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第16話 勇者、報酬を受け取る
しおりを挟む「成る程な……勇者と言うのはそこまでなのだな」
「アルベーリ様、それだけで済む事じゃないですよ! グリフォンをあんな簡単に倒すんですよ!? それも飛び上がる前に!」
頷くアルベーリに、フランが言い募るが、言いたい事はそこなのか?
グリフォンが飛んだりしたら面倒じゃないか。
ジャンプしなきゃいけないし……。
「わかったわかった。とにかく落ち着け」
「……はぁ……はぁ……はい」
息を切らせる程アルベーリに詰め寄っていたフランは、ようやく落ち着いたようだ。
これでようやく俺も話ができるな。
「忘れてたんだが、報酬はどうなってるんだ?」
「それを聞きもせず、仕事を始めるとはな……契約関係は、しっかり確認しておかなければいけないぞ?」
言われれば確かにそうなのだが、今まで契約なんてして来なかったからなぁ。
ほとんどが、魔物を倒してその報酬を貰うというだけの生活だ。
賞金稼ぎのようなものだな。
「ま、一国の王が出し渋ったりはしないだろ? 報酬は期待してるさ」
「ちっ……そんな事を言われると、安く買い叩けないだろうに」
安く買い叩く気だったのか……もしかして魔王国の財政は豊かではないのか?
「冗談だがな。フラン、用意してやれ」
「はい。……こちらです、カーライルさん」
「既に持ってたのか……いつの間に」
「ここに来る前に手続きをしておきました。ちゃんと宿代は差し引いてありますので」
「ちゃっかりしてるな」
フランから報酬の袋を受け取って中身を確認する。
受け取った時からわかっていたが、ずっしりとした重みを感じる。
袋の中を覗くと、金貨で溢れていた。
「……こんなにもらって良いのか?」
「グリフォンを大量に倒したという事だからな。それでも少ないくらいだろう」
ロラント王国よりも、相場が高いのかもしれないな。
とりあえず、袋から金貨1、2枚程懐に入れておこうと考えて、袋に手を突っ込む。
あまり大金は持ち歩かない主義だからな、不自由しない分の金を持っていれば良い。
「「あ……」」
「ん……何か金貨だけじゃないような……?」
手を突っ込んでいた俺は、袋の中で妙な感触があった気がして中を覗き込む。
その様子を見たアルベーリとフランが、同時に声を出す……って……おいおいこれは……。
「表面だけ金貨で、中身ほとんど銅貨じゃねぇか!」
「ちっ……バレてしまったか。フラン、もう少し誤魔化せるようにしないといけないぞ」
「すみません、アルベーリ様」
「おいおい……。銅貨が詰まってて重いから、表面だけ見てたら騙されてたところだったろうが。どういう事だ?」
ずっしりと銅貨が詰まった袋を持ち、アルベーリに詰め寄る。
報酬の話はしていないが、さすがに安く働く謂れは無いからな。
「ま、待て。本当に冗談だから。よく見てみろ、銅貨に金貨が混じってるはずだ」
「ほんとかぁ?」
俺に詰め寄られて、後退りしながら言うアルベーリの言葉を聞いて、袋の中をもう一度見る。
……何度見ても、表面を金貨で取り繕っていて、下は銅貨が詰まってるだけなんだが。
「金貨なんて銅貨の中に混ざってないぞ? ……ほら」
証拠とばかりに、先程までアルベーリの乗っていた執務机に向かって袋を逆さにする。
じゃらじゃらと金属の擦れ合う音が鳴り響いて、袋の中身が全て出て来る。
「……ほんとだな……確かに金貨が数枚しかない……」
「……そー」
「フラン! 何か知ってるな!」
「っ!……ふっふっふ……ばれちゃあしょうがないですね。そうです、私が金貨を取り除いておいたのですよ!」
こっそりと、部屋から出ようとしたフランを止めたが、何を思ったのか、フランはどこぞの悪事がバレた悪党のように、自分のした事を自白し始めた。
「何故そんな事を……」
「仕方無いの……私には病気の妹がいて……その治療費に……」
「いや、お前に兄弟や姉妹はいないだろ」
「あぁん、アルベーリ様。もう少し浸らせて下さいよー!」
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