聖女召喚に巻き込まれて、異世界にきたオレは追放されて聖人になる

坂道冬秋

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ACT34〜リーシオ・クルボンの独り言〜

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私は、リーシオ・クルボン。第五騎士団に所属している上級騎士だ。クルボン家は、代々騎士の家系だった。

実際、父親は騎士団の統括部に所属している。統括部とは、複数ある騎士団の任務の割り振りを調整する部署だ。

当然、この部署に入るには、長年の騎士団での実績が必要だ。

もっとも、実際には家柄なども関係しているようだが。

また、私の兄達も騎士団に所属している。私は、このような環境で育った。

そのため、自分が騎士になる事を疑っていなかった。私自身もそれが嫌だった訳ではない。

むしろ、父や兄達のような騎士になりたいと思っていた。ただ、私には剣術の才能がなかったようだ。

もちろん、普通の騎士程度には負ける事はない、と自分でも思っている。

ただ、兄達のような上級騎士になれるほどの能力はなかった。

その頃の私は、何故兄達のようになれないのかに悩んでいた。

今から思うと、私の剣術が兄達に及ばなかったのは理解できる。それは、騎士が使う剣術の特性だ。

騎士の剣術は、正面から打ちつける技が多い。正々堂々、正面から打ち破るような剣術だ。

そのような戦い方は、私には向いていなかったのだ。また、体格も関係している。

私は、小柄で線が細いタイプだ。いくらマナによって強化できても、ハンデとなっていた。

これに気付けたのは、異世界から来た男性のおかげだった。

彼が使う異世界の剣術は、相手に正面からぶつからず、受け流すような柔的な剣術だった。

その剣術と理屈を聞いた時、私は衝撃を受けた。

話を戻そう。幸運にも、私は騎士団に入団する事ができた。

しかし、騎士として戦闘能力は、評価の大きな基準となっていた。つまり、剣術の評価だ。

私は、剣術の能力を埋める必要があった。私が選んだのは、魔術だった。

元々、魔術師と対するために、魔術の勉強はしていた。まあ、あくまで敵と成りうる魔術師を知るための勉強だったが。

それが役に立ち、私は魔術を扱う事ができた。それも、珍しい二属性の魔術を扱う事ができた。

しかし、この魔術においても上級魔術師のような能力を身につける事はできなかった。

今考えると、私は俗に言う器用貧乏というやつなのだろう。

多くの事ができるが、どれも一流の能力を身につける事ができないのだ。

私は悩んだ末に、剣術と魔術の併用による戦闘法を編み出した。

その戦闘能力から上級騎士になる事ができた。でも、認められる事はなかった。

父や兄からは、私の戦闘法は邪道だと言われた。同じように、周りの騎士達からも、正当な騎士の戦い方ではないと揶揄された。

私は、自分の評価を覆すために、あらゆる事を勉強した。軍学(兵法)や医学、神学などだ。

しかし、私の評価は変わらなかった。唯一、私を評価してくれたのは、第五騎士団の団長、マイン・シラシード様だけだった。

「それだけの事を一人でできるなんて、すごい才能だ」

マイン様は、私をそう評価してくれた。必然的に、私は第五騎士団への配属となった。

私は満足していた。私を評価してくれる人の下で働ける事を。仲間もできた。

同じく第五騎士団に所属しているナミナ・ワウメザールだ。

彼女とは、何故かうまがあった。

「私も魔術が使えれば!うらやましい」

ナミナは、そんな事をよく言っていた。第五騎士団に所属して、私は少し自信を持つ事ができるようになっていた。

そんな時、魔物の討伐任務が第五騎士団にくだった。通常、第五騎士団は、護衛任務が主な仕事だ。

普通ではあり得ない命令であった。ただ、現在の王国では、魔物の出現率が異常な程増えていた。

人手が足りないという事なのだろう。私はその時、その程度にしか考えていなかった。

しかし、この魔物討伐の任務は、今までの任務とは比べものにならない程、過酷なものだった。

私達が討伐のために訪れた村は、私達が到着した時には、すでに戦場だった。

冒険者らしき男女が魔物に応戦していたが、魔物の数が多すぎた。

私達騎士団が援軍に入れば沈静化できると当初考えていたが、私達の力は全く通じなかった。

私の剣も魔術も魔物の足止めくらいにしかならなかった。

剣術においてトップクラスの力を持つナミナですら、魔物の一匹も仕留める事ができなかった。

そんな中、私は魔物の攻撃をくらい、重傷を負った。意識はなんとか保っていたが、動く事ができなかった。

私の目の前で、他の仲間やナミナが倒れていった。何もできない自分が悔しかった。

そして、私は死を覚悟した。その時、空に魔法陣が現れ、白い光が村を覆った。

その光は、魔物を浄化する光だった。私には、神様が舞い降りたように見えた。

戦場での私の記憶はここまでだった。目を覚ました時、私の重傷だと思えた傷はいえていた。

そう、マサノリ様が回復魔術で癒してくれたのだ。後から聞いて驚いた。

あの村を包んだ光も、彼の浄化魔術だった。私には、彼が神の化身に思えた。

その後の穢れの地の討伐では、私はナミナと一緒に、マサノリ様の護衛についた。

彼の剣術、魔術、そして、それを応用させる柔軟さを、私は凄いと思った。

討伐任務中に魔物に、対する魔術を開発したのだ。後にホーリーブレードと呼ばれる術だ。

私は、この人の元でなら新たな自分を見つける事ができるような気がした。

討伐任務が終わり、私はマサノリ様の護衛任務につく事になった。私が志願したのだ。

親友のナミナが志願したのもある。命を助けて貰った恩返しをしたかったというのもある。

でも、本当の理由は、今までの自分から抜け出し、新しい何かを見つける事ができるような気がしたからだ。

そして、私はマサノリ様と旅をして、本当の騎士とは何なのかを、はじめて知ったように思う。

私は本当の騎士になれるように思う。父や兄達のような騎士ではなく、本当の騎士に。





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