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対魔物の会議開始
しおりを挟む「ふむ、進行が遅いのは大型の魔物が多いためか、それとも数のせいか……だが、遅くとも確実にこちらを目指しているという事は、センテを取り囲んだ魔物達同様、最低限の統率は取れているのだろうな」
リネルトさんは早くないと言っているけど、人間の歩く速度と同程度で到着する見込みなら、大量の魔物が進攻する速度としては十分だろう。
人に限らず、数が多ければ多くなるほど移動速度は下がるものだし。
ただ複数種類の魔物が、一つの目標に対して進行する……というのはそれだけで異常事態だ。
何度も経験して、最近は少し慣れた感もあるけど。
それはともかく、魔物同士での争いもなく進行しているのであれば、ルジナウムの時のようになのか、それともワイバーン達のように命令されているのか……。
野生の魔物を集めたか、復元したかにもよるけどとにかく、センテを囲んだ魔物達と同じように仕組まれているのは間違いないだろうね。
「二日……今すぐ民を避難させるよう動いたとして、街を出るかどうかくらいでしょうか」
「既に一度避難させているし、今も西側に集中させているから、ヘルサルに到着するくらいはできるだろう。だが、その後が問題だな。ヘルサルの方がすぐに動けない……ある程度こちらの状況を見て備えはしているのだろうが、今日まで戦闘が収まる方に進んでいたからな」
「こちらから報せを送るにしても、改めて危険な事を周知して人を動かす場合、数日は必要かと」
「だろうな。それにだ、今はリネルトの言った進行速度だったとしても、いつ速まるかもわからない。これ以上遅くなる事は希望に過ぎないから、考えない方が良いだろうが……速まる想定はしておくべきだな」
マルクスさんとシュットラウルさんが、非戦闘員の非難について話し合っている。
今は魔物達側も俺達に見つかっていない予定のため、遅い進行なのかもしれない……と考えた方がいいだろう。
ある程度近付いたら、一気に突撃を始めそうだ。
ルジナウムの時も、街に近付くごとに魔物達の移動速度は上がっていたから。
「とにかく、被害を減らすためにも避難は優先的に行いましょう」
「うむ。――至急、報せを出せ。現在戦闘終了を見越して街に戻り始めている者達にも、改めて避難を促すように。多少の兵なら使っても構わん。それから、東の魔物の討伐も急がせろ。ヘルサルへの伝令も忘れるな」
「はっ!」
「王軍からも、協力するようにさせます」
「助かる、マルクス殿」
俺の言葉に頷いたシュットラウルさんが、部屋にいた兵士さん……多分中隊長とか、ある程度指揮権を持っているだろう人に指示を出す。
マルクスさんも、避難と魔物討伐の協力を申し出ていた。
他にも、ヤンさんもヘルサルへの冒険者ギルドへの報せを手配したりもしていた。
「さて、ではリク殿の話を聞かせてもらおう」
「はい……」
指示などで少しバタバタした後、改めて俺の話。
魔物に対して時間稼ぎではなく、倒してしまおうという作戦に関してだ。
「まずは色々確認させて下さい。シュットラウルさん、以前使っていた魔法鎧は……どれだけ動けますか?」
「ふむ、そうだな……これまでの魔物相手なら、鎧に傷を付けられるかどうかといったところだろう。評価としては……」
「報告は受け取っています。冒険者ギルドでの判断は、Bランク相当の魔物と渡り合える。戦い方次第では単独でAランクの魔物とも同等に、でしょうか」
「私とベリエス殿で評価させてもらいましたが、まだ簡易的な評価なので、断定はできません」
「使用者としては、やはり少々動きが制限される部分があり、改善の余地はあるかと。ですが、鎧は硬く魔法にも強い。火に対してはワイバーンの鎧程ではない、といった部分はありますが……身に付けている者の能力も上げる魔法もかかっています。キマイラと戦って勝てる可能性は高い、と私は評価しています」
「成る程な。――というわけだリク殿。あの魔法鎧を使うのか?」
「使える物はなんでも使おうかと。惜しんでいる場合でもないので……というか、評価をお願い溶かしていたんですね」
「まぁ、魔物にも詳しく、わかりやすく評価をするのも冒険者ギルドだからな」
魔法鎧……以前シュットラウルさんとこの場にいる大隊長さんが、たった二人で魔物に突撃した際身に付けていた物だ。
通常の鎧と違って、複数の魔法が使用されて強化されており、俺が見た感じではかなり強固な物だった。
ベリエスさん達、冒険者ギルド側の評価としてはAランクの魔物と互角に戦えるかどうか……対して実際に着て使った大隊長さんは、キマイラにも勝てるだろうとの評価。
まだ落ち着いて精査できていないため、冒険者ギルド側の評価は暫定的だし、当然身に付ける人によってもかわるんだろうけど、それくらいの鎧なら役に立ってくれるはずだ。
「魔法鎧の数は?」
「試験的に作って、実用には至っていない物だったからな……予備も含めて三つだ。クォンツァイタがなければ、今も使われなかっただろう物で量産はしていない」
「三つ……成る程、わかりました」
思ったより少なかったけど……元々クォンツァイタの蓄積した魔力を、ハウス化した結界以外にも使えるよう、急遽カイツさんとフィリーナがやってくれたおかげの産物だからね、仕方ない。
「あとは……既に相当数を使っていると思うんですけど、弓矢などはどうなっていますか?」
「長い戦いでかなりの数を消費しているな。至急、ヘルサルの方から運ばせる事もできるが……既に、あちらから持って来ていた状況だ。あまり数は期待できまい」
「我々が持ってきている物もありますが……」
「うーん……」
こちらもあまり良くない確認結果のようだ。
弓矢……特に矢は消耗品だから、戦いが長引けば長引く程不足する。
外壁から魔物を近付けないようにも使っていたのだから、当然と言えば当然か。
「ちょっとすみません。エルサ、エルサ。起きて」
「だわぁ……? どうしたのだわぁ?」
シュットラウルさん達に断って、頭にくっ付いたまま寝ていたエルサに声を掛けて起こす。
部屋の中は、ずっと深刻な雰囲気が漂っていて皆真剣なのに、こんな中で暢気にここに来る前に言っていた通りに寝られるエルサに少し感心した。
「ルジナウムの時の事なんだけど……」
「ふむふむだわぁ……」
起きたエルサに、俺の考えを聞いて色々と確認。
エルサからは、可能との返事が返ってきた……半分くらい寝ぼけた感じの受け答えだったから、少し不安が残るけど、多分大丈夫だろう。
「シュットラウルさん、できれば弓矢がいいんですけど。とにかく飛び道具……投げられる物、できれば攻撃力の高い物優先がいいんですけど、とにかく大量に集める事はできますか?」
「飛び道具……? できるにはできるだろうが……しかしそんな物をどうするのだ? いや、魔物に対してというのはわかるが、ヒュドラーの対処法のように、囲んで攻撃を加え、少しずつ弱らせるの方法は今回使えないぞ? 悠長な事をしていたら、数で蹂躙されるだろうからな」
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