14 / 23
もう少しだけでいい
しおりを挟む
二人で図書館に戻り、二人で沢山の本棚を見て回った。
彼女は楽しそうに自分の好きな小説やエッセイや美術書について小声で話してくれた。
極力短い言葉で、魅力的に。
あまり話しすぎるのはよくないから、彼女の持っていたノートに文字を書き、それで会話もした。
難しい単語は使わないけれど、少しだけ飾られた言葉。
そうやって僕らはお互いの秘密を、最愛を語り合った。
大切なものを、誰かに話すのは僕にとって簡単な事ではなかったはずなのに、彼女にはいとも簡単に話す事ができる。
深い青の夜を思い出した。
僕が特別になれたあの夜。
深い青の夜に似ている彼女。
僕らにとっての最愛は秘密だ。
その秘密を少しだけ明かし合った今日。
図書館を出て別れ際に彼女は言った。
「私も、今日おすすめした好きな本について、誰にも話した事なかったです」
恥ずかしそうにする彼女。
多分、恥ずかしい時に唇を噛む癖がある。
3年も付き合った元恋人の癖も知らないのに、僕はどうかしている。
「教えてくれてありがとう。早速読んでみるよ」
「楽しかったです。ありがとうございました」
「こちらこそ」
別れるタイミングだと分かっていても、僕は彼女より先にその場を去ろうとは思えなかった。
二人とも、今日が最後だと思っていた。
同じ町にいるとしても、そんなのは関係なく最後だと。
理由は分からない。
”いつか”は分からないけれど、”今”はひとまず終わりだと。
彼女が勇気を振り絞ったような、少し緊張の伝わる声で言う。
「またいつか、会いたいです」
やっぱり唇を噛んだ彼女。
だから僕も勇気を振り絞って言った。
「僕も会いたい。絶対に」
彼女は深くお辞儀をし、その後恥ずかしそうに手を振った。
本棚越しに目が合ったあの日のように、彼女は可愛かった。
彼女は楽しそうに自分の好きな小説やエッセイや美術書について小声で話してくれた。
極力短い言葉で、魅力的に。
あまり話しすぎるのはよくないから、彼女の持っていたノートに文字を書き、それで会話もした。
難しい単語は使わないけれど、少しだけ飾られた言葉。
そうやって僕らはお互いの秘密を、最愛を語り合った。
大切なものを、誰かに話すのは僕にとって簡単な事ではなかったはずなのに、彼女にはいとも簡単に話す事ができる。
深い青の夜を思い出した。
僕が特別になれたあの夜。
深い青の夜に似ている彼女。
僕らにとっての最愛は秘密だ。
その秘密を少しだけ明かし合った今日。
図書館を出て別れ際に彼女は言った。
「私も、今日おすすめした好きな本について、誰にも話した事なかったです」
恥ずかしそうにする彼女。
多分、恥ずかしい時に唇を噛む癖がある。
3年も付き合った元恋人の癖も知らないのに、僕はどうかしている。
「教えてくれてありがとう。早速読んでみるよ」
「楽しかったです。ありがとうございました」
「こちらこそ」
別れるタイミングだと分かっていても、僕は彼女より先にその場を去ろうとは思えなかった。
二人とも、今日が最後だと思っていた。
同じ町にいるとしても、そんなのは関係なく最後だと。
理由は分からない。
”いつか”は分からないけれど、”今”はひとまず終わりだと。
彼女が勇気を振り絞ったような、少し緊張の伝わる声で言う。
「またいつか、会いたいです」
やっぱり唇を噛んだ彼女。
だから僕も勇気を振り絞って言った。
「僕も会いたい。絶対に」
彼女は深くお辞儀をし、その後恥ずかしそうに手を振った。
本棚越しに目が合ったあの日のように、彼女は可愛かった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
妻が通う邸の中に
月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる