35 / 45
ACT34〜リーシオ・クルボンの独り言〜
しおりを挟む
私は、リーシオ・クルボン。第五騎士団に所属している上級騎士だ。クルボン家は、代々騎士の家系だった。
実際、父親は騎士団の統括部に所属している。統括部とは、複数ある騎士団の任務の割り振りを調整する部署だ。
当然、この部署に入るには、長年の騎士団での実績が必要だ。
もっとも、実際には家柄なども関係しているようだが。
また、私の兄達も騎士団に所属している。私は、このような環境で育った。
そのため、自分が騎士になる事を疑っていなかった。私自身もそれが嫌だった訳ではない。
むしろ、父や兄達のような騎士になりたいと思っていた。ただ、私には剣術の才能がなかったようだ。
もちろん、普通の騎士程度には負ける事はない、と自分でも思っている。
ただ、兄達のような上級騎士になれるほどの能力はなかった。
その頃の私は、何故兄達のようになれないのかに悩んでいた。
今から思うと、私の剣術が兄達に及ばなかったのは理解できる。それは、騎士が使う剣術の特性だ。
騎士の剣術は、正面から打ちつける技が多い。正々堂々、正面から打ち破るような剣術だ。
そのような戦い方は、私には向いていなかったのだ。また、体格も関係している。
私は、小柄で線が細いタイプだ。いくらマナによって強化できても、ハンデとなっていた。
これに気付けたのは、異世界から来た男性のおかげだった。
彼が使う異世界の剣術は、相手に正面からぶつからず、受け流すような柔的な剣術だった。
その剣術と理屈を聞いた時、私は衝撃を受けた。
話を戻そう。幸運にも、私は騎士団に入団する事ができた。
しかし、騎士として戦闘能力は、評価の大きな基準となっていた。つまり、剣術の評価だ。
私は、剣術の能力を埋める必要があった。私が選んだのは、魔術だった。
元々、魔術師と対するために、魔術の勉強はしていた。まあ、あくまで敵と成りうる魔術師を知るための勉強だったが。
それが役に立ち、私は魔術を扱う事ができた。それも、珍しい二属性の魔術を扱う事ができた。
しかし、この魔術においても上級魔術師のような能力を身につける事はできなかった。
今考えると、私は俗に言う器用貧乏というやつなのだろう。
多くの事ができるが、どれも一流の能力を身につける事ができないのだ。
私は悩んだ末に、剣術と魔術の併用による戦闘法を編み出した。
その戦闘能力から上級騎士になる事ができた。でも、認められる事はなかった。
父や兄からは、私の戦闘法は邪道だと言われた。同じように、周りの騎士達からも、正当な騎士の戦い方ではないと揶揄された。
私は、自分の評価を覆すために、あらゆる事を勉強した。軍学(兵法)や医学、神学などだ。
しかし、私の評価は変わらなかった。唯一、私を評価してくれたのは、第五騎士団の団長、マイン・シラシード様だけだった。
「それだけの事を一人でできるなんて、すごい才能だ」
マイン様は、私をそう評価してくれた。必然的に、私は第五騎士団への配属となった。
私は満足していた。私を評価してくれる人の下で働ける事を。仲間もできた。
同じく第五騎士団に所属しているナミナ・ワウメザールだ。
彼女とは、何故かうまがあった。
「私も魔術が使えれば!うらやましい」
ナミナは、そんな事をよく言っていた。第五騎士団に所属して、私は少し自信を持つ事ができるようになっていた。
そんな時、魔物の討伐任務が第五騎士団にくだった。通常、第五騎士団は、護衛任務が主な仕事だ。
普通ではあり得ない命令であった。ただ、現在の王国では、魔物の出現率が異常な程増えていた。
人手が足りないという事なのだろう。私はその時、その程度にしか考えていなかった。
しかし、この魔物討伐の任務は、今までの任務とは比べものにならない程、過酷なものだった。
私達が討伐のために訪れた村は、私達が到着した時には、すでに戦場だった。
冒険者らしき男女が魔物に応戦していたが、魔物の数が多すぎた。
私達騎士団が援軍に入れば沈静化できると当初考えていたが、私達の力は全く通じなかった。
私の剣も魔術も魔物の足止めくらいにしかならなかった。
剣術においてトップクラスの力を持つナミナですら、魔物の一匹も仕留める事ができなかった。
そんな中、私は魔物の攻撃をくらい、重傷を負った。意識はなんとか保っていたが、動く事ができなかった。
私の目の前で、他の仲間やナミナが倒れていった。何もできない自分が悔しかった。
そして、私は死を覚悟した。その時、空に魔法陣が現れ、白い光が村を覆った。
その光は、魔物を浄化する光だった。私には、神様が舞い降りたように見えた。
戦場での私の記憶はここまでだった。目を覚ました時、私の重傷だと思えた傷はいえていた。
そう、マサノリ様が回復魔術で癒してくれたのだ。後から聞いて驚いた。
あの村を包んだ光も、彼の浄化魔術だった。私には、彼が神の化身に思えた。
その後の穢れの地の討伐では、私はナミナと一緒に、マサノリ様の護衛についた。
彼の剣術、魔術、そして、それを応用させる柔軟さを、私は凄いと思った。
討伐任務中に魔物に、対する魔術を開発したのだ。後にホーリーブレードと呼ばれる術だ。
私は、この人の元でなら新たな自分を見つける事ができるような気がした。
討伐任務が終わり、私はマサノリ様の護衛任務につく事になった。私が志願したのだ。
親友のナミナが志願したのもある。命を助けて貰った恩返しをしたかったというのもある。
でも、本当の理由は、今までの自分から抜け出し、新しい何かを見つける事ができるような気がしたからだ。
そして、私はマサノリ様と旅をして、本当の騎士とは何なのかを、はじめて知ったように思う。
私は本当の騎士になれるように思う。父や兄達のような騎士ではなく、本当の騎士に。
実際、父親は騎士団の統括部に所属している。統括部とは、複数ある騎士団の任務の割り振りを調整する部署だ。
当然、この部署に入るには、長年の騎士団での実績が必要だ。
もっとも、実際には家柄なども関係しているようだが。
また、私の兄達も騎士団に所属している。私は、このような環境で育った。
そのため、自分が騎士になる事を疑っていなかった。私自身もそれが嫌だった訳ではない。
むしろ、父や兄達のような騎士になりたいと思っていた。ただ、私には剣術の才能がなかったようだ。
もちろん、普通の騎士程度には負ける事はない、と自分でも思っている。
ただ、兄達のような上級騎士になれるほどの能力はなかった。
その頃の私は、何故兄達のようになれないのかに悩んでいた。
今から思うと、私の剣術が兄達に及ばなかったのは理解できる。それは、騎士が使う剣術の特性だ。
騎士の剣術は、正面から打ちつける技が多い。正々堂々、正面から打ち破るような剣術だ。
そのような戦い方は、私には向いていなかったのだ。また、体格も関係している。
私は、小柄で線が細いタイプだ。いくらマナによって強化できても、ハンデとなっていた。
これに気付けたのは、異世界から来た男性のおかげだった。
彼が使う異世界の剣術は、相手に正面からぶつからず、受け流すような柔的な剣術だった。
その剣術と理屈を聞いた時、私は衝撃を受けた。
話を戻そう。幸運にも、私は騎士団に入団する事ができた。
しかし、騎士として戦闘能力は、評価の大きな基準となっていた。つまり、剣術の評価だ。
私は、剣術の能力を埋める必要があった。私が選んだのは、魔術だった。
元々、魔術師と対するために、魔術の勉強はしていた。まあ、あくまで敵と成りうる魔術師を知るための勉強だったが。
それが役に立ち、私は魔術を扱う事ができた。それも、珍しい二属性の魔術を扱う事ができた。
しかし、この魔術においても上級魔術師のような能力を身につける事はできなかった。
今考えると、私は俗に言う器用貧乏というやつなのだろう。
多くの事ができるが、どれも一流の能力を身につける事ができないのだ。
私は悩んだ末に、剣術と魔術の併用による戦闘法を編み出した。
その戦闘能力から上級騎士になる事ができた。でも、認められる事はなかった。
父や兄からは、私の戦闘法は邪道だと言われた。同じように、周りの騎士達からも、正当な騎士の戦い方ではないと揶揄された。
私は、自分の評価を覆すために、あらゆる事を勉強した。軍学(兵法)や医学、神学などだ。
しかし、私の評価は変わらなかった。唯一、私を評価してくれたのは、第五騎士団の団長、マイン・シラシード様だけだった。
「それだけの事を一人でできるなんて、すごい才能だ」
マイン様は、私をそう評価してくれた。必然的に、私は第五騎士団への配属となった。
私は満足していた。私を評価してくれる人の下で働ける事を。仲間もできた。
同じく第五騎士団に所属しているナミナ・ワウメザールだ。
彼女とは、何故かうまがあった。
「私も魔術が使えれば!うらやましい」
ナミナは、そんな事をよく言っていた。第五騎士団に所属して、私は少し自信を持つ事ができるようになっていた。
そんな時、魔物の討伐任務が第五騎士団にくだった。通常、第五騎士団は、護衛任務が主な仕事だ。
普通ではあり得ない命令であった。ただ、現在の王国では、魔物の出現率が異常な程増えていた。
人手が足りないという事なのだろう。私はその時、その程度にしか考えていなかった。
しかし、この魔物討伐の任務は、今までの任務とは比べものにならない程、過酷なものだった。
私達が討伐のために訪れた村は、私達が到着した時には、すでに戦場だった。
冒険者らしき男女が魔物に応戦していたが、魔物の数が多すぎた。
私達騎士団が援軍に入れば沈静化できると当初考えていたが、私達の力は全く通じなかった。
私の剣も魔術も魔物の足止めくらいにしかならなかった。
剣術においてトップクラスの力を持つナミナですら、魔物の一匹も仕留める事ができなかった。
そんな中、私は魔物の攻撃をくらい、重傷を負った。意識はなんとか保っていたが、動く事ができなかった。
私の目の前で、他の仲間やナミナが倒れていった。何もできない自分が悔しかった。
そして、私は死を覚悟した。その時、空に魔法陣が現れ、白い光が村を覆った。
その光は、魔物を浄化する光だった。私には、神様が舞い降りたように見えた。
戦場での私の記憶はここまでだった。目を覚ました時、私の重傷だと思えた傷はいえていた。
そう、マサノリ様が回復魔術で癒してくれたのだ。後から聞いて驚いた。
あの村を包んだ光も、彼の浄化魔術だった。私には、彼が神の化身に思えた。
その後の穢れの地の討伐では、私はナミナと一緒に、マサノリ様の護衛についた。
彼の剣術、魔術、そして、それを応用させる柔軟さを、私は凄いと思った。
討伐任務中に魔物に、対する魔術を開発したのだ。後にホーリーブレードと呼ばれる術だ。
私は、この人の元でなら新たな自分を見つける事ができるような気がした。
討伐任務が終わり、私はマサノリ様の護衛任務につく事になった。私が志願したのだ。
親友のナミナが志願したのもある。命を助けて貰った恩返しをしたかったというのもある。
でも、本当の理由は、今までの自分から抜け出し、新しい何かを見つける事ができるような気がしたからだ。
そして、私はマサノリ様と旅をして、本当の騎士とは何なのかを、はじめて知ったように思う。
私は本当の騎士になれるように思う。父や兄達のような騎士ではなく、本当の騎士に。
47
あなたにおすすめの小説
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する
鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】
余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。
いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。
一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。
しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。
俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる