468 / 1,955
モニカさんからの注意
しおりを挟む「今言われると……確かにそうだったかもね。怪我も酷いものじゃなかったし、もう少し落ち着いて移動したら良かったかなぁ?」
「そうよ。それに昨日は、ぐったりしたルギネさんを運んで……」
「あれは……意識はあったけど、立つのも大変そうだったし、急がないといけないと思って……」
怪我自体はすぐにどうにかなる程の、深いものじゃなかったんだから、落ち着いて魔法が使える場所へ移動して、そこで治療したら良かったんだと思う。
女性を抱き上げて運ぶなんて、ルギネさんに失礼だったなぁ……多分、モニカさんはそれを言いたいんだと思う。
知り合って間もない男に抱き上げられたら、いい気はしないよね。
「昨日のルギネさんは、怪我をした時よりも大変そうだったけど……もう一人リリーフラワーのメンバがいたんでしょ?」
「アンリさんだね。それが、なんでかわからないけど、俺が運ぶように勧められたんだよ。まぁ、あの時アンリさんはエルサを抱いてて、手が塞がってたからかもしれないけど……」
「そう、エルサちゃんをね……」
「!? 私に振らないでなのだわ! あの胸は反則なのだわ! 全てを包み込む癒しなのだわ!」
俺は見た事ないけど、アンリさんは大きな斧を振り回す膂力の持ち主なんだから、ルギネさんを運ぶのも簡単だっただろうけど、エルサを抱いてる事を理由に、何故か俺に抱き上げて運ぶように勧めてきた。
リリーフラワーのメンバーと、趣味を考えると、男に抱き上げさせるなんてさせない気もしたんだけど、アンリさんは違う考えのようだ。
グリンデさんだったら、俺に指一本触れさせなかっただろうな……と思いながらモニカさんへあの時の事を説明。
すると、名前の出たエルサの方へ顔を向けるモニカさん。
エルサは体をビクッとさせつつ、弁解するように叫んでいる。
何をそんなに怯えているのかはわからないけど、きっと今モニカさんは凄くいい笑顔なんだろうなと、俺からは見えない表情を想像する。
というかエルサ、そんなにアンリさんのお胸様を気に入ったのか……確かに大きくて柔らかそうだったけど……いやいやう、羨ましくなんて……健全な男なら、思うだろうけど……俺は考えてないぞ、うん!
「……まぁ、エルサちゃんはいいとして。――リクさん、駄目よ? 軽々しく女性を抱き上げたりなんてしたら」
「あー、うん。そうだね……相手にも失礼だから、ちゃんとよく考えて行動するよ」
実際、アンリさんに言われてルギネさんを運んだ時は、断れる雰囲気じゃなかったんだけどなぁ。
それに、立ち上がれない程だったルギネさんを、一刻も早く休ませてあげたかったし……。
とはいえ、何故か頭の奥の方で、反論しては駄目だと警鐘をが鳴っている気がしたので、モニカさんには反省してるように言った。
モニカさんは笑顔だったけど、そこはかとなく迫力があったし……背中には嫌な汗が流れてたしね。
「モニカさんやソフィー、フィリーナが怪我をしても、抱き上げたりしないように、ちゃんと考えるよ」
「え、いや……そこは……抱き上げて運んでもいいのよ?」
「え、だって、軽々しく抱き上げたりしたら、女性に対して失礼でしょ? 同じパーティなんだし、そこは特に気を付けないとね」
ルギネさんは、偶然そんな場面に二回も遭遇してしまったけど、いつも一緒にいるのはモニカさん達だ。
同じパーティだから当然なんだけど、冒険者ギルドの依頼をこなしていたら魔物と戦う事も多いし、今までもそうだった。
実際にモニカさんが怪我をした事だってあるし……これからだってないとは限らない。
その時失礼な事をしてしまわないよう、自戒の意味も込めてモニカさんと約束しようとしたら、何故か狼狽えてる様子。
一緒にいる事が多いからこそ、気を付けないとと思ったんだけど……違ったのかな?
視界の隅で、エルサとユノが溜め息を吐いてるのが見えた。
「あのね、リクさん? 私やソフィー、いえ……少なくとも、私が怪我をしたりした時は、抱き上げて運んでもいいからね? ほら、私なら、失礼とかそういう事はないから……ね?」
「そうなの? んー……わかったよ。モニカさんが何かあって動けなくなった時は、頑張るよ、うん」
「えぇ……お願いね。はぁ……」
「「はぁ……」だわ」
狼狽えた様子のまま、自分は抱き上げて運んでもいいと言うモニカさん。
さっきと言ってる事が違うような気がするけど……モニカさんとは知り合ってそれなりの時間が経ってて、お互いの事をわかってる部分が多いからなんだと思う。
一緒のパーティというだけじゃなくて、この世界に来てからずっとお世話になってるしね。
モニカさんの言葉に頷き、もしもの時は抱き上げて運ぶと言う途中で、頭の中で想像してしまい、心臓が急に強く鼓動したため、尻すぼみになりながらも、約束をした。
俺の言葉に頷いた後、モニカさんは溜め息を吐いていたけど……それはなんだか、安心したような感じと、残念な気持ちが混じってる気がした。
テーブルの端では、ユノとエルサも溜め息を吐いていたけど、こっちは呆れてるような雰囲気だったね。
なんとなく、そのまま微妙な雰囲気になってしまい、言葉少なにお茶を飲んでカフェを出る事になった。
……まったりのんびりする時間って、なんだったんだろう?
「あ、お帰り! すまないけど、ちょっと手伝ってくれるかい!?」
「はい、わかりました」
「すぐに手伝うわ」
「私も手伝うの!」
カフェを出た俺達は、特に寄り道もせず獅子亭へ戻る。
獅子亭に入ると、忙しさまった中だったようで、俺達を迎えたマリーさんに、すぐ手伝うように言われた。
奥では、カテリーネさんが忙しそうに動き回っているから、猫の手も借りたい状況といった感じなんだろう。
俺とモニカさん、ユノも頷いて急ぎ足で部屋に戻り、すぐに支度をして店の手伝いを始めた。
店に出た時には、先程よりもさらにお客さんが増えており、入り口に人が並んでいる状況だった。
どうやら、丁度一番忙しいピークなるタイミングだったみたいだね。
モニカさんは、すぐにどんな状況かを把握すると、俺やユノに指示を出して店を手伝い始める。
さすが、俺やユノとは年季が違うね。
忙しく動き回っているうちに、お客さん達の会話が耳に入り、この混雑に至る原因を聞いた。
お酒が入ってるお客さんも多いから、声が大きくなっていて、聞こうとしなくても耳に入って来る。
お客さんの一部は、俺が使う結界を見学に来ていた人達らしく、その人達が他の人も誘って食べに来ている事が原因らしい。
俺やフィリーナが動き回ってる時、モニカさんが集まった人達と話してる時、獅子亭の宣伝もしていたため、久しぶりに食べに来たと言う人が多いみたいだった。
「はぁ……ようやく落ち着いたわね」
「そうですね……」
しばらく後、空席が目立つようになってきたあたりで、マリーさんと一息つく。
料理は既に出されていて、今はお客さんが食べ終わるのを待つくらいだ。
今日はいつもより忙しかったから、マリーさんが珍しく疲れを見せてた。
俺もさすがに少し疲れたなぁ……。
11
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる