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明確にできない魔法イメージ
しおりを挟む魔法を使おうとすれば、頭の中に広がるノイズ……けど、記憶などは明確に思い浮かべる事はできるし、ノイズなどは一切ない。
これまでは、意識しなくても記憶で思い浮かべる映像と、魔法イメージは特に違いはなかったはずなのに。
なんて言うんだろう、言葉にはしづらいけど同じだと思っていたものが、別のものとして切り離されたというか……。
俺が意識していなかっただけで、もともとそうだったのかもしれないけど。
「どうして、こんな事が……? 意識を飲み込まれたからとか? その時に何かされていた……わけじゃないよね」
原因を考えてみるけど、どうしてこうなっているかの理由がわからない。
一番考えられる原因というか、直近で起こった大きな変化と言えば意識を乗っ取られていた事だ。
けどあれの後遺症というか、取り戻した後には何もない事を確認している……というか、あれはただ体の制御を奪って、俺の意識を封じ込めただけだと感じているから。
意識と頭の中で思い浮かべるイメージ……繋がっているように感じるし、実際一部は繋がっているんだろうけど。
何かしら影響があるのなら、俺が意識を取り戻してからすぐ同じ状況になっていなきゃおかしい。
あの時はノイズや頭痛があっても、ちゃんと魔法は使えたし、その結果が今目の前に広がる凍てついた大地だからね。
多少残った負の意識の欠片みたいなものは、最初は意識しなきゃわからないくらいで今は意識しても感じられないくらいだ。
だったら、逆に影響がなくなっていくのならともかく、時間が経って魔法のイメージができなくなる、というのはおかしいと思うから。
「……あまり、魔法イメージをしようとしない方がいいね、気持ち悪くなるし」
とりあえず、どうしても魔法のイメージができないので、ただ気持ち悪くなるだけっぽいから一旦諦める。
無理にやろうとしても、むしろノイズが大きくなるばかりだったからね。
「うーん……エルサとの契約の関係? いや、でもこれも違うか。そうだったら、エルサから何か言って来るだろうし」
隔離結界でセンテを包んだ時、中にいたエルサとの契約の繋がりは一旦途切れていたらしい。
俺は意識が飲み込まれていたからわからなかったけど、とにかく結界に阻まれていたとか。
まぁ、空間すらズラして時間の流れを内外で変える影響も出ていたから、それくらいはあってしかるべきとすら思う。
でも隔離結界から抜け出した後は、すぐに俺との契約の繋がりは取り戻せたらしいし、魔力とかが流れているのも、俺が意識を取り戻した時点で正常になっている。
そもそも、契約の関係で何かが起こっているのなら、エルサが気付かないのもおかしいし、もしあれば話してくれていたはず。
さっきまで、俺が魔法を使う事に対して話もしていたんだから、エルサは今の俺の状態に気付いていないわけだ。
まぁエルサが全てを把握しているかは微妙なので、絶対じゃないけど。
「うーん……俺一人で考えていてもわからないか。どうするかな……誰かに相談といっても、わかる人なんているわけないし」
結局、俺に起きている事とはいえ考えてもわからないなら仕方ない、と思って皆がいる方に振り向く。
ドラゴンの魔法と言われる、イメージする事で魔法を使うのは俺だけだし、誰かに相談してわかる事じゃないと思うけど、一人で考えるよりはいいかなとも思う。
振り向いた先には、モニカさん達を始めとして皆が俺に注目しつつも、魔法が使われない事に対してか訝し気な表情を全員が浮かべていた。
「なんというか、これだけ注目されて使えませんでしたーって言うのは、恥ずかしい気もするけど。本当に使えないんだから仕方ないか。あれ?」
実際魔法が使えなかったんだから、恥ずかしくてもなんでも正直に言うしかない。
そう思って、皆のいる方へ歩こうとすると、ユノとロジーナの視線に気付いた。
モニカさん達を含め、他の皆は俺を訝し気に見ている……兜を被っている兵士さんの表情は見えないけど、顔はこちらを向いている。
そんな中、ユノとロジーナだけは俺と距離を離そうとすらせず、キョトンとこちらを見ているだけだ。
焚き火の近くで温まってはいるけど、ユノ達は俺の魔法を警戒していなかったって事か? いや、対処できるからとか考えていそうだけど。
「でも……もしエルサにわからない事だったとしても、ユノ達ならわかるかもしれないか」
何せ、創造神と破壊神だ……今は人間だとしても、もしかしたら誰も知らないような事を知っているかもしれない。
どうしてもその見た目、幼い女の子の姿に引きずられてしまい、難しい事はわからなそうなんて考えてしまうけど。
まさか、これも神様としての力が働いているとか……!? 違うか。
「おーい、ユノ、ロジーナー!」
心の中で勝手な事を考えつつ、手を振ってユノとロジーナに呼びかける。
「って、嫌そうな顔をしているなぁロジーナ。仕方ない、こっちから行くか」
ユノが俺の方に来ようとしてロジーナの手を引っ張っているけど、抵抗して動こうとしないロジーナ。
両方、地面が凍っているから踏ん張りもきかず……そのままだったら転びそうだったので、俺から行く事にした。
まぁユノもロジーナも、転んだとしても平気だろうけど。
ついでに、ユノ達のいる焚き火の裏に隠れていた兵士さんに、魔法を使うのは中止だと伝え、皆にも報せるようお願いしておく。
その知らせを受けて、モニカさん達が驚いてこちらを見たので、大丈夫とだけ手を振ってユノ達と話をさせてもらう。
ちょっとだけ、俺が魔法を使わないと周知された瞬間、皆の間でホッとしたような空気が流れたのは気のせいだろうか? うん、気のせいだよね、そういう事にしよう。
「……私達を呼びつけようとするなんて、リクも偉くなったものね」
「ロジーナは、ただ寒い所に行くのが嫌だっただけなの」
「まぁ寒いのは誰だって嫌だから仕方ないか」
こちらを睨みながら言うロジーナに、仕方ない子……とでも言うような表情で話すユノ。
焚き火から離れると、当然ながらまだまだ寒いのでロジーナはそれを嫌がっていたのか。
二、三言葉を交わすくらいならまだしも、話し込む可能性があるならわざわざ焚き火のない氷の上よりも、温かい場所で話した方がいいだろうし。
「それで、なんなのよリク。わざわざ私達を呼んで……一人で氷の上で突っ立っていたけど」
「あれは何をしていたの? 新しい遊びなの?」
「いや、遊びとかじゃなくて……魔法を使おうと思っていたんだけどね」
氷の上で一人なんて、魔法を使う以外で好き好んでそんな事はしないし、遊びではない。
俺としては、別に他にも誰かが一緒にいても良かったんだけど……失敗した時や寒さもあって一人だっただけなんだけどね。
「え、魔法をなの?」
「あなたは何を言っているの?」
「え、いや……何って……」
俺が魔法を使おうとした、というと途端に不思議そうな表情をするユノとロジーナ。
言葉にもしているけど、表情からもこいつ何言ってんだ感が滲み出ている。
なんでそんな表情になるんだろう? 魔法なんて、これまでも使って来ていただろうに……。
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