深い青を愛してる

あおなゆみ

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また会いたいと思う気持ち

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 彼女は、

「もう帰らなくちゃいけないので」

と言い、軽く逃げるように僕から去った。
一度図書館から離れたが、すぐに荷物を持っていないことに気付き、図書館の中に戻っていった。
僕は彼女に貰った水のペットボトルを握りしめ、彼女の姿を見ていた。
再び図書館から出てくると、軽くお辞儀をし、足早に去って行く。

 突然の発作のような不安に、自分が一番驚いていたし、それを誰かに見られた事に恥ずかしさを感じている。
握っているペットボトルは冷たくて、それ以外の僕の体も、外の空気も熱を帯びていた。
この恥ずかしさを挽回したかった。
それに、水を奢って貰ったことになるから、そのお返しがしたかった。
そして素直に、もう一度彼女に会ってみたいという気持ちもある。

「誰にも言わないって言葉、私、なんだか好きです」

彼女はそう言った。
本音を言えない僕を慰めるような言葉だった。


 その後、時々図書館に行くようになった。
僕の好きな小説も置いてあったが、鞄の中に同じものが入っている。
お気に入りのその小説を、僕はいつも持ち歩いていた。
そして、何度も読んだその小説を再び読んだ。
 
 主人公の葉子が恋人と待ち合わせをする場所が図書館だった。
読書好きの恋人で、葉子はそんな恋人が読書する姿を愛しそうに見つめるのだ。

 
 彼が彼だけの世界に入り込む時 
 私はその世界を知りたくなる
 でも彼が彼だけの世界にいる時 
 私はそんな彼を眺める幸せを知ることができる


図書館で読書する恋人を、そんな表現で愛する葉子。
 僕はこの小説から得た感情を、いくつもの深い青の夜に思い返した。
著者が次の新しい物語を書く事に期待した。
僕の好きな世界観を再び見せてほしいと、僕が心を震わす言葉を紡いでほしいと願った。
 僕の願いはこれから叶うかもしれない。
だけど心のどこかで、新たな物語は見られない可能性についても考えていた。
それは時間の経過が分かりやすく表してもいたし、著者の情報の少なさが僕をそんな思いにさせた。


「こんにちは」

僕の最愛の物語を読んでいる時、小さく囁くその声は、僕の右後ろから聞こえる。
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