聖女召喚に巻き込まれて、異世界にきたオレは追放されて聖人になる

坂道冬秋

文字の大きさ
27 / 45

ACT26〜名前〜

しおりを挟む
「ホーリーブレード!」

オレがそう叫ぶと、白い光の塊が二つ飛んでナミナとリーシオの剣と融合する。二人の剣が浄化の力を帯びる。

「何それ?」

ニナが、隣で聞いた事のない単語を叫ぶオレに聞いてきた。

「浄化の剣の名前だよ」

「あの聖属性魔術にそんな名前をつけたの?」

ニナが不思議そうな顔をしていた。

「名前がある方が発動させやすいんだ」

「へぇー!」

ニナが何となく頷いた。オレは、そんな事を言いながら、オレ自身の剣にもホーリーブレードを使い走り出した。

そして、目の前の魔物と交戦しているナミナとリーシオの戦闘に参戦する。

オレ達は、幾度となく魔物との戦闘を経験していた。

本来、騎士団でも苦戦する邪気をまとった魔物だが、浄化の力を使えば、それ程難しい討伐ではなかった。

まあ、魔物の数や規模にもよるが。少なくとも、今戦っている程度の魔物相手なら、さっきのような無駄話をしながら対応できた。

まあ、オレ達の戦闘レベルが上がって、慣れてきた事も理由ではあるが。

「なっ!増援か?」

「魔物が増えました!」

ナミナとリーシオがそう言った。オレ達は、近くの村から要請を受け、森の中に入って、邪気をまとった魔物を討伐している。

森の奥から、さらに魔物が現れた。ナミナは増援という言葉を使っていたが、魔物に増援という言葉は、なんか違うような気がする。

まあ、そんな事を考えれるのは、オレ達が余裕を持って戦えているからだろう。

「ホーリーウェーブ!」

オレが、そう叫びながら聖属性魔術を打ち出す。新しく増えた魔物の半分以上が、邪気を浄化されて逃げていった。

因みに、このホーリーウェーブという魔術は、オレがはじめて放った浄化魔術だ。

浄化の白い光を放ち、一定の空間を浄化する。前方に掲げられた掌から波のように光を発するので、この名前をつけた。

「また増えたわ!」

後ろから水の魔術を打ち出しつつ、前衛のオレ達を援護していたニナが言った。

オレ達前衛が戦っている場所の先に、新しく魔物が10匹程見えたからだ。

「少し、時間を稼いでくれ!」

「了解しました!」

「了解です!」

オレがナミナとリーシオに声をかけた。それに二人が答えたのを確認してから、オレは少し後方に下がった。

「ホーリーストーム!」

数秒マナを収束する時間を使い、オレは最近覚えた聖属性魔術を放つ。

このホーリーストームは、ホーリーウェーブを強化したような魔術だ。

聖属性魔術は、力を収束させると金色の粒子を生成する。

それと、浄化の白い光を竜巻のようにオレの前方で吹き荒れさせる。

見た目は、金色の粒子と白い光の竜巻そのものだ。

このホーリーストームは、破邪の秘術程の浄化能力はないが、小さな黒い沼なら浄化できた。

何より、マナの消耗が破邪の秘術程大きくはない。

「ギャン!」

そんな声を出しながら、邪気を浄化された魔物は逃げて行った。

「進もう!たぶん、この先に黒い沼がある!」

オレは、魔物を追い払って、一息ついた後、皆に声をかけた。

さっきの戦闘で損耗はそれ程大きくはなかったので、進むという判断をした。

「ええ!」

そうニナが答える。ナミナとリーシオも頷いていた。

「ところで、先程から叫んでいるのは、聖属性魔術の名前ですか?」

ナミナが歩きながら尋ねてきた。ニナと同じ疑問を持ったらしい。

リーシオもオレの答えを待つように見つめる。

「なんか、魔術の名前があった方が形成させやすいんだ!ほら、アクアランスとか、他の属性魔術にも名前があるだろ!」

「そういうものなんですか?」

魔術を使えないナミナは、なんとなく納得しながらニナやリーシオを見る。

「そんな事考えた事もなかったわ!元々、魔術には固有の名前があったし」

「私もです」

ニナとリーシオも、オレの言っている事はよくわからないようだった。

まあ、元々あった技術を使うのと、一から技術を形成しなければならない魔術の差だろう。

聖属性魔術は、元々使える者がほとんどいない。使えても、簡単な回復魔術程度らしい。

浄化の魔術もあるらしいが、魔物を浄化するような魔術は存在しない。

そのため、オレは体系を自分で構築する必要があった。

「だから名前を付けたのですか?」

リーシオが尋ねる。

「うん!そうだね。なんか技名を叫ぶみたいで恥ずかしいけど。中二病っぽいし」

「中二病?」

3人が同時に、よくわからない単語を聞いて首を傾げる。

「あ、いやこっちの事」

そう言って誤魔化した。中二病のような技名はともかく、魔術に固有の名前をつける事は重要だった。

今まで、オレは聖属性魔術をイメージで生成していた。

それは、どのような魔術を完成させるかをイメージして、そのイメージにマナを構築していく作業だった。

完成のイメージを頭に思い浮かべながら絵を描いていくような作業だ。

ただ、魔術の完成形のイメージは、曖昧で不明瞭なものだった。

しかし、完成形に名前をつける事で、より速く、より正確にイメージができ、魔術の形成もスムーズにできるようになっていた。

たぶん、人間は名前など、言語化した方がイメージを構築しやすい動物なのだろう。

「マサノリ殿!アレを!」

そんな事を考えていると、先頭を歩いていたナミナが、オレに声をかけ指差した。

「黒い沼だな!間違いない!」

オレがナミナに答えた。

「周りに魔物がけっこういるわね!」

ニナが後ろから言った。

「ああ!でも、あの規模の沼ならたいした事はない!すぐに浄化できる」

「じゃあ、私達が時間を稼ぐ間に沼をお願い!」

ニナがそう言って、ナミナとリーシオの二人と前に出て行った。

「ホーリーブレード!」

オレは、ナミナとリーシオの剣に浄化の魔術をかける。それを確認した3人は、前方にいた魔物に撃って出た。

「ホーリーストーム!」
オレは、3人が魔物を引きつけている間に、浄化魔術を発動させる。一瞬で黒い沼と周りにいる魔物は浄化していった。

「ふうー!任務完了だな」

オレは、一息ついている3人に語りかけた。







本日、20時頃と21時ごろに、エピソードを掲載する予定です。よろしくお願いいたします。



坂道です。掲載が遅くなり、申し訳ございません。一ヶ月程前に、緊急入院、緊急手術という状況となり、最近まで入院しておりました。活動再会には、少しお時間をいただきます。とりあえず、一度書き溜めていた作品を一気に放出させていただき、仕切り直したいと思います。ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い申しあげます。






しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する

鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】 余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。 いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。 一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。 しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。 俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...