聖女召喚に巻き込まれて、異世界にきたオレは追放されて聖人になる

坂道冬秋

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ACT18〜破邪の秘術と戦闘〜

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オレ達が、村を出発したのは早朝の事だった。

第五騎士団は、隊を半分に分けていた。

半分は村の防衛のために残し、残った半分で森の中にあると思われる、穢れの地を目指す。

どうやら、オレが力を回復させるため村で休んでいる間に、騎士団は森の中を探索していたらしい。

まだ、穢れの地の正確な場所は特定されていなかったが、だいたいの場所は推測できる程度に情報が集められていた。

そのため、オレ達の行軍はスムーズなものだった。

時々、魔物と遭遇したが、邪気をまとった魔物ではない。

オレ達を見て、ほとんどが戦う事なく逃げていった。

本来のこの世界の魔物とは、こんな感じらしい。

もちろん、人間側が少人数だったり、季節などによっては、襲ってくる事もあるみたいだが、それ程の頻度ではない。

これは、人間側が不用意に森の中に入って行かないという理由もあった。

因みに、季節によってというのは、繁殖期などが関係する。子供を守るために人を襲うのだそうだ。

オレが元いた世界でも、熊やイノシシが人を襲う事件がたまにあったが、同じような理由だった。

この世界の魔物が人を襲う理由は、オレの世界の熊などと大差ない。

魔物にも、人を襲う理由があるという事だろう。もちろん、邪気をまとっていなければ、であるが。

「なあ、ちょっと聞きたいんだけど…」

オレが、隣を歩くニナに話しかけた。

「何?どうしたの?」

「今向かっている、穢れの地っていうのが、この辺一帯の邪気の発生源なんだよな?」

「ええ、そうよ!」

ニナが、目の前の大きな木の根を避けながら答えた。

「オレの浄化魔術で、その穢れの地の邪気を浄化できるのかな?」

「大丈夫よ!」

ニナは自身たっぷりに答えた。

「オレが浄化してきたのって、魔物ばっかりだろ?一度に数匹を浄化したことはあったけど、それぐらいだし!」

「こないだ村に集まった魔物を、一気に浄化したじゃない」

ニナは、笑顔をオレに向けながら言った。

「たしかに、あの時はそうだったけど」

オレは、そう言いながら話を続ける。

「同じように、あんな大規模で広範囲の浄化ができるか、わからないよ!」

「大丈夫でしょ!できるわ!」

ニナは、軽い感じで答えた。

「いや、一回できたからって、何度もできるとは限らないしさ!」

「いいえ!一度できたなら大丈夫!」

ニナは自身満々に言った。

「あの規模の浄化は、まぐれではできないわ!マサノリの力よ!」

「せめて、練習する時間が欲しかったな!」

ニナは少し笑っていた。

「なんか可笑しい?」

「だって、マサノリ自身が、あんまりわかってないみたいだから!」

オレは、ニナの言っている意味がわからなかった。

「あの時、マサノリが放った浄化魔術は、たぶん破邪の秘術よ!」

「はあ?なにそれ?」

オレはニナの言った内容が理解できなかった。

「破邪の秘術とは、聖女様だけが扱えると言われている、特別な魔術のことだ!」

横を歩いていたマインが言った。

「そうなの!そして、破邪の秘術は全ての邪気を浄化する秘術でもあるわ!」

ニナがマインの言葉に付け加えた。

「私が知る限り、唯一、単体の術で穢れの地を浄化できる魔術よ!」

「穢れの地を、単体で?」

「ええ!そう!」

ニナが力強く言った。

「なんか、責任重大で胃が痛くなってきたよ!」

「大丈夫だ!私達が君の事は守る!」

マインがそう言った。

「そういう事!私達が必ず守るから、何度でも試せばいいのよ!」

さっきのマインの言葉の真意は、何度失敗してもいいから破邪の秘術を成功させろという意味みたいだ。

もちろん、自分達がその間必ず守りきる、という意味でもある。

逆に言うなら、オレは必ずその破邪の秘術という魔術を成功させなければならないという事だ。

「なんか、プレッシャーが半端ないんだけど!」

オレが言うと、ニナがニヤニヤしながらオレの顔を見ていた。





そんな話をしながら、オレ達は森の中を進んでいた。

少し前を進んでいた斥候が戻ってくるのが見えた。

オレ達より、先を歩いている騎士達の雰囲気が少し変わった。緊張感が伝わってきた。

「どうやら魔物の群れが前方にいるようだ!」

報告を聞いたマインがオレとニナに言った。その魔物を避けて通るのは難しいようであった。

仮に避けたとしても、後ろから襲われる可能性がある。

前方の魔物と挟撃されれば、被害は大きくなる。先に叩くしかないようだった。

「私達が仕掛ける!君達は、後方で援護してくれ!」

マインがオレとニナに言った。前方にいる魔物の数にもよるが、邪気をまとった魔物の場合、現在の騎士団の戦力では苦戦する可能性がある。

マインの指示は、それを見越しての判断だろう。

「お二人は、私達がお守りします!」

そう言って、二人の騎士がオレ達の前で剣を抜いて構えた。

ガキン!キン!

という、金属がぶつかるような音が聞こえてきた。戦闘が始まったようだ。

「オレ達も行こう!」

オレは、そう言いながら走り出す。ニナも黙ってオレの後に続いて走り出した。

オレが、戦闘に参加すると予想していたのだろう。

最近は、そんな阿吽の呼吸で行動ができるようになっていた。

このような戦闘も、何度か経験しているからだ。

「待って下さい!危険です!戦闘は私達に任せて下さい!」

そう言いながら、二人の騎士がオレ達を追いかけてきていた。

「やっぱりな!」

オレが呟く。戦闘をしていたマイン達、騎士の先発隊は苦戦していた。

それは、相手の魔物が邪気をまとっていたからだ。

数も10匹以上はいた。邪気をまとっている魔物には、普通の剣は通りにくいようだ。

邪気が身体の周りでバリアのようになって、強度を上げている。

それは、魔術も同じで、邪気によって、魔術の威力の何割かは相殺されてしまう。

そのため、通常ならば、一人で難なく倒せる魔物であっても、数人で相手する必要がある。

「ハッ!」

オレは、マイン達を無視して向かってきた魔物を、浄化の光をまとわせた剣で一刀両断した。

やっと、剣に浄化を力を乗せるのに慣れてきていた。

「時間を稼いでくれ!」

オレがそう言うと

「わかったわ!」

と、状況を察したニナが、一緒にいた二人の騎士に指示を出す。

オレは、その間に浄化の魔術を完成させて放った。浄化の光を空間に放つ魔術だ。

この程度の浄化魔術ならば、数秒の時間があれば構成できるようになっていた。

「また助けられたな!」

オレの浄化魔術で、邪気を消し飛ばされた魔物は、ほとんどが逃げていった。

残った魔物も騎士達によって簡単に討伐された。

安全を確保したマインが、オレの近くまできて、そう言っていた。




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