1,395 / 1,955
原因はリクなのかもしれない
しおりを挟む魔物の指揮をしていた……少なくとも、突撃する俺やロジーナに魔物をけしかけるくらいの事はしていたし、自分がいる場所と俺達の間に魔物を固めさせていたのは間違いない。
その事を話すと、マルクスさん達は言葉を失い、信じられないといった風に首を振りながら話すシュットラウルさん。
モニカさんも、あの人が……と驚いている様子だ。
何をしていた人なのかは、まだ話していなかったからね。
「ロジーナの部下、みたいなものですかね? 人間かと聞かれると、断言はできませんけど……見た限りでは人間でした。獣人やエルフみたいな身体的な特徴はありません」
そのレッタさん、隠していたらわからないけど……少なくとも俺の目には人間に見えた。
それに、ロジーナと一緒に俺と初めて会った時も、他の人達に紛れていたし……センテに向かう乗り合い馬車の中には、種族として人間以外にいなかった。
あ、そういえばソフィーもあの時いたんだったっけ。
ロジーナの事も詳しく話していないけど、レッタさんの事ももしかしたら覚えているかもしれないし……事態が事態だったから、俺を問い詰めるような事はしなかったんだろう。
あとで、ソフィーにもちゃんと説明しておかないとね。
もちろん、他の皆にもだけど……。
「とにかく、レッタさんを発見した俺とロジーナはそれから……」
レッタさんの所に到達したあたりから、説明の再開をする。
とは言ってもそんなに多くの事があったわけじゃない。
俺を……というか、センテ周辺に溜め込んでいた負の感情を使って、俺の体を支配させ全てを破壊する存在へとしようと計画していた事くらいか。
ロジーナと一緒にいる俺を見て、レッタさんからロリコンという謂れのない非難を受けたけど、余談過ぎるので言わなかった。
今考えるとそれも、俺の感情とか意識を揺さぶって負の感情に支配されやすくするためだったのかな? と思わなくもないけど。
「……」
俺の意識を負の感情に支配させて、全てを破壊する……と伝えた辺りで部屋にいる全員が押し黙った。
重い沈黙が流れる。
まぁそうだよね、それはつまり俺一人いればセンテどころじゃなく、国そのもの……場合によっては世界も破壊してしまいかねないって事だから。
上手くいくかどうかはさておいて、それができるだけの人物だとレッタさん達は俺を見ているって事でもある。
誰も言葉を発する事ができず、俺を見るだけしかできないのも理解できる……かな?
特級の危険人物だ。
実際に植物があのままだったら、世界を飲み込んでいた可能性もあったっぽいし。
レッタさんのやった事というか、計画そのものは人間としてこちらに来る前のロジーナも、画策していた事ではあるけど。
「……俺一人で本当に全てを破壊できるかはわかりませんが、レッタさんの計画としてはそうだったみたいです」
沈黙に耐え切れず、俯き加減で声を出す。
結局のところ、今回のセンテに対する魔物襲来は俺が原因だったって事だし、巻き込んでしまった皆には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
ただ、俺がたった一人で国や世界を破壊なんていうのは、ロジーナやレッタさんの買い被りだと思う部分もある。
だって、今の俺だと魔力がどれだけあっても赤い光はもとより、緑の光……あの植物をもう一度発現させらないと感じるから。
あれは一人の意思や魔力で出せるものじゃない。
複数の意識や魔力がない交ぜになった、負の感情があったからこそだと思う。
「いや、リク殿一人で破壊できるかという部分に、疑いようはないのだがな?」
「そうですね。ヒュドラーに討伐不可とされているレムレース。それらを倒したリク様です、やろうとすればこの国どころか、世界を相手取る事もできると、私は確信しています」
「え……?」
あれ? シュットラウルさんにマルクスさんも、俺が一人で全てを破壊できるかどうかという部分に、特に疑いを持っていないようだ。
てっきり俺は、俺だけでそんな事ができるわけがない……と考えられるって思っていたのに。
それにレムレースは黒い剣が割れて出てきた、白い剣の魔力吸収のおかげな所が大きいいし。
もしなかったらもっと苦戦していたのは、対ヒュドラー戦でも活躍してくれたから間違いない……討伐できないとは言わないけど
「ヒュドラーを単独で討伐できる者など、リク殿以外に存在せん。そもそもに、リク殿のこれまでの功績……というよりも戦果だな。それを考えれば、一人でという部分を信じられないという事もあるまい」
「私もそう思います。私はリク様が戦うところを見た事は何度か。今回と違って、かなり加減はされていたようですが……それでも十分です」
シュットラウルさんの言葉に頷き、続いてこちらを見るマルクスさん。
マルクスさんとは、クレメン子爵領に行った時一緒に行動していたからだろう……あと、ツヴァイの地下研究所の時もね。
ツヴァイと直接対峙している場面は見ていないだろうし、ヴェンツェルさんとオーガを蹴散らしていた時は傍にいなかったけど……。
「はぁ……リクさん? リクさんがちょっと変わった人間だっていうのは、皆大分前から知っているのよ。一人で国を壊せる程だって、リクさんならやれると考えているわ」
「えぇ……?」
「……言いたい事はわかるが、リク殿をしてちょっと変わったで済ませるモニカ殿は、さすがだな」
「ですね。だからこそ、リク様とモニカ殿は行動を共にしているのかもしれませんが」
溜め息を吐いたモニカさんが、俺に対して言い聞かせるというより少し強めの、注意するといった風に言う。
戸惑う俺に、シュットラウルさんとマルクスさんの話声が耳に入った。
もしかして二人共、俺の事を変わっている以外にも変な事を考えていませんか?
いや、他の人間と同じで普通、なんて自分では言ったり思ったりできないような事をしているし、してきたのは自覚しているけどね。
「というかリクさんって、人間なの? 見た目は確かに人間で……私にとっては……はっ! いえ、なんでもないわ」
疑いの視線を向けるモニカさん。
何故か途中でボソボソと呟きつつ、頬が赤くなっていたようだけど……よくわからない。
それはともかく。
「れっきとした人間だよモニカさん! ほら、どこからどう見ても……」
あんまりな疑いに、自分が人間である事を示すため両腕を広げて人間アピール。
どうやれば人間だと証明できるのか、アピールできるのかはわからないけど、見た目は間違いなく人間だと思うから。
フィリーナ達みたいに耳が尖っていたり、特別美形だったりしないし……考えていてむなしくなるけど。
アマリーラさん達みたいに、獣耳や尻尾が付いていたりしない。
他に人間に近い種族がこの世界にいるかはわからないけど、少なくとも俺自身はここにいる他の人達と、体のつくりに関して大きな差異はないはず。
こちらの世界に来る前も、人間の両親から生まれて人間の姉がいたんだから……。
そうだ、姉さんなら日本の時の記憶もあるし、俺が人間だって証明してくれるかも!?
0
あなたにおすすめの小説
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる
暁刀魚
ファンタジー
社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。
なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。
食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。
そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」
コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。
かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。
もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。
なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。
カクヨム様にも投稿しています。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる