聖女召喚に巻き込まれて、異世界にきたオレは追放されて聖人になる

坂道冬秋

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ACT16〜人助け〜

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オレは光を感じていた。閉じているまぶたの外に光を感じる。

そうだ、オレは眠っていたのだ。ぼーとした頭で何となくそう考えていた。

「いや違う!」

オレは心の中でそれを否定した。オレは気を失っていたんだ。

オレは急いで身体をおこす。上半身をおこした瞬間、少し目眩がした。周りを見渡すと、何処かの部屋のようだった。

おそらく内装から教会の一室ではないかと予想する。周りには人影はない。

「ここは?」

オレは呟いていた。そして、フラフラとする頭と身体で立ち上がる。

目の前にあった扉を開き、外に一歩踏み出した。

「ちょっと!何やってるの?立っちゃだめよ!」

ニナがオレの方に走って来るのが見えた。

「オレ、気を失ってたのか?何があった?」

オレは両手でニナの肩を掴み、矢継ぎ早に質問をしていた。

「落ち着いて!」

そう言われて、オレはニナの肩においた手を外す。

「ごめん!あれからどうなったか聞いていい?」

オレは、心を落ち着かせてから聞いた。

「マサノリの魔術で魔物達は逃げて行ったわ!」

「オレの魔術で全部逃げたのか?」

「まあ、一部残って暴れてるやつはいたけど、邪気がなくなった魔物なんて騎士団の敵じゃなかったわ」

オレは、ニナの言葉に安堵していた。そして、そのまま座り込んでしまった。

「大丈夫?」

「いや、安心したら力が抜けちゃって」

オレがそう言うと、ニナが少し笑っていた。

「そうだ!ケガ人とかはいないのか?」

オレが聞くと、ニナは少し複雑な顔をしていた。

「いるんだな!」

オレは、ニナの答えを聞かずに人の気配がする方に歩きだした。

「ちょっと!まだ、寝てて!」

そう言いながら、ニナはオレに抱きついて行く手を阻んでいた。

「ケガ人がいるんだろ?」

「大丈夫よ!」

そう言ったニナが視線ん外した。オレはウソだと直感していた。

「重傷者がいるのか?」

「大丈夫だから!」

オレは、そう言うニナの顔を正面から見つめて言った。

「無理はしない!連れて行ってくれ!」

「マサノリ…」

ニナがそう呟いた。何を言っても無駄だと思ったのかもしれない。

おれを近くの一室に連れて行く。その途中でも、ケガをしているらしい村人や騎士を見かけたが、ニナは、「こっちよ!」と言って進む。

「ここよ!」

そう言って扉を開いた一室には、数人の重傷者が寝かされていた。

皆、女性で騎士のようだった。

「彼女達は?」

「戦闘の途中で助けに入ってくれた騎士達よ」

どうやら、彼女達は魔物にやられて重傷を負ったようだった。

「君は聖属性魔術を使った…」

部屋の中で、重傷の騎士達を見ていた女性が、オレの顔を見て言葉をかけてきた。

「あなたは?」

「私は、第五騎士団団長のマイン・シラシードよ!」

オレは小さく礼をして、重傷者の元に近づいていった。

「回復魔術を使う!」

「大丈夫なの?」

オレがそう言ったので、ニナが心配して尋ねた。

「できる限りの事はするよ」

何故こんなに必死に彼女達を助けようとしているのか、オレにもよくわからなかった。

ただ、この時のオレは、どんな事をしても彼女達を助けたいと思っていた。

もしかしたら、始めて人のために行動しているという実感があったからかもしれない。

人生の中で、人のために一生懸命になった記憶がオレにはなかった。

もちろん、小さな事はあっただろう。でも、人の命を助ける事なんて、日常の中で、人生の中で今までなかった。

だから、助けたいと思ったのだろう。せめて、できうる限りの事をしようと、考えていた。

「ヒール」

オレは、女性騎士の横たわるベッドに近づき、回復魔術を使う。

騎士の傷はみるみる回復していった。

「ううん!」

騎士は、そう声を出しながら目を覚ました。

オレは、他の重傷の騎士達に回復魔術をかけてまわった。

「さすがにヤバい!」

オレは、笑いながらそう言って座り込んだ。

「マサノリ!」

「君!大丈夫か?」

ニナとマインと名乗った騎士団長が、そう言いながらオレに駆け寄ってきた。

「ああ、なんとかね…」

オレは、笑顔で二人に答えた。この時のオレは、嬉しかったんだと思う。

そして、少し自分の行動を誇らしく思っていた。

「礼を言う!君のおかげで、この子達が死なずにすんだ」

マインと名乗った団長は、少し涙ぐみながら言った。

後で聞いた話では、この時の戦闘では、村人と騎士共に軽傷者は複数いたようだが、死者は一人も出なかったみたいだ。

オレは、それを聞いて胸をなで下ろしたのを覚えている。





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