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第二章 学園編
41 魔族の工房で
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アルメリアが迷宮内で魔族の工房を見つけた日の夜、その工房内では一人の人物が倒された魔獣の調査を行っていた。
「はぁ、あの魔獣がまさか入学したての学生如きに倒されるなんてね。試作品だったとはいえ、再生能力に優れた個体の筈。それがどうして一学生に負けるのかしら……?」
その人物の語り口はまるでこの魔獣の事を詳しく知っている口振りだった。それもそのはず、ここにいるのはこの工房の主にしてこの魔獣の制作者なのだから。
「はぁ、ここも潮時だったりするのかしら……。でも、今の立場は色々と都合が良いのよね……。あの三人、消そうかしら……」
一人や二人程度に知られていたとしても秘密裏に始末すればいい。しかし、それをしてしまえば、今度は後処理が面倒だ。
だが、そんな事よりもその人物には優先して考える事があった。
「それにしても、どうして隠していた筈の工房への入り口が出たのかしら? あの入り口は魔族の持つ微弱な魔力にのみ反応して開く扉だったのに」
魔族であるならば入り口を出現させる事が出来るかもしれないが、この工房を見つけた三人は魔族ではない筈だ。だからこそ、彼らがどうやってこの工房の入り口を出す事が出来たのかが分からなかったのだ。
「とにかく、ここのセキュリティーをどうにかしないといけないわね」
そして、その人物が工房のセキュリティーを強化しようと決めたその時だった。
「やはりあなたがこの工房の主でしたのね」
「っ、誰っ!?」
声が聞こえてきた方へと顔を向けると、そこには不敵な笑みを浮かべながら、優雅に佇むアルメリアの姿あった。
「ふふっ、アイシャ先生、お昼の授業以来ですわね」
「……アルメリアさん、どうしてここに……」
彼女の姿を目にしたその人物、アイシャは予期せぬ来客に動揺を隠せなかった。
それに先程のアルメリアの口振りからすると自分がここの工房の主だという事も知られていることになる。アイシャは内心での動揺を隠しながら、冷静を装いアルメリアに語り掛けた。
「……アルメリアさんは何故ここの工房が私のものだと分かったのかしら?」
「あら、それは簡単な事ですわ。アイシャ先生はあの時、わたくしより先にあの壁に視線を向けていたでしょう?」
あそこに工房の入り口があったのを知っているのはそれこそ当事者であるアルメリアやアークス、アミィの三人だけだ。
だというのに、アイシャは既に工房の入り口が消えており、見た目は他の壁と変わりない筈の壁に彼女達よりも一瞬早く視線を向けていた。
それはつまり、アイシャが最初からあそこに工房の入り口があった事を知っているという事に他ならない。
それに迷宮訓練の最初にアイシャは迷宮の管理者が自分だと言っていた。そうなれば、自ずとこの工房の主が誰であるかも明らかになるだろう。
「……まさか、そんな事で見破られるとは思わなかったわね」
アルメリアの推理を聞いたアイシャは思わず苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。まさか、そんな一瞬の事で自身の正体を見破られているとは思わなかった。
「まぁ、ここを知られた以上、あなた達三人には消えてもらう予定だったから丁度良いわ。まずは、あなたをここで消してあげる」
そう言いながらアイシャは右手を掲げる。その右手の人差し指には一つの指輪が嵌められていた。その指輪はアルメリアがしている物と同じ。
つまりは、アイシャは魔族なのだろう。
そして、アイシャは指輪を勢い良く抜き取った。その瞬間、アイシャの全身から魔力が溢れ出す。
「やはり、アイシャ先生は魔族でしたのね」
「ええ、その通りよ。さぁ、恐れおののきなさい」
だが、アイシャが魔族だと知っても、アルメリアは臆する様子は一切見せない。それも当然だろう。その魔力はアルメリアにとっては恐れるべきものではないのだから。
「ふっ、ふふふふっ」
「……あなた、気が触れておかしくなったのかしら?」
普通、魔族と相対した人間の反応は二種類だ。怯えるか、敵愾心を見せるか、そのどちらかなのだ。
だというのに、アルメリアの反応はそのどちらでもない。それは彼女が今まで見た事が無いような反応だった。
「ねぇ、アイシャ先生、わたくしに仕えるつもりはあるかしら?」
「何を訳の分からないことを!?」
魔族であるアイシャにとってその言葉は最大の侮辱であった。彼女が仕える相手は嘗ての魔王、ただ一人である。
しかし、アルメリアはアイシャのそんな反応を予想していたようで不敵な笑みを浮かべる。
「ふふっ、これを見ても同じ事が言えるかしら?」
「……え?」
そして、アルメリアは魔力封じの指輪を指からそっと抜く。その次の瞬間、アルメリアの体からはアイシャのが放つ魔力を上回る魔力が放たれた。
「あ、ああ……」
その瞬間、魔族であるアイシャは本能で理解した。かつて、自分が仕えた魔王。目の前にいる少女がそれと見紛う程の魔力をその身に宿している事を。
そして、彼女は悟った。目の前にいる少女こそ、自分たちが待ち望んでいた主の再来なのだと。
アイシャはアルメリアの目の前まで歩みを進めると、そのまま彼女の前で跪いた。
「今までのご無礼、申し訳ありませんでした。アルメリア様、私は貴女様に忠誠を誓います」
そして、アイシャはアルメリアへと忠誠の言葉を告げるのだった。
「はぁ、あの魔獣がまさか入学したての学生如きに倒されるなんてね。試作品だったとはいえ、再生能力に優れた個体の筈。それがどうして一学生に負けるのかしら……?」
その人物の語り口はまるでこの魔獣の事を詳しく知っている口振りだった。それもそのはず、ここにいるのはこの工房の主にしてこの魔獣の制作者なのだから。
「はぁ、ここも潮時だったりするのかしら……。でも、今の立場は色々と都合が良いのよね……。あの三人、消そうかしら……」
一人や二人程度に知られていたとしても秘密裏に始末すればいい。しかし、それをしてしまえば、今度は後処理が面倒だ。
だが、そんな事よりもその人物には優先して考える事があった。
「それにしても、どうして隠していた筈の工房への入り口が出たのかしら? あの入り口は魔族の持つ微弱な魔力にのみ反応して開く扉だったのに」
魔族であるならば入り口を出現させる事が出来るかもしれないが、この工房を見つけた三人は魔族ではない筈だ。だからこそ、彼らがどうやってこの工房の入り口を出す事が出来たのかが分からなかったのだ。
「とにかく、ここのセキュリティーをどうにかしないといけないわね」
そして、その人物が工房のセキュリティーを強化しようと決めたその時だった。
「やはりあなたがこの工房の主でしたのね」
「っ、誰っ!?」
声が聞こえてきた方へと顔を向けると、そこには不敵な笑みを浮かべながら、優雅に佇むアルメリアの姿あった。
「ふふっ、アイシャ先生、お昼の授業以来ですわね」
「……アルメリアさん、どうしてここに……」
彼女の姿を目にしたその人物、アイシャは予期せぬ来客に動揺を隠せなかった。
それに先程のアルメリアの口振りからすると自分がここの工房の主だという事も知られていることになる。アイシャは内心での動揺を隠しながら、冷静を装いアルメリアに語り掛けた。
「……アルメリアさんは何故ここの工房が私のものだと分かったのかしら?」
「あら、それは簡単な事ですわ。アイシャ先生はあの時、わたくしより先にあの壁に視線を向けていたでしょう?」
あそこに工房の入り口があったのを知っているのはそれこそ当事者であるアルメリアやアークス、アミィの三人だけだ。
だというのに、アイシャは既に工房の入り口が消えており、見た目は他の壁と変わりない筈の壁に彼女達よりも一瞬早く視線を向けていた。
それはつまり、アイシャが最初からあそこに工房の入り口があった事を知っているという事に他ならない。
それに迷宮訓練の最初にアイシャは迷宮の管理者が自分だと言っていた。そうなれば、自ずとこの工房の主が誰であるかも明らかになるだろう。
「……まさか、そんな事で見破られるとは思わなかったわね」
アルメリアの推理を聞いたアイシャは思わず苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。まさか、そんな一瞬の事で自身の正体を見破られているとは思わなかった。
「まぁ、ここを知られた以上、あなた達三人には消えてもらう予定だったから丁度良いわ。まずは、あなたをここで消してあげる」
そう言いながらアイシャは右手を掲げる。その右手の人差し指には一つの指輪が嵌められていた。その指輪はアルメリアがしている物と同じ。
つまりは、アイシャは魔族なのだろう。
そして、アイシャは指輪を勢い良く抜き取った。その瞬間、アイシャの全身から魔力が溢れ出す。
「やはり、アイシャ先生は魔族でしたのね」
「ええ、その通りよ。さぁ、恐れおののきなさい」
だが、アイシャが魔族だと知っても、アルメリアは臆する様子は一切見せない。それも当然だろう。その魔力はアルメリアにとっては恐れるべきものではないのだから。
「ふっ、ふふふふっ」
「……あなた、気が触れておかしくなったのかしら?」
普通、魔族と相対した人間の反応は二種類だ。怯えるか、敵愾心を見せるか、そのどちらかなのだ。
だというのに、アルメリアの反応はそのどちらでもない。それは彼女が今まで見た事が無いような反応だった。
「ねぇ、アイシャ先生、わたくしに仕えるつもりはあるかしら?」
「何を訳の分からないことを!?」
魔族であるアイシャにとってその言葉は最大の侮辱であった。彼女が仕える相手は嘗ての魔王、ただ一人である。
しかし、アルメリアはアイシャのそんな反応を予想していたようで不敵な笑みを浮かべる。
「ふふっ、これを見ても同じ事が言えるかしら?」
「……え?」
そして、アルメリアは魔力封じの指輪を指からそっと抜く。その次の瞬間、アルメリアの体からはアイシャのが放つ魔力を上回る魔力が放たれた。
「あ、ああ……」
その瞬間、魔族であるアイシャは本能で理解した。かつて、自分が仕えた魔王。目の前にいる少女がそれと見紛う程の魔力をその身に宿している事を。
そして、彼女は悟った。目の前にいる少女こそ、自分たちが待ち望んでいた主の再来なのだと。
アイシャはアルメリアの目の前まで歩みを進めると、そのまま彼女の前で跪いた。
「今までのご無礼、申し訳ありませんでした。アルメリア様、私は貴女様に忠誠を誓います」
そして、アイシャはアルメリアへと忠誠の言葉を告げるのだった。
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