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第二章 学園編
40 戦いの後で
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「ああ、楽しかったですわ」
アルメリアは恍惚の笑みを浮かべながら自身が葬った魔獣の死骸を見下ろしていた。この戦いはアルメリアにとっても満足できるものだったようだ。
「さて、これからどうしましょうか……」
そして、アルメリアは辺りを見渡すが、魔獣を倒したというのに周囲に展開されている結界は解ける気配はない。
その時、アルメリアはふと先ほどの戦いの事を思い出した。
この結界も恐らくは魔道具によって作られている。なら、その力の源は魔力だ。であるなら、先程と同じようにアルメリアの魔力で干渉できる筈だ。
そう考えたアルメリアは一呼吸だけ置いた後、結界に目掛けて魔力を滾らせながら黒剣を勢いよく振るった。
そして、その次の瞬間。
――――パリィィィン!!
結界はそんな音と共に一瞬にして崩壊する。
「ああ、無事に結界が壊れてくれたようですわね」
アルメリアはそう独り言を呟きながら、指輪を嵌め直す。その瞬間、彼女の魔力は指輪の効力によって封印された。同時に彼女の周りに刺さったままの無数の黒剣は一斉に消滅していく。
「さて、と。ここの事も気になる所ですが、流石に一度帰るとしましょうか。あの二人も心配しているでしょうし」
そして、工房の入り口から外に出て迷宮に戻った直後、工房の入り口はまるで幻だったかのように跡形もなく消えてしまい、そこには迷宮の壁しか残されていなかった。
「あら、入り口が消えてしまいましたわね。もし、先程と同じようにこの紋章に触れれば先程と同じようにまた入り口が現れるのかしら……?」
そして、思い至った再び迷宮の壁に手を伸ばそうとしたその時だった。
「アルメリアさん、無事ですか!?」
その声の方を向くと、一人の女性が近づいて来ているのが見えた。今回の迷宮訓練の担当教師であるアイシャだ。
彼女はアルメリアの姿を見つけると、すぐさま彼女の傍へと駆け寄っていく。また、アイシャの後ろにはアークスとアミィの姿もあった。
「「アルメリア様、ご無事ですか!?」」
「ええ、何とか生き残る事が出来ましたわよ」
アルメリアのその言葉に二人は安堵の表情を見せる。
「二人からある程度事情は聞きました。なんでも、迷宮内に魔族の工房らしきものを見つけたと」
そして、アイシャは先程まで工房の入り口があった壁に目を向けた。
「ええ、その通りですわ」
アルメリアもアイシャと同じく工房の入り口があった壁に目を向ける。
「ともかく、一度詳しい話を聞きたいのでまずはここから出ましょう」
「分かりましたわ」
そして、アルメリア達は揃って迷宮の外へと脱出する。そこには今回の訓練の参加者全員が集まっていた。訓練の開始からかなりの時間が経っていたのだろう。
すると、アイシャは生徒たちに声を掛けて彼らを一か所へと集めた。
「本日の訓練ですが、非常事態が発生した為、ここで終了とします」
アイシャの言葉で生徒たちは各々解散してこの場から去っていく。すると、アルメリア達の元にアイシャがやってきた。
「お話を聞きたいのでアルメリアさん達は残っていただけますか?」
「分かりましたわ」
そして、アルメリア達を除く今回の訓練に参加していた全生徒が解散した後、彼女たちは学園内にある談話室へと連れていかれた。
そして、アルメリア達がアイシャと向かい合うように座ると、彼女は一つの魔道具を起動させた。なんでも、この魔道具には盗聴防止用の結界を張る機能があるらしい。
「これで誰かにこの話を聞かれる恐れはありません。では、早速話していただけますか?」
「ええ」
そして、アルメリアは先程までの事を話し始めた。
探索中、迷宮の一角の壁に紋章の様なものが書かれているのを見つけた事、その紋章にふと手を触れた時に迷宮の壁が突然変化した事、興味本位でその奥へと入った事、その場所が魔族の工房と思われる場所だった事、その工房を探索している最中に装置に触れてしまい警報音と共に結界が張られた事。
そして、結界を壊せないと悟ったアルメリアがアークス達を逃がした事、その後は何とか魔獣を倒して工房を脱出してアイシャ達と合流した事。
それら全てをアイシャに話していった。無論、アイシャには明かせない部分に関しては多少の脚色等をした上で、だが。
「……という訳ですの」
「なるほど……。話を聞く限りではその場所は魔族の工房なのかもしれませんね。何故そんなものがこの学園の迷宮にあったのかは分かりませんがその工房に関しては私の方から学園への報告を行います。ですので、皆さんはこの事に関しては今のところ口外厳禁でお願いします」
「分かりましたわ」
「「はい」」
「三人とも、貴重なお話をありがとうございました。もう戻ってもらって大丈夫です」
「では、失礼いたしますわね。二人とも、行きましょうか」
「「畏まりました」」
そして、アルメリア達はアイシャに向けて一礼すると、そのまま談話室の外へと出た。すると、その直後の事。アークスとアミィは突然立ち上がり、両膝を床に着けたかと思うと正座をして、土下座を始めた。
突然の二人の行動にアルメリアは流石に驚くが、そんなそんな様子の彼女をよそに二人は勢いよく口を開いた。
「アルメリア様、申し訳ありませんでした!!」
「私たちは傍仕えだというのに、アルメリア様を置いて逃げるなんてこれ以上ない無礼を働いてしまいました!!」
そう言いながら二人は必死に謝罪する。だが、二人のそんな謝罪にアルメリアは怒る事無く、それどころか二人の頭を優しく撫でていた。
「ふふっ、気に病まなくても大丈夫ですわ。それに、あの時はああするしか方法がなかったでしょう?」
「それは……」
「ですが……」
アルメリアの言う通り、彼等ではあの結界はどうしようもなかった。しかし、結果的には主であるアルメリアの危機に対して何も出来ず、それどころか逃げた形になってしまった。それが、二人には悔しくて仕方がなかった。
「それでもわたくしを置いて逃げた形になったのが悔しいのであれば、これまで以上に努力なさい。そうすれば、同じ事が起きたとしても今度はあなた達の力で何とか出来るかもしれませんわ」
「……はい」
「……分かりました」
そして、アルメリア達は正座をしている二人を立ち上がらせ、そのまま寮へと帰る事にした。
アークス達と別れ、自室に戻ったアルメリア達だったが、その直後、部屋の異変に気が付いた。
部屋の机の上に朝には無かった封書が置かれていたのだ。明らかにこの部屋に入った何者かがいる。
それを見たリリアは即座に警戒のレベルを上げた。
「姫様、お下がりください。まだ、部屋には侵入者がいるかもしれません」
この学園は貴族や大商会の子息令嬢が通っている。その為、学園の警備はかなり厳重だ。
それを掻い潜り、ここまで侵入した者は相当な手練かもしれない。
しかし、アルメリアはそんなリリアの警戒を他所に机の前まで向かうと、その封書を手に取った。
「あら、これは……」
その封書に使われている紙の質は明らかに上質な物だった。こんな紙を使えるのは、それこそ貴族階級か皇族くらいなものだろう。
そして、封書の裏にある封蝋の印を見たアルメリアはそれをリリアに見せた。
「リリア、これを見なさい」
「それは……」
それを見たリリアはある種の納得と共に警戒レベルを引き下げる。
その後、アルメリアは封を破ると、その中の書状の内容を目に通していく。
「……ふふふっ、なるほどなるほど。実に、実に面白いですわね」
そして、その内容の全てを目にしたアルメリアは不敵な笑みを浮かべるのだった。
アルメリアは恍惚の笑みを浮かべながら自身が葬った魔獣の死骸を見下ろしていた。この戦いはアルメリアにとっても満足できるものだったようだ。
「さて、これからどうしましょうか……」
そして、アルメリアは辺りを見渡すが、魔獣を倒したというのに周囲に展開されている結界は解ける気配はない。
その時、アルメリアはふと先ほどの戦いの事を思い出した。
この結界も恐らくは魔道具によって作られている。なら、その力の源は魔力だ。であるなら、先程と同じようにアルメリアの魔力で干渉できる筈だ。
そう考えたアルメリアは一呼吸だけ置いた後、結界に目掛けて魔力を滾らせながら黒剣を勢いよく振るった。
そして、その次の瞬間。
――――パリィィィン!!
結界はそんな音と共に一瞬にして崩壊する。
「ああ、無事に結界が壊れてくれたようですわね」
アルメリアはそう独り言を呟きながら、指輪を嵌め直す。その瞬間、彼女の魔力は指輪の効力によって封印された。同時に彼女の周りに刺さったままの無数の黒剣は一斉に消滅していく。
「さて、と。ここの事も気になる所ですが、流石に一度帰るとしましょうか。あの二人も心配しているでしょうし」
そして、工房の入り口から外に出て迷宮に戻った直後、工房の入り口はまるで幻だったかのように跡形もなく消えてしまい、そこには迷宮の壁しか残されていなかった。
「あら、入り口が消えてしまいましたわね。もし、先程と同じようにこの紋章に触れれば先程と同じようにまた入り口が現れるのかしら……?」
そして、思い至った再び迷宮の壁に手を伸ばそうとしたその時だった。
「アルメリアさん、無事ですか!?」
その声の方を向くと、一人の女性が近づいて来ているのが見えた。今回の迷宮訓練の担当教師であるアイシャだ。
彼女はアルメリアの姿を見つけると、すぐさま彼女の傍へと駆け寄っていく。また、アイシャの後ろにはアークスとアミィの姿もあった。
「「アルメリア様、ご無事ですか!?」」
「ええ、何とか生き残る事が出来ましたわよ」
アルメリアのその言葉に二人は安堵の表情を見せる。
「二人からある程度事情は聞きました。なんでも、迷宮内に魔族の工房らしきものを見つけたと」
そして、アイシャは先程まで工房の入り口があった壁に目を向けた。
「ええ、その通りですわ」
アルメリアもアイシャと同じく工房の入り口があった壁に目を向ける。
「ともかく、一度詳しい話を聞きたいのでまずはここから出ましょう」
「分かりましたわ」
そして、アルメリア達は揃って迷宮の外へと脱出する。そこには今回の訓練の参加者全員が集まっていた。訓練の開始からかなりの時間が経っていたのだろう。
すると、アイシャは生徒たちに声を掛けて彼らを一か所へと集めた。
「本日の訓練ですが、非常事態が発生した為、ここで終了とします」
アイシャの言葉で生徒たちは各々解散してこの場から去っていく。すると、アルメリア達の元にアイシャがやってきた。
「お話を聞きたいのでアルメリアさん達は残っていただけますか?」
「分かりましたわ」
そして、アルメリア達を除く今回の訓練に参加していた全生徒が解散した後、彼女たちは学園内にある談話室へと連れていかれた。
そして、アルメリア達がアイシャと向かい合うように座ると、彼女は一つの魔道具を起動させた。なんでも、この魔道具には盗聴防止用の結界を張る機能があるらしい。
「これで誰かにこの話を聞かれる恐れはありません。では、早速話していただけますか?」
「ええ」
そして、アルメリアは先程までの事を話し始めた。
探索中、迷宮の一角の壁に紋章の様なものが書かれているのを見つけた事、その紋章にふと手を触れた時に迷宮の壁が突然変化した事、興味本位でその奥へと入った事、その場所が魔族の工房と思われる場所だった事、その工房を探索している最中に装置に触れてしまい警報音と共に結界が張られた事。
そして、結界を壊せないと悟ったアルメリアがアークス達を逃がした事、その後は何とか魔獣を倒して工房を脱出してアイシャ達と合流した事。
それら全てをアイシャに話していった。無論、アイシャには明かせない部分に関しては多少の脚色等をした上で、だが。
「……という訳ですの」
「なるほど……。話を聞く限りではその場所は魔族の工房なのかもしれませんね。何故そんなものがこの学園の迷宮にあったのかは分かりませんがその工房に関しては私の方から学園への報告を行います。ですので、皆さんはこの事に関しては今のところ口外厳禁でお願いします」
「分かりましたわ」
「「はい」」
「三人とも、貴重なお話をありがとうございました。もう戻ってもらって大丈夫です」
「では、失礼いたしますわね。二人とも、行きましょうか」
「「畏まりました」」
そして、アルメリア達はアイシャに向けて一礼すると、そのまま談話室の外へと出た。すると、その直後の事。アークスとアミィは突然立ち上がり、両膝を床に着けたかと思うと正座をして、土下座を始めた。
突然の二人の行動にアルメリアは流石に驚くが、そんなそんな様子の彼女をよそに二人は勢いよく口を開いた。
「アルメリア様、申し訳ありませんでした!!」
「私たちは傍仕えだというのに、アルメリア様を置いて逃げるなんてこれ以上ない無礼を働いてしまいました!!」
そう言いながら二人は必死に謝罪する。だが、二人のそんな謝罪にアルメリアは怒る事無く、それどころか二人の頭を優しく撫でていた。
「ふふっ、気に病まなくても大丈夫ですわ。それに、あの時はああするしか方法がなかったでしょう?」
「それは……」
「ですが……」
アルメリアの言う通り、彼等ではあの結界はどうしようもなかった。しかし、結果的には主であるアルメリアの危機に対して何も出来ず、それどころか逃げた形になってしまった。それが、二人には悔しくて仕方がなかった。
「それでもわたくしを置いて逃げた形になったのが悔しいのであれば、これまで以上に努力なさい。そうすれば、同じ事が起きたとしても今度はあなた達の力で何とか出来るかもしれませんわ」
「……はい」
「……分かりました」
そして、アルメリア達は正座をしている二人を立ち上がらせ、そのまま寮へと帰る事にした。
アークス達と別れ、自室に戻ったアルメリア達だったが、その直後、部屋の異変に気が付いた。
部屋の机の上に朝には無かった封書が置かれていたのだ。明らかにこの部屋に入った何者かがいる。
それを見たリリアは即座に警戒のレベルを上げた。
「姫様、お下がりください。まだ、部屋には侵入者がいるかもしれません」
この学園は貴族や大商会の子息令嬢が通っている。その為、学園の警備はかなり厳重だ。
それを掻い潜り、ここまで侵入した者は相当な手練かもしれない。
しかし、アルメリアはそんなリリアの警戒を他所に机の前まで向かうと、その封書を手に取った。
「あら、これは……」
その封書に使われている紙の質は明らかに上質な物だった。こんな紙を使えるのは、それこそ貴族階級か皇族くらいなものだろう。
そして、封書の裏にある封蝋の印を見たアルメリアはそれをリリアに見せた。
「リリア、これを見なさい」
「それは……」
それを見たリリアはある種の納得と共に警戒レベルを引き下げる。
その後、アルメリアは封を破ると、その中の書状の内容を目に通していく。
「……ふふふっ、なるほどなるほど。実に、実に面白いですわね」
そして、その内容の全てを目にしたアルメリアは不敵な笑みを浮かべるのだった。
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