勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

龍央

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第13話 勇者、魔物を解体する

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「……ちょっとここで待ってろ」
「はい?」

 首を傾げるフランを残して、もう一度森の中へ。
 そこらへんに転がってるグリフォンの死骸を、10体程纏めて持ち上げる。

「……少し重いか?」

 ちょっとずっしり感じるが……運べない程じゃないから大丈夫だろう。

「よっと」
「……もう、どう反応して良いのかわかりません」
「えっと……魔物の解体は見た事あるか?」
「大丈夫です」
「そうか」

 フランに一応、聞くだけ聞いておき、目の前でグリフォンを手刀で解体し始める。
 魔物の解体は、苦手な奴は苦手だからな。
 食べられる部位を切り離し、他の部分はグリフォン式焚き火へと投げ込む。
 数分で持って来たグリフォン全部を解体し終わり、食べられる部分の一部を枝に刺して串焼きにする。

「何か調味料を持って来た方が良かったな。ロラント王国を出る時に持って来た調味料は、今朝使い切ったしなぁ……」
「……手刀でグリフォンの解体なんて、どうしたらできるのか……」
「んー……気合?」
「気合で何とかなるものじゃないでしょう!……あぁ」
「大丈夫か? まぁ、これでも食べて元気出せ。腹が減っては……だろ?」 

 俺がグリフォンを解体して、血が飛び散る様子を見て顔から血の気が失せてるフラン。
 大丈夫と言ってたくせに、全然大丈夫じゃないじゃないか。
 枝を串代わりにした、グリフォンの肉焼きをフランに差し出す。

「グリフォンを何体も解体してる様子を見れば、気分も悪くなりますよ……はぁ……モグモゴモゴモグ……あ、美味しい」
「だろ? グリフォンはお腹の部分が美味いんだ」
「普通の人にとっては、恐怖の対象にもなるグリフォンを食べるなんて発想、普通はしませんからね? 味を知らなくても仕方ありませんよ」
「勿体ない事だ」

 まぁ、そもそもグリフォンを食料として気軽に討伐しようと考えないのが、食べられない原因だろうな。
 魔法の使えない人間だと……魔法士を加えないと考えても、20人は集まらないと倒せない相手だ。
 ……普通ならまず、討伐とか考える前に逃げる。
 魔族だったら……フランくらいの魔族なら、2、3匹くらいは倒せるだろう。
 魔法が使えるってのは大きいな、やっぱり。

「ありがとうございました。本当に、どうすれば良いのか困っていたので……」
「助けになれたのなら良かったですよ」
「また困った事があれば、魔王城へお報せ下さい」

 日が完全に暮れた頃、俺とフランはグリフォンの肉で腹を満たしてレロンの町まで戻った。
 そこで町長に報告をして、俺達だけで処理しきれなかったグリフォンの死骸の後始末を任せると、また土下座をしそうな勢いでお礼を言われた。
 まぁ、あの量のグリフォンがいたら困るのも当然だろうからなぁ。

「さて、魔王城へ帰るか」
「は? 何を言っているのですか? もう夜ですよ? 今から帰るとかあり得ません」
「いや、今から魔王城に向かえば……日が変わる前には着けるだろ?」
「この勇者は疲れ知らずですか……帰るにしても、私の馬がありません。今から用意するのも無理でしょう。今日は宿に泊まりますよ」
「宿か……」

 宿に泊まると言って聞かないフラン。
 しかしなぁ……。

「俺、宿に泊まれる金を持って無いんだが……」
「貧乏勇者ですか……困ったものですね。……はぁ、仕方ありません、今回は私が立て替えておきますから、宿に泊まりますよ?」
「……わかった」

 立て替えてくれるのか、ラッキー……この後フランがこの事を忘れてくれたら……。

「ちゃんとアルベーリ様から報酬が出たら、返してくださいね?」

 駄目だった……まぁ、元々踏み倒そうなんて考えてないけどな……そんな事をしてたらルインのようになってしまう。
 グリフォン退治で結構汚れたから、宿に行けば風呂に入れるだろうし、それで良いか……またフランに臭いと言われないよう、気を付けないといけないしな。
 俺はフランに背中を押されるようにしながら、レロンの町にある宿に泊まる事になった。


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