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第四十五話〜不倫と托卵と制裁(続)2~
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遥香から受け取った資料は、前に私が調べた事件だった。
厳密には、荒木誠司というライターが調べたのだが、私は彼から事件の内容を聞いた。
今考えても不可解な事件である。(第五話~不倫と托卵と制裁~を参照)下記が事件の概要だ。
20XX年の11月23日の20時頃、川崎由香里と、石崎晋也が殺された。彼等は同じ会社に勤める同僚で不倫関係にあったという。そして、彼等は全く別の場所で殺されたが、殺された時間、手口が全く同じだった。石崎晋也が殺された際、悲鳴を聞いた人間が駆けつけた時には、すでに無残な状態だったという。もう一人の被害者、川崎由香里については、目撃者の供述に不審な点があった。また、彼女は殺害当時、妊娠していた。
「この事件がどうしたの」
私は遥香に聞いた。確かに不可解な事が多い事件だった。
黒猫が引き寄せた呪いの一つとして考えれば、確かにこういう事もあるだろう。
「前に荒木さんが取材した資料を見ました」
「不可解な部分が多いのはわかるけど、これをまた調べたの」
遥香が静かに頷いた。
「前に荒木さんが調べた資料では、川崎由香里を重点的に調べていたじゃないですか」
私は、遥香からそう言われて記憶を探っていた。
「確かに、そうかもしれないわね」
「私は、浮気相手だった石崎晋也の方を調べてみたんです」
遥香は、そう言った。
「この動画を見て下さい」
そして、遥香はそう言って自分のスマホを私に手渡した。
そのスマホに映し出されている映像は、一応動画ではあったが、静止しているように見えた。
どうやら、車載カメラのようだった。
「その動画は、石崎晋也が殺された時に、たまたま近くに止まっていた、宅配業者の車の車載カメラです」
私は、その映像を見ていたが、これといった変化はなく、少しして運転手が戻り走り出した。
映像は、そこで終わっていた。
「もう一度、この左上の部分を見て下さい」
遥香がそう言って、また映像を再生した。
そこには、小さくだがスーツの男性が映っているようだった。
そして、白い塊のような物が男性を遮り、男性は路上に倒れたように見えた。
「これって、もしかして」
私は、遥香に視線を移しながら言った。
「はい、石崎晋也が襲われているところです。この部分を拡大したのがこれです」
そう言って、遥香はスマホを一度受け取り操作して、私に渡した。
「これって……」
拡大した事で解像度は低いが、スーツの男性を女性らしき人物が引き倒し、馬乗りになっているように見えた。
「この映像って、どうやって入手したの。警察には届けたの」
私は、スマホから目が離せず凝視したまま言った。
「もちろん、警察には渡しました。この映像は、この事件を調べていたライターさんのところで、埋もれていた資料です」
遥香の話を聞けば、そのライターはこの事件を調べていたが、途中で断念したらしい。
警察も、この宅配業者については調べておらず、たまたま、そのライターの資料の中で証拠が埋もれてしまったようだ。
「やっぱり、川崎明のお姉さんが映ってるみたいね」
私は、馬乗りになっている女性らしき人物を見て、そう言った。
「ここを見て下さい」
遥香が、スマホを見る私の顔の横に、自分の顔を出した。そして、画面を指さす。
「この黒い塊みたいなのって……」
「たぶん、黒猫です」
私の呟きに遥香が答えた。
「じゃあ、これも黒猫が引き寄せた呪いって事」
「たぶん、違うと思います」
私の言葉に、遥香はそう言って否定した。
「これを見て下さい」
遥香は、そう言いながら会議室の机に、大きな紙を広げた。
厳密には、荒木誠司というライターが調べたのだが、私は彼から事件の内容を聞いた。
今考えても不可解な事件である。(第五話~不倫と托卵と制裁~を参照)下記が事件の概要だ。
20XX年の11月23日の20時頃、川崎由香里と、石崎晋也が殺された。彼等は同じ会社に勤める同僚で不倫関係にあったという。そして、彼等は全く別の場所で殺されたが、殺された時間、手口が全く同じだった。石崎晋也が殺された際、悲鳴を聞いた人間が駆けつけた時には、すでに無残な状態だったという。もう一人の被害者、川崎由香里については、目撃者の供述に不審な点があった。また、彼女は殺害当時、妊娠していた。
「この事件がどうしたの」
私は遥香に聞いた。確かに不可解な事が多い事件だった。
黒猫が引き寄せた呪いの一つとして考えれば、確かにこういう事もあるだろう。
「前に荒木さんが取材した資料を見ました」
「不可解な部分が多いのはわかるけど、これをまた調べたの」
遥香が静かに頷いた。
「前に荒木さんが調べた資料では、川崎由香里を重点的に調べていたじゃないですか」
私は、遥香からそう言われて記憶を探っていた。
「確かに、そうかもしれないわね」
「私は、浮気相手だった石崎晋也の方を調べてみたんです」
遥香は、そう言った。
「この動画を見て下さい」
そして、遥香はそう言って自分のスマホを私に手渡した。
そのスマホに映し出されている映像は、一応動画ではあったが、静止しているように見えた。
どうやら、車載カメラのようだった。
「その動画は、石崎晋也が殺された時に、たまたま近くに止まっていた、宅配業者の車の車載カメラです」
私は、その映像を見ていたが、これといった変化はなく、少しして運転手が戻り走り出した。
映像は、そこで終わっていた。
「もう一度、この左上の部分を見て下さい」
遥香がそう言って、また映像を再生した。
そこには、小さくだがスーツの男性が映っているようだった。
そして、白い塊のような物が男性を遮り、男性は路上に倒れたように見えた。
「これって、もしかして」
私は、遥香に視線を移しながら言った。
「はい、石崎晋也が襲われているところです。この部分を拡大したのがこれです」
そう言って、遥香はスマホを一度受け取り操作して、私に渡した。
「これって……」
拡大した事で解像度は低いが、スーツの男性を女性らしき人物が引き倒し、馬乗りになっているように見えた。
「この映像って、どうやって入手したの。警察には届けたの」
私は、スマホから目が離せず凝視したまま言った。
「もちろん、警察には渡しました。この映像は、この事件を調べていたライターさんのところで、埋もれていた資料です」
遥香の話を聞けば、そのライターはこの事件を調べていたが、途中で断念したらしい。
警察も、この宅配業者については調べておらず、たまたま、そのライターの資料の中で証拠が埋もれてしまったようだ。
「やっぱり、川崎明のお姉さんが映ってるみたいね」
私は、馬乗りになっている女性らしき人物を見て、そう言った。
「ここを見て下さい」
遥香が、スマホを見る私の顔の横に、自分の顔を出した。そして、画面を指さす。
「この黒い塊みたいなのって……」
「たぶん、黒猫です」
私の呟きに遥香が答えた。
「じゃあ、これも黒猫が引き寄せた呪いって事」
「たぶん、違うと思います」
私の言葉に、遥香はそう言って否定した。
「これを見て下さい」
遥香は、そう言いながら会議室の机に、大きな紙を広げた。
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