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マルクスさん達も合流
しおりを挟む「ま、魔物を殲滅……そんな事ができるのか? ヒュドラーが複数なだけでなく、他にも大型の魔物や強力な生物が大量にいるのだぞ? ルジナウムの事は聞いているが……あれよりもよっぽど絶望的な状況だ。幸いにも、ルジナウムと違うのは戦闘中で一応の備えができている事。王軍からの応援が到着している事くらいだ」
俺の言葉に、驚きを隠せない様子のシュットラウルさん。
先程とは違って、悩むだけの表情じゃなくなったのはいい事、かな? リネルトさんや大隊長さん、他にも部屋にいる人達も、驚愕の表情を見せている。
一部、というかこれまで面識のなかった二人くらいは、何言ってんだこいつ? みたいな表情だけど、気にしない。
自分でも、通常で考えたらあり得ない事をしようとしていると思っているからね。
「理想を言えば、ではありますけど……無理じゃないと考えています。敵はルジナウムの時より数も質も凶悪ですけど、こちらの状況もルジナウムの時とは違います」
「た、確かにそれはそうだが……リク殿は、何か勝算があるのか?」
「ヒ、ヒュドラー三体だけでも、対処を間違えれば小国が壊滅してしまう程と思われるのですが……」
訝し気になるシュットラウルさんに、開いた口が塞がらない状態の大隊長さん。
二人……いや、部屋にいる人達が驚くのも無理はない事を言っていると、自分でも思うけど。
でも、俺が考える限りでは確約はできなくとも、やれると思っている。
ルジナウムの時、俺は一人でやろうとして失敗した……その時の経験もあるし、魔力を限界近くまで使った事での魔力量増大。
センテを取り巻くスピリット達曰く、負の感情の影響による魔力回復もあるから、あの時とはまた違う状況になり得る。
さらに言うなら、ルジナウムでの失敗を経て一人で全てをやろうとしていない俺自身の考えも、違いの一つかもしれない。
あと、ユノだけでなくロジーナもいる……俺は邪険にされたけど、今の状況ならきっと協力してくれると思うから。
理由は隠していてわからないけど、直接話した時にそう感じた……そもそも、ロジーナが魔物側につくなら、兵士さん達と一緒に戦っていないからね。
「詳細はマルクスさんが到着してから、相談しようと思いますけど……王軍の協力も必要不可欠ですから」
俺の考えが実行可能なのかというのもあるし、俺一人で考えた事だけで全てうまく行くわけでもないので、相談はしないといけない。
冒険者だけでなく、王軍や侯爵軍にも協力してもらう必要があるから、その話もして詰めないといけないだろうし。
「う……む……そうだな。私達がここで話しても、王軍の協力や動きも話さねば先に進まないか。マルクス殿が、協力を惜しむような者ではないと思っているが……」
「マルクスさんなら、多分大丈夫だと思います」
こういう時、マルクスさんがさっさと逃げるような人じゃない事は知っている。
というよりだ、クレメン子爵領に一緒に行った経験から、この場にいる人達よりも俺の言葉に驚かないでいてくれるような気もする。
いや、驚きはするんだろうけど、シュットラウルさん達程じゃない……くらいかな?
「失礼いたします。王軍大隊長マルクス、ただいま到着いたしました」
「冒険者ギルドセンテ支部マスタ―、ベリエスです」
「同じくヘルサル支部ギルドマスター、ヤンです」
「うむ」
少しだけ待って、マルクスさんが到着。
一緒に部屋に入ってきた、ベリエスさんやヤンさんと共に名乗る。
「って、ベリエスさんとヤンさん?」
「二人は、私が呼んだのだ。冒険者ギルドの協力も必要不可欠だからな」
マルクスさんだけかと思ったら、ベリエスさんとヤンさんも一緒な事に首を傾げる俺に、シュットラウルさんが教えてくれる。
既に協力してもらっているけど、これからの事を考えると冒険者ギルドとも話す必要があるのも当然か。
「しかしこうなると、リクさんにクランをと言っている統括ギルドマスターの考えも、よくわかります」
「あぁ。リク様には自分で動かせる人材が必要だな。モニカやソフィー達がそうだとも言えるが……いかんせん人数が少なすぎる」
「……マティルデさんから、そんな話が?」
「えぇ。各支部長にはリクさんがクランを持つ事に関する通達と、加入者を募る報せが回っていますので……」
後から到着したマルクスさん、ヤンさん、ベリエスさんの三人に改めて現状の説明をした後、ヤンさんとベリエスさんがクランについて話している。
聞いてみると、マティルデさんは俺がクランを作った際の加入者を、他の冒険者ギルドの支部に連絡して募っていたらしい。
ヘルサルとセンテでは、今魔物との戦いに全面協力しているため少し遅れているみたいだけど、他の支部では多くが応募者多数で選定作業に追われているとかなんとか……。
最近はセンテにかかりきりだったから忘れがちだけど、そういえばそんな話もあったなぁ……と思い出した。
今回の事が片付いて、王都に戻ったら本格的に考えないと。
「お待たせしました。周辺の詳細の地図になります」
「うむ。――リネルト?」
「はい~」
ヤンさんやベリエスさんとクランの話をしている間に、シュットラウルさんの指示で執事さんが地図の用意。
大きな机に広げられた地図を、皆で覗き込みながら、リネルトさんにシュットラウルさんが声を掛ける。
地図はセンテを中心としたものらしく、それぞれ大きな街ではその街を中心にした地図が、庁舎と冒険者ギルドで共有しているらしい。
一般には売られていたり、見られるようにはなっていないみたいだけど。
その地図だけど……縦横三メートルくらいでかなりの大きさになるのに、俺から見たらわりと大雑把な物だった。
まぁ、比べているのが日本にある詳細な地図のせいなんだろうけど。
ただ縮尺はそれなりにちゃんとしてあるもののようだ。
「東門から、現在侯爵軍が展開されているのがここになりますねぇ。そこから、この辺りにずっと戦っている魔物達がいます」
「王軍は、現在南北に別れて……ここと、ここに展開しています。魔物の排除を急がせ、明日には東の侯爵軍と合流できるでしょう。街での活動をしている者達は、すぐにでも東門に集めさせられます」
リネルトさんがまず、現在の侯爵軍の大半と今も戦っている魔物達の布陣を地図に示す。
次に、マルクスさんが王軍の現在地を示した。
「うむ。それでリネルト、迫っている魔物達は……」
「ここになりますねぇ。ここから……大体ここまでが埋め尽くされていましたぁ」
まずは位置関係の確認。
リネルトさんが示したヒュドラーなどのいる新たな魔物達は、街からまだ離れた場所。
それがかなりの広範囲位に広がっているようだ。
「馬で大体一日かかるかどうか……という距離か。魔物達の進行速度は?」
「空から見た限りですけど、あまり速くはありませんでしたぁ。あのままだったら、二日くらいだと思いますよぉ」
リネルトさんの示した新たな魔物達がいる場所は、シュットラウルさんの言う通り馬で一日……人間が徒歩でも二日程度で行けるくらいの場所だった。
結構近いな――。
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