセットで付いて来るのですけどね」
そう言いながらアイシャは苦笑する。
「因みにですが、その研究は魔王の持つ魔力になぞらえて魔の錬金術と呼ばれていますね。
余談ですが、魔の錬金術は魔族の残党が一番詳しいそうですよ。教会が禁止しているといっても元から教会の敵である魔族には関係ありませんからねぇ。先程の話で出た野心ある国々も大体が裏に魔族がいたそうです」
そして、アイシャは先程と同じように今迄の内容を黒板に記した。
「では、ここからは錬金術の歴史についての……」
と、アイシャが話しだそうとした時、チャイムが鳴った。授業終了の合図だ。
「あら、もう時間ですか。では、ここで授業は終了とします」
そして、アイシャは手元の資料を纏めると、そのまま教室から退出していった。それを見送った生徒たちはこの授業が本日最後という事もあり、帰る準備を始める。
そんな中、アルメリアは先程の授業の内容を思い返しながら、ふと自らの指に嵌められた指輪へと視線を落とした。
(お父様から頂いたこの指輪、まさか……)
この指輪は入学祝いとしてアルメリアが父である皇帝から贈られたものだ。曰く、帝国の錬金術の粋を集めたもので、その効果はアルメリアの持つ魔力の隠匿というものだそうだ。
そして、先ほどのアイシャの説明通りであるなら、この指輪には魔の錬金術が間違いなく関わっている。
つまり、ガイウスの裏には魔族がいるという事だ。しかも、今までの事を考えればその関係は相当に長く深いのだろう。
(お父様は一体いつからこの事を見越して……?)
そこまで考えたその時、アルメリアの元にリリアが現れた。
「姫様、お迎えに参りました」
「ええ、いつもありがとう」
そして、リリアの言葉でアルメリアは考えるのを止め、帰る準備を始めるのだった。
「おい、知っているか。一年生の中に皇族の方が……」
「なんでも、身分を隠して……」
そして、そんな生徒たちの噂話は嫌でもアルメリアの耳にも入ってくる。
(あの噂、ここまで広がっていますのね。ですが、噂をしている彼等もまさか自分たちのすぐ近くにその本人がいるとは思ってもいないのでしょうね)
そして、アルメリアがそこまで考えた時、チャイムが鳴った。次の授業が始まる合図だ。その音が鳴ると、噂話をしていた生徒たちは一瞬にして静まりかえる。
すると、その直後に教室に入ってきたのは白衣を着た女教師であった。
「初めまして、わたしは皆さんの魔道具に関する授業を受け持つアイシャと言います。よろしくお願いします」
そして、アイシャと名乗ったその女教師は早速と言わんばかりに授業を始めた。
「では、これより授業を行います。今日は魔道具の歴史についての講義です。皆さん、早速ですが魔道具が何なのかは知っていますね」
アイシャのその言葉に教室にいた全員が首肯する。魔道具は今の人間の生活に欠かせないものだ。それこそ、街を照らしている街灯や火を起こすためのコンロに始まり、戦場で使われる武器に至るまで、ありとあらゆる場所で魔道具は使用されている。
「では、魔道具がどのようにして作られているのか、それが分かる人はいますか?」
アイシャのその言葉に数名の生徒が手を上げると、彼女はその内の一人を指名し答えるように促した。
「魔道具は魔獣の死骸から採取できる骨や皮、或いは魔石を素材としています。それを錬金術を用いて加工することで作られています」
「はい、その通りです」
そして、アイシャはそれらの内容を黒板に書き記していく。
「ここにいる皆さんであるなら魔獣の事はご存じですよね」
「はい。魔獣とは魔族が生み出した眷属、或いはその子孫の事です」
「ええ、その通りです」
そして、彼女は魔獣と錬金術についての歴史を話し始めた。
かつて、存在した魔王の眷属であった魔族たちは自らの眷属や下僕として野生の獣を元に魔獣を生み出した。
しかし、今では聖魔大戦と呼ばれる戦争の最終局面、勇者と魔王の最終決戦時に数多くの魔族が魔王と共に討たれる事になった。その際、彼らが従えていた魔獣たちの一部が生き残ってしまったのだ。それらは主を失い、そのまま野に放たれることになる。
そんな魔獣たちは野生の獣と交わり子孫を残していた。幸か不幸か、どちらかの親が魔獣であった場合、生まれてくる子供も全て魔獣になるという特性も備えていたのだ。
そんな特性からか、野生の魔獣は時間とともにその数を増していった。
教会の騎士たちも魔獣を討伐していたが、討伐速度に対し繁殖速度が勝り次第に魔獣たちはその数を増やしていく。
更に言うなら、魔獣の個体数の増加には周辺諸国の協力性の無さも大いに影響していた。
魔王という強大な敵がいなくなった事で協力体制を築いていた国々が小競り合いを始めたのだ。
また、魔王とは違い、魔獣は知性の低い獣でしかない。言うなれば、魔獣という存在は各国にとっては獣害程度でしかなく、国家規模の脅威ではなかった。
更に言うなら、魔獣を討伐すること自体が、国家にとって殆ど利益のない行為であった。魔獣の死骸は魔王の遺産であるとされていた為、教会によって回収されることになっていたからだ。
そのため、各国は魔獣の討伐にはかなり消極的であったのだ。
そこで、教会が考え出した苦肉の策が魔獣の死骸の再利用であった。魔獣から採取する事が出来る数多の素材、それを利用した錬金術による魔道具の作成、それを認めることで各国に自発的に魔獣を討伐するように仕向けたのだ。
その目論見は見事に成功し、各国は挙って自国内の魔獣を討伐し始めたのである。
「そして、今では各国が錬金術を研究しております。昨今では錬金術の技術水準は国家の国力を決める大きな指針の一つであるとも言われておりますね」
そう言いながら、アイシャは黒板にそれらの内容を書き記していく。
「それでなのですが、教会は魔獣の死骸を素材とすることを認めたと説明したと思いますが、その中には認められないものもありました。それが魔王とその力に関する研究ですね。
魔獣は魔王の眷属であるが生み出した下僕です。魔獣を研究してかつての魔王と同じ力を手に入れようと野心ある国が昔は少なからずあったみたいですよ。
でも、それが教会に見つかって、周辺諸国や教会の抱える聖騎士部隊に一気に攻め込まれて国が滅んだという話もセットで付いて来るのですけどね」
そう言いながらアイシャは苦笑する。
「因みにですが、その研究は魔王の持つ魔力になぞらえて魔の錬金術と呼ばれていますね。
余談ですが、魔の錬金術は魔族の残党が一番詳しいそうですよ。教会が禁止しているといっても元から教会の敵である魔族には関係ありませんからねぇ。先程の話で出た野心ある国々も大体が裏に魔族がいたそうです」
そして、アイシャは先程と同じように今迄の内容を黒板に記した。
「では、ここからは錬金術の歴史についての……」
と、アイシャが話しだそうとした時、チャイムが鳴った。授業終了の合図だ。
「あら、もう時間ですか。では、ここで授業は終了とします」
そして、アイシャは手元の資料を纏めると、そのまま教室から退出していった。それを見送った生徒たちはこの授業が本日最後という事もあり、帰る準備を始める。
そんな中、アルメリアは先程の授業の内容を思い返しながら、ふと自らの指に嵌められた指輪へと視線を落とした。
(お父様から頂いたこの指輪、まさか……)
この指輪は入学祝いとしてアルメリアが父である皇帝から贈られたものだ。曰く、帝国の錬金術の粋を集めたもので、その効果はアルメリアの持つ魔力の隠匿というものだそうだ。
そして、先ほどのアイシャの説明通りであるなら、この指輪には魔の錬金術が間違いなく関わっている。
つまり、ガイウスの裏には魔族がいるという事だ。しかも、今までの事を考えればその関係は相当に長く深いのだろう。
(お父様は一体いつからこの事を見越して……?)
そこまで考えたその時、アルメリアの元にリリアが現れた。
「姫様、お迎えに参りました」
「ええ、いつもありがとう」
そして、リリアの言葉でアルメリアは考えるのを止め、帰る準備を始めるのだった。
1
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~
枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。
同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。
仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。
─────────────
※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。
※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。
※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
超能力者なので、特別なスキルはいりません!
ごぢう だい
ファンタジー
十歳の頃に落雷の直撃を受けた不遇の薫子は、超能力に目覚める。その後十六歳の時に二度目の落雷により、女神テテュースの導きにより、異世界へ転移してしまう。ソード&マジックの世界で、薫子が使えるのは超能力だけ。
剣も魔法も全く使えない薫子の冒険譚が始まる……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる