深い青を愛してる

あおなゆみ

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彼との短い物語は、私の長編

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 彼との短い思い出を、物語にした。
彼は今でも、私の小説を読んでくれているだろうか。
もはや今回の小説は、私に気付いて欲しいと訴えかける為のものだった。
あの日の約束を果たしたいという願いを込めてもいた。
もう一度、会いたい。
やはりこの物語を世に出したいという欲望が芽生える。
私と彼だけが知っている二人の短い物語、彼に会えずにいた私の6年間。
私にとっては、会えずにいた6年でさえ、彼との物語であるかのように。
出会うべき人にはきっと出会える。
私はその出会いを知る事ができた、貴重な人間だ。


「ねえ。今回の小説、今までと何だか違うね」

「そう?」

もちろん彼との出会いを知らない友人が私に言う。

「毎回どこか、二度と会えない切なさみたいなのが共通して存在する話が多かったけど、今回は何だか再会っていう優しい希望みたいなのを強く感じた」

「今までと変わっちゃって、ファンが離れていきそう?」

何か違う、と思われるのは嫌だった。
彼が好きだった処女作の雰囲気を、ほんの少しでも良いから残していたかった。

「大丈夫。重要な部分は変わってないから」

「そっか。良かった」

 
 彼は今、何をしているだろう。
私はいつから、彼に私を知って欲しいと思うようになったのだろう。
想いを伝えたいだけなのだろうか。
それとも、彼の想いも知りたいのだろうか。

 もう、小説は出版された。
私は、また図書館に行くと思う。
あの約束が夢ではなかったと、確認しに。
繰り返し聴く彼の曲に、新たな気持ちを込める為に。
深い青の夜を、永遠にする為に。
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