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第二章 学園編
25 お茶会への招待
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アイシャによる錬金術の授業も終わり、今日の授業もこれで終了であった。周囲の生徒たちはその殆どが今から帰宅する準備をしている。
そして、アルメリアも彼らの例に漏れず帰宅準備を始める。そんな時、アルメリアの元に侍女であるリリアがやってきた。
「姫様、お迎えに参りました」
「ええ、いつもありがとう」
アルメリアの侍女兼護衛であるリリアは普段の授業中は別室で待機するか、別の仕事をしており、彼女の帰宅時にこうして迎えに来るのだ。
「では、帰る準備も終わりましたし、そろそろ帰るとしましょうか」
「畏まりました」
そして、アルメリアも寮に帰る準備を終え、席から立ち上がろうとしたその時だった。
「そこのあなた、少しよろしいかしら?」
そう声を掛けてきたのは金色の髪が特徴的な一人のご令嬢だった。確か、同じクラスの生徒で名前はクラリッサ・フォン・フォトナー。フォトナー公爵家のご令嬢だった筈だ。
(フォトナー公爵家は確か建国より続く大貴族でこのヴァレリア帝国でも名家中の名家の一つでしたわね)
また、そんな名家出身の彼女の後ろには複数人の女子生徒たちの姿もある。彼女たちは恐らくクラリッサの取り巻きか何かだろう。
流石は大貴族令嬢といったところか。
「あなたは確か、アルメリアさん、だったかしら? オルティア商会の令嬢の」
「ええ、その通りですわ。それで、あなたはわたくしに一体どのよう御用件かしら?」
「実はわたくしたち、この後お茶会を開きますの。そこで、そのお茶会にあなたを招待しようと思って声を掛けさせていただきましたの。
アルメリアさんもわたくしたちのお茶会に参加してくださらないかしら?」
クラリッサはそう言いながら、アルメリアにそっと手を差し伸べる。しかし、当のアルメリアはクラリッサが開くというお茶会には全く興味が湧かなかった。
「……興味がありませんわ」
そして、アルメリアはそう言ってクラリッサからの招待に断りを入れる。
だが、彼女達はまさか断られると思わなかったのだろう。取り巻きの令嬢たちは揃って顔を顰めていた。
すると、クラリッサの取り巻きの内の一人がアルメリアに詰め寄ってきた。
「あなた、平民の分際でクラリッサ様の誘いを断るなんて何様のつもりなの!?」
その取り巻きの言葉を皮切りに他の取り巻きたちも次々とアルメリアへの非難を始める。
「私たちがこうして態々招待しに来ているのにそれを無下に断るなんて、その行為がどれだけ愚かな事だと理解していないのかしら!?」
「平民であるあなたを招待しているという事自体がどれだけ光栄な事か分かっていないのかしら!?」
だが、令嬢たちの主であるクラリッサはそんな彼女たちに向けて咎めるような視線を向けた。
「あなたたち、少しお静かに」
「は、はい……」
そして、クラリッサは自身の取り巻きを言葉で諫めると、アルメリアに微笑みながら再度問いかける。
「アルメリアさんもそうおっしゃらずに是非とも」
だが、それでもアルメリアの顔には興味の色は一切見られない。それを察したリリアはアルメリアを庇うように前に出る。
「姫様が嫌がっておられます。これ以上のお誘いはご遠慮していただいてもよろしいでしょうか」
だが、クラリッサの取り巻きの令嬢たちはリリアの言葉にクスクスと嘲笑し始めた。
「姫様、ですって」
「侍女にあんな呼び方をさせて恥ずかしくないのかしら」
「本当に滑稽ですこと」
取り巻きたちの令嬢からすればリリアの言葉は滑稽に映っていただろう。貴族ですらない平民が侍女に自らを『姫様』と呼ばせているのだ。
だが、真実を知っているリリアからすれば寧ろ彼女たちの方が滑稽に映っていた。
アルメリアはこの帝国において最も尊ぶべき血をその身に宿している。嘲笑する令嬢たちも高位貴族の令嬢なのだろうが、それでもアルメリアの血筋の方が比べ物にならない程に高貴だろう。
しかし、当然そんな事を知る筈もないご令嬢たちはそんなアルメリア達の姿を扇で口元を隠しながら、クスクスを嗤っていた。
そんな中、クラリッサはリリアの言葉を無視して、アルメリアへと話し続けた。
「あなたのご実家はオルティア商会ですわよね。皇家御用達商会の。実はわたくし、第四皇子殿下の婚約者ですの。将来、皇族となるわたくしと縁を結んでおくのも悪い話ではないはずでしょう?」
彼女の言葉にアルメリアは一瞬だけ考え込んだ。確かにここで彼女を無視して帰るという選択肢もある。興味が湧かない以上、帰るという選択肢を取りたいところだ。
しかし、クラリッサは高位貴族のご令嬢だ。強引に自分を誘おうとする彼女を無視すれば後々面倒なことになりかねない。
熟考の末にそう判断したアルメリアは彼女の言うお茶会に参加する事を決めた。
「……分かりましたわ。そのお茶会に参加させていただきますわ」
「まぁ、そう言っていただけて嬉しいですわ。では、サロンにてお待ちしておりますわね」
アルメリアから参加の確約を得た事で満足気な笑みを浮かべたクラリッサは上機嫌で彼女の元を去っていった。
「姫様、よろしかったので?」
「ええ、面倒ですが仕方がありませんわ」
アルメリアからすれば正直気乗りはしない。しかし、ここで無理に断って面倒事になる位ならば
「それに、お茶会が気に入らなければ途中で帰ればいいだけの事ですしね」
「……畏まりました」
そして、アルメリアはお茶会が開かれる場所へと向かうのだった。
そして、アルメリアも彼らの例に漏れず帰宅準備を始める。そんな時、アルメリアの元に侍女であるリリアがやってきた。
「姫様、お迎えに参りました」
「ええ、いつもありがとう」
アルメリアの侍女兼護衛であるリリアは普段の授業中は別室で待機するか、別の仕事をしており、彼女の帰宅時にこうして迎えに来るのだ。
「では、帰る準備も終わりましたし、そろそろ帰るとしましょうか」
「畏まりました」
そして、アルメリアも寮に帰る準備を終え、席から立ち上がろうとしたその時だった。
「そこのあなた、少しよろしいかしら?」
そう声を掛けてきたのは金色の髪が特徴的な一人のご令嬢だった。確か、同じクラスの生徒で名前はクラリッサ・フォン・フォトナー。フォトナー公爵家のご令嬢だった筈だ。
(フォトナー公爵家は確か建国より続く大貴族でこのヴァレリア帝国でも名家中の名家の一つでしたわね)
また、そんな名家出身の彼女の後ろには複数人の女子生徒たちの姿もある。彼女たちは恐らくクラリッサの取り巻きか何かだろう。
流石は大貴族令嬢といったところか。
「あなたは確か、アルメリアさん、だったかしら? オルティア商会の令嬢の」
「ええ、その通りですわ。それで、あなたはわたくしに一体どのよう御用件かしら?」
「実はわたくしたち、この後お茶会を開きますの。そこで、そのお茶会にあなたを招待しようと思って声を掛けさせていただきましたの。
アルメリアさんもわたくしたちのお茶会に参加してくださらないかしら?」
クラリッサはそう言いながら、アルメリアにそっと手を差し伸べる。しかし、当のアルメリアはクラリッサが開くというお茶会には全く興味が湧かなかった。
「……興味がありませんわ」
そして、アルメリアはそう言ってクラリッサからの招待に断りを入れる。
だが、彼女達はまさか断られると思わなかったのだろう。取り巻きの令嬢たちは揃って顔を顰めていた。
すると、クラリッサの取り巻きの内の一人がアルメリアに詰め寄ってきた。
「あなた、平民の分際でクラリッサ様の誘いを断るなんて何様のつもりなの!?」
その取り巻きの言葉を皮切りに他の取り巻きたちも次々とアルメリアへの非難を始める。
「私たちがこうして態々招待しに来ているのにそれを無下に断るなんて、その行為がどれだけ愚かな事だと理解していないのかしら!?」
「平民であるあなたを招待しているという事自体がどれだけ光栄な事か分かっていないのかしら!?」
だが、令嬢たちの主であるクラリッサはそんな彼女たちに向けて咎めるような視線を向けた。
「あなたたち、少しお静かに」
「は、はい……」
そして、クラリッサは自身の取り巻きを言葉で諫めると、アルメリアに微笑みながら再度問いかける。
「アルメリアさんもそうおっしゃらずに是非とも」
だが、それでもアルメリアの顔には興味の色は一切見られない。それを察したリリアはアルメリアを庇うように前に出る。
「姫様が嫌がっておられます。これ以上のお誘いはご遠慮していただいてもよろしいでしょうか」
だが、クラリッサの取り巻きの令嬢たちはリリアの言葉にクスクスと嘲笑し始めた。
「姫様、ですって」
「侍女にあんな呼び方をさせて恥ずかしくないのかしら」
「本当に滑稽ですこと」
取り巻きたちの令嬢からすればリリアの言葉は滑稽に映っていただろう。貴族ですらない平民が侍女に自らを『姫様』と呼ばせているのだ。
だが、真実を知っているリリアからすれば寧ろ彼女たちの方が滑稽に映っていた。
アルメリアはこの帝国において最も尊ぶべき血をその身に宿している。嘲笑する令嬢たちも高位貴族の令嬢なのだろうが、それでもアルメリアの血筋の方が比べ物にならない程に高貴だろう。
しかし、当然そんな事を知る筈もないご令嬢たちはそんなアルメリア達の姿を扇で口元を隠しながら、クスクスを嗤っていた。
そんな中、クラリッサはリリアの言葉を無視して、アルメリアへと話し続けた。
「あなたのご実家はオルティア商会ですわよね。皇家御用達商会の。実はわたくし、第四皇子殿下の婚約者ですの。将来、皇族となるわたくしと縁を結んでおくのも悪い話ではないはずでしょう?」
彼女の言葉にアルメリアは一瞬だけ考え込んだ。確かにここで彼女を無視して帰るという選択肢もある。興味が湧かない以上、帰るという選択肢を取りたいところだ。
しかし、クラリッサは高位貴族のご令嬢だ。強引に自分を誘おうとする彼女を無視すれば後々面倒なことになりかねない。
熟考の末にそう判断したアルメリアは彼女の言うお茶会に参加する事を決めた。
「……分かりましたわ。そのお茶会に参加させていただきますわ」
「まぁ、そう言っていただけて嬉しいですわ。では、サロンにてお待ちしておりますわね」
アルメリアから参加の確約を得た事で満足気な笑みを浮かべたクラリッサは上機嫌で彼女の元を去っていった。
「姫様、よろしかったので?」
「ええ、面倒ですが仕方がありませんわ」
アルメリアからすれば正直気乗りはしない。しかし、ここで無理に断って面倒事になる位ならば
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そして、アルメリアはお茶会が開かれる場所へと向かうのだった。
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