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第10話 似た者同士
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昼の熱はまだ抜けず、廊下の空気は透明なゼリーみたいに重たかった。
理科棟の一番奥——「天文部」。
扇風機の首が左右に忙しく動き、机の上には観測カードと赤いセロファン、予備の星座早見盤。
望月先輩は白板に「8/12→13 24:30 屋上」をもう一度大きく書き、柏木先輩はシートの汚れを雑巾で落としている。新堂はブルーシートに空気を入れては抜き、入れては抜き——遊んでいるのか準備なのか、その境目で笑っていた。
「今日、いて座まで歩こう。ベガ—アルタイル—デネブの“三角形”から南に下りていくと、ティーポットみたいな形に出会う。注ぎ口のあたりから“湯気”みたいに天の川が立つ、って覚える人もいる」
望月先輩が、星図を指でなぞる。
美月は早見盤を回し、東を合わせ、南の低空に小さな四角形と三角形——たしかに“ポット”。
さそりの赤いアンタレスから、いて座のティーポットへ、そこから白い帯がのぼる気配。
(見えない線は、名前で引ける——あの日のメモが甦る)
部室のドアが、ノックもなく控えめに開いた。
「ごめん、資料、これ」
昨日見かけた彼女が、透明ファイルを両手で抱えて立っていた。
肩で結んだ髪。長いまつげの影が、目尻の形をやわらかく縁取る。
笑うと、口角がほんの少しだけ右へ先に上がる——その癖を、美月は一瞬で好きになってしまう。
「助かる。ありがとね」
望月先輩が受け取り、机の端に置く。
彼女は柏木先輩にも軽く会釈して、「じゃ、また」とだけ言って去った。
ほのかな石けんの香りが、扇風機の風に乗って薄くほどける。
気づいたら、美月の口が動いていた。
「……さっきの人、まつげが長くて綺麗。笑うと、目の形が可愛い。——口角の上がり方が、好き、です」
言った瞬間、自分で驚いた。
観測ログでは平気で言葉を選べるのに、人のこととなると、急に手元が狂う。
柏木先輩は「観察眼」と唇だけで呟き、新堂は“ほう”と意味深に頷く。
望月先輩は——一拍遅れて、視線をほんの少しだけ泳がせた。
「……そう?」
いつもの落ち着きの奥に、薄い乱れ。
部室の蛍光灯が、黒目に細く反射する。
(——“似てる”)
ふっと、そんな言葉が胸を横切った。
まつげの長さ、目の形、笑ったときの口角。彼女と先輩の顔を、頭の中で重ねる。
血のつながり、という言葉の存在を知らないまま、ただ輪郭の親しさに気づく。
望月先輩は、白板のペン先を持ち直し、話題を空へ戻すかのように指を動かす。
「さ、いて座から南斗六星。ティーポットの“柄”の部分がそれ。双眼鏡でのんびり眺めると“星の群れ”がよくわかる。気温が高い夜は、揺らぎで滲むこともあるから、焦らない」
さらりと説明しながら、耳の先が、わずかに赤い。
美月は自分の言葉の温度が、部屋の温度に少し足されてしまったことを、今更ながら自覚する。
「——じゃ、屋上」
柏木先輩の号令で、道具を抱えて階段を上る。
鉄扉の向こう、空はまだ浅い群青。
赤いライトを点け、暗順応の十分。
目を閉じると、風がまぶたの上で層になり、音が一つずつ距離を持つ。
「開けて」
西に残る薄い橙の上、宵の明星。
東高く、ベガ。少し下にアルタイル、北東にデネブ。
「三角形から、南へ」
望月先輩の声に合わせて、視線を滑らせる。
アンタレスの赤。そこから右へ、ティーポット。
注ぎ口から、白い湯気——天の川の気配。
「……見える気が、します」
「うん。“気配”で十分。双眼鏡、貸して」
望月先輩が手渡してくれた双眼鏡のストラップが、指にやわらかく触れる。
レンズの向こう、点だったものが、群れに変わる。
曖昧な粒が、集まっている事実だけで胸が満ちる。
「うまい」
「——たまたま、じゃ、ないです」
言葉が、思っていたより真っ直ぐに出た。
先輩が少し笑って、すぐに真顔に戻る。
「今夜は、星の“顔”の話をしてもいい?」
「顔?」
「ベガは“針”。アルタイルは“通路”。デネブは“起点”。——星にも“顔”があるって話。濃い薄い、にじみ方、鋭さ。人と同じで、それだけで“誰か”になる」
“顔”。
さっき自分が言った褒め言葉が、空にも届くのがおかしくて、でも、すごく正しい気がした。
望月先輩は、双眼鏡の視度リングを指で回しながら、視線を空から降ろすことをしなかった。
「まつげが長いって、光の“縁”がはっきり見える感じに近い。目の形は——星のにじみ方。笑うと口角が上がるのは……うーん、明るさが一段、増す?」
「たとえ、変です」
「だよね」
二人で、同時に笑った。
笑いの余韻の中で、胸のどこかが小さく跳ねる。
望月先輩は、ふいに自分の目元を指で触れ、何かを確かめるように瞬きをした。
「……俺、まつげ、長いのかな」
天然に過ぎる一言。
美月は反射で、まっすぐ言ってしまう。
「長いです。横顔、光が当たると、影が落ちます」
言い切った自分に驚き、舌の先が熱くなる。
先輩は「そっか」とだけ言い、耳の赤がもう少し濃くなった。
風が、シートの隅をぱたぱた揺する。
夏の匂い——草、遠くのタレ、どこかの家の風鈴。
「今日のログ、“ひとこと”は?」
望月先輩が観測カードを差し出す。
美月はペン先を迷わず動かした。
東高く:夏の大三角/南低く:アンタレス→いて座ティーポット
ひとこと:星にも“顔”。湯気=天の川の気配
書き終えて顔を上げると、先輩はまだ少しだけ耳を赤くしていた。
さっきの褒め言葉の残り火が、部室ではなく、この屋上の風の中に漂っている。
「……あの人、誰ですか?」
自分で驚くくらい、静かな声が出た。
言った瞬間、空の温度が一度だけ変わった気がした。
望月先輩は、わずかに間を置いて、いつもの穏やかさで言う。
「昔から家族ぐるみでね。——進路の話、時々」
“家族”の一語が、胸に刺さって、すぐに溶けた。
(やっぱり、近いんだ)
言葉にしない部分が、自分の内側で勝手に太字になる。
でも次の一拍で、別の気づきが生まれる——“似てる”の正体に、手がかかる感じ。
ただ、そこへ届く前に、望月先輩がふいに話題を戻した。
「流星群、いよいよ明日。——“一分法”、もう一回だけ、やる?」
「はい」
二人で寝転び、視界を四等分。
タイマーの小さな音。
一分は、長い。
流れない空に、耳だけが敏感になる。
遠くの国道、手前の樹の葉、ベランダの風鈴。
0。
でも、待ったという事実が、確かな一行になる。
片付けに入るとき、柏木先輩が「水分、氷、上着」と指差しでチェックし、新堂は真顔で「願いごと短文化」と自分の手の甲に書いていた。
笑いながら階段を下りる。蛍光灯の白が目に差す。
廊下で、望月先輩がふと立ち止まる。
「さっきの、“顔”の話——一ノ瀬さんは、人の“顔”を見るの、うまいね」
「観測、得意なので」
「……俺にも、時々、そうやって言葉をつけてくれると、助かる」
心臓が、一度強く鳴る。
それは頼み事の形をしていたけれど、どこかで距離の縮まり方に似ていた。
返事は短く、「はい」。
それだけで、今日は十分だと思えた。
昇降口を出ると、夜気は昼より軽い。
商店街の提灯が、赤い明かりを深くしている。
遠くで小さな花火が音だけを置いて割れた。
ポケットの中の観測カードの“ひとこと”欄の端に、鉛筆でごく小さく書く。
似ている、という距離
その日の夜、美月の部屋。
机の上に、上着と敷物と赤いセロファン。
母が顔をのぞかせ、「明日の夜食、置いておくね」と言って、水筒を冷凍庫に入れる。
窓の外、ベランダの風鈴が一度だけ鳴った。
東の高みに三つの点。
“針”“通路”“起点”。
南の低く、赤い心臓。
そこから注がれる“湯気”の気配。
美月はまだ知らない。
“似ている”の正体に、”血のつながり”という言葉があることも、
さっき自分が並べた褒め言葉が、そのまま先輩の輪郭に当たって、
本人の胸の奥をどきりと鳴らしてしまったことも。
ただ今は、明日の座標——8/12→13 24:30を、
早見盤の東に合わせ直しながら、
“星にも顔がある”という言葉を、何度も心の中で反芻していた。
理科棟の一番奥——「天文部」。
扇風機の首が左右に忙しく動き、机の上には観測カードと赤いセロファン、予備の星座早見盤。
望月先輩は白板に「8/12→13 24:30 屋上」をもう一度大きく書き、柏木先輩はシートの汚れを雑巾で落としている。新堂はブルーシートに空気を入れては抜き、入れては抜き——遊んでいるのか準備なのか、その境目で笑っていた。
「今日、いて座まで歩こう。ベガ—アルタイル—デネブの“三角形”から南に下りていくと、ティーポットみたいな形に出会う。注ぎ口のあたりから“湯気”みたいに天の川が立つ、って覚える人もいる」
望月先輩が、星図を指でなぞる。
美月は早見盤を回し、東を合わせ、南の低空に小さな四角形と三角形——たしかに“ポット”。
さそりの赤いアンタレスから、いて座のティーポットへ、そこから白い帯がのぼる気配。
(見えない線は、名前で引ける——あの日のメモが甦る)
部室のドアが、ノックもなく控えめに開いた。
「ごめん、資料、これ」
昨日見かけた彼女が、透明ファイルを両手で抱えて立っていた。
肩で結んだ髪。長いまつげの影が、目尻の形をやわらかく縁取る。
笑うと、口角がほんの少しだけ右へ先に上がる——その癖を、美月は一瞬で好きになってしまう。
「助かる。ありがとね」
望月先輩が受け取り、机の端に置く。
彼女は柏木先輩にも軽く会釈して、「じゃ、また」とだけ言って去った。
ほのかな石けんの香りが、扇風機の風に乗って薄くほどける。
気づいたら、美月の口が動いていた。
「……さっきの人、まつげが長くて綺麗。笑うと、目の形が可愛い。——口角の上がり方が、好き、です」
言った瞬間、自分で驚いた。
観測ログでは平気で言葉を選べるのに、人のこととなると、急に手元が狂う。
柏木先輩は「観察眼」と唇だけで呟き、新堂は“ほう”と意味深に頷く。
望月先輩は——一拍遅れて、視線をほんの少しだけ泳がせた。
「……そう?」
いつもの落ち着きの奥に、薄い乱れ。
部室の蛍光灯が、黒目に細く反射する。
(——“似てる”)
ふっと、そんな言葉が胸を横切った。
まつげの長さ、目の形、笑ったときの口角。彼女と先輩の顔を、頭の中で重ねる。
血のつながり、という言葉の存在を知らないまま、ただ輪郭の親しさに気づく。
望月先輩は、白板のペン先を持ち直し、話題を空へ戻すかのように指を動かす。
「さ、いて座から南斗六星。ティーポットの“柄”の部分がそれ。双眼鏡でのんびり眺めると“星の群れ”がよくわかる。気温が高い夜は、揺らぎで滲むこともあるから、焦らない」
さらりと説明しながら、耳の先が、わずかに赤い。
美月は自分の言葉の温度が、部屋の温度に少し足されてしまったことを、今更ながら自覚する。
「——じゃ、屋上」
柏木先輩の号令で、道具を抱えて階段を上る。
鉄扉の向こう、空はまだ浅い群青。
赤いライトを点け、暗順応の十分。
目を閉じると、風がまぶたの上で層になり、音が一つずつ距離を持つ。
「開けて」
西に残る薄い橙の上、宵の明星。
東高く、ベガ。少し下にアルタイル、北東にデネブ。
「三角形から、南へ」
望月先輩の声に合わせて、視線を滑らせる。
アンタレスの赤。そこから右へ、ティーポット。
注ぎ口から、白い湯気——天の川の気配。
「……見える気が、します」
「うん。“気配”で十分。双眼鏡、貸して」
望月先輩が手渡してくれた双眼鏡のストラップが、指にやわらかく触れる。
レンズの向こう、点だったものが、群れに変わる。
曖昧な粒が、集まっている事実だけで胸が満ちる。
「うまい」
「——たまたま、じゃ、ないです」
言葉が、思っていたより真っ直ぐに出た。
先輩が少し笑って、すぐに真顔に戻る。
「今夜は、星の“顔”の話をしてもいい?」
「顔?」
「ベガは“針”。アルタイルは“通路”。デネブは“起点”。——星にも“顔”があるって話。濃い薄い、にじみ方、鋭さ。人と同じで、それだけで“誰か”になる」
“顔”。
さっき自分が言った褒め言葉が、空にも届くのがおかしくて、でも、すごく正しい気がした。
望月先輩は、双眼鏡の視度リングを指で回しながら、視線を空から降ろすことをしなかった。
「まつげが長いって、光の“縁”がはっきり見える感じに近い。目の形は——星のにじみ方。笑うと口角が上がるのは……うーん、明るさが一段、増す?」
「たとえ、変です」
「だよね」
二人で、同時に笑った。
笑いの余韻の中で、胸のどこかが小さく跳ねる。
望月先輩は、ふいに自分の目元を指で触れ、何かを確かめるように瞬きをした。
「……俺、まつげ、長いのかな」
天然に過ぎる一言。
美月は反射で、まっすぐ言ってしまう。
「長いです。横顔、光が当たると、影が落ちます」
言い切った自分に驚き、舌の先が熱くなる。
先輩は「そっか」とだけ言い、耳の赤がもう少し濃くなった。
風が、シートの隅をぱたぱた揺する。
夏の匂い——草、遠くのタレ、どこかの家の風鈴。
「今日のログ、“ひとこと”は?」
望月先輩が観測カードを差し出す。
美月はペン先を迷わず動かした。
東高く:夏の大三角/南低く:アンタレス→いて座ティーポット
ひとこと:星にも“顔”。湯気=天の川の気配
書き終えて顔を上げると、先輩はまだ少しだけ耳を赤くしていた。
さっきの褒め言葉の残り火が、部室ではなく、この屋上の風の中に漂っている。
「……あの人、誰ですか?」
自分で驚くくらい、静かな声が出た。
言った瞬間、空の温度が一度だけ変わった気がした。
望月先輩は、わずかに間を置いて、いつもの穏やかさで言う。
「昔から家族ぐるみでね。——進路の話、時々」
“家族”の一語が、胸に刺さって、すぐに溶けた。
(やっぱり、近いんだ)
言葉にしない部分が、自分の内側で勝手に太字になる。
でも次の一拍で、別の気づきが生まれる——“似てる”の正体に、手がかかる感じ。
ただ、そこへ届く前に、望月先輩がふいに話題を戻した。
「流星群、いよいよ明日。——“一分法”、もう一回だけ、やる?」
「はい」
二人で寝転び、視界を四等分。
タイマーの小さな音。
一分は、長い。
流れない空に、耳だけが敏感になる。
遠くの国道、手前の樹の葉、ベランダの風鈴。
0。
でも、待ったという事実が、確かな一行になる。
片付けに入るとき、柏木先輩が「水分、氷、上着」と指差しでチェックし、新堂は真顔で「願いごと短文化」と自分の手の甲に書いていた。
笑いながら階段を下りる。蛍光灯の白が目に差す。
廊下で、望月先輩がふと立ち止まる。
「さっきの、“顔”の話——一ノ瀬さんは、人の“顔”を見るの、うまいね」
「観測、得意なので」
「……俺にも、時々、そうやって言葉をつけてくれると、助かる」
心臓が、一度強く鳴る。
それは頼み事の形をしていたけれど、どこかで距離の縮まり方に似ていた。
返事は短く、「はい」。
それだけで、今日は十分だと思えた。
昇降口を出ると、夜気は昼より軽い。
商店街の提灯が、赤い明かりを深くしている。
遠くで小さな花火が音だけを置いて割れた。
ポケットの中の観測カードの“ひとこと”欄の端に、鉛筆でごく小さく書く。
似ている、という距離
その日の夜、美月の部屋。
机の上に、上着と敷物と赤いセロファン。
母が顔をのぞかせ、「明日の夜食、置いておくね」と言って、水筒を冷凍庫に入れる。
窓の外、ベランダの風鈴が一度だけ鳴った。
東の高みに三つの点。
“針”“通路”“起点”。
南の低く、赤い心臓。
そこから注がれる“湯気”の気配。
美月はまだ知らない。
“似ている”の正体に、”血のつながり”という言葉があることも、
さっき自分が並べた褒め言葉が、そのまま先輩の輪郭に当たって、
本人の胸の奥をどきりと鳴らしてしまったことも。
ただ今は、明日の座標——8/12→13 24:30を、
早見盤の東に合わせ直しながら、
“星にも顔がある”という言葉を、何度も心の中で反芻していた。
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