神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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リネルトさんからのお願い

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「いえいえ、リク様のお役に立てたのなら光栄ですよぉ」

 レッタさん達を残した部屋を離れつつ、リネルトさん話す。
 階下からは、アマリーラさんの騒ぎ声が聞こえている……まだやってたのかぁ。

「リネルトさんのおかげで、スムーズに話が進みました。まぁ、思いもよらない方向の話にもなりましたけど」

 抱き着くユノを撫でて、ふんわりとした目には見えないけどはっきりとわかるくらいに、空間を支配していたリネルトさんの和み時空。
 あれがあったおかげで、必要以上に深刻な雰囲気にならずにすんだ。
 レッタさんの過去とかも含めて、暗い話になりそうだったからね……そういうのが苦手というのもあるけど、おかげでレッタさんも話しやすそうだったから。
 俺が頼んだわけでもなく、リネルトさんが自主的にやってくれていたんだけど。

 まぁ、一部でリネルトさんが怖かったりもした部分はあったけど……それはともかくだ。
 いつも以上に、ほんわかした雰囲気を醸し出していた証拠として、部屋を出た今は先程よりもほんの少しだけキリッとした様子になっているからね。
 獣耳をピクピクさせて、階下から聞こえるアマリーラさんの声を聞いているからかもしれないけど。

「まさか、伝説に語られるドラゴンの詳細を聞く事になるとは思いませんでしたよぉ」
「そこは、俺もそうなんですけどね。でも、聞けて良かったと思います。ドラゴンって、獣人の国でも有名なんですか?」

 帝国とクズ皇帝の話だけに終始すると思っていたのに、ロジーナがドラゴンについてユノを問いただし手判明した真実。
 常識を覆す! とかではなかったけど、エルサの事やドラゴンの詳細を少しは知れたから、良かったと言えば良かったかな。
 エルサがドラゴンというのは、俺と直接かかわった事がある人は当然、ない人でも多少は知っているし、リネルトさんはユノやロジーナに関しても知っているから

「そうですねぇ……精霊様や獣神様に次いで、人気のお話だと思いますぅ。力の象徴とも言われていますねぇ」
「力の象徴……まぁわからなくもないですね。でも、人気のお話って?」

 さっきユノが話した内容と、俺がエルサと契約して経験した事を照らし合わせれば、俺自身の魔力量とは関係なく、通常では考えられない事を成し遂げられるだろう。
 それはつまり、力を持っていると同義であり、象徴にもなるとかそんな感じ、かな。

「子供達に人気なんですよぉ。私も、小さい頃は獣神様が精霊様と共に国を救ったお話、ドラゴンのお話とかを聞いて育ちましたからぁ」
「成る程……」

 つまり、お伽噺みたいなものって事か。
 どういう話かはちょっと興味があるので、いずれ聞いてみたいけど……とにかく、獣人が崇める獣神様に近い扱いと考えて良さそうだ。
 そういえば、獣神様というのは昔精霊様を召喚してって、俺がフレイちゃんとかを召喚した時に、リネルトさんが言っていたっけ。
 フレイちゃん達を召喚できたのは、俺がそういうイメージで魔法を使ったからだけど……もしかすると、その獣神様というのも同じようにドラゴンとの契約者だった、とか考えられないかな?

 あれ、でも待てよ……ドラゴンと契約できるのは人間だけのはず。
 だとするともしかしたら、その獣神様というのも人間……? いや、エルフを作ったアルセイス様のように、神様が複数いる世界のようだし、別の神様という可能性もあり得るか。

「それにしても、アマリーラ様は本当に食い下がりますねぇ」
「え、あ……そうですね」

 階下から聞こえるアマリーラさんの声に、呆れ混じりのリネルトさんの言葉が、考え込んでいた俺の意識を戻した。

「気持ちはわかるんですけどねぇ。リク様の事を知れば、全獣人がアマリーラ様と同じく仕えたいと思うでしょうし。特に、戦いに身を置く私やアマリーラ様のような獣人は」
「いや……さすがにそこまでは……」

 大袈裟に言うリネルトさん。
 全獣人なんてそんな……でも、フレイちゃん達を召喚して獣神様と同じ事ができるわけで、しかも力の象徴とも言われているらしい、ドラゴンと契約もしている。
 あながち大袈裟だとも言えない、のかな?

「はぁ、仕方ありません。このままではアマリーラ様が使い物にならなすぎますし、迷惑をかけてばかりになりますから」

 何やら溜め息を吐くリネルトさん。
 表情を引き締めて、廊下で立ち止まった。

「……リネルトさん?」
「リク様。改めてこのリネルトからのお願いがございます」
「えっと……なんでしょうか?」

 なんとなく、アマリーラさんの事やここまでの話の流れで、何を言い出そうとしているのかわからなくもない。
 けどそれは、何度もアマリーラさんを止めていたリネルトさんが言うとは……。

「私とアマリーラ様を、ぜひリク様の配下の末席に加えていただけないでしょうか?」
「え……?」

 片膝立ちになり、左手を後ろに、右手を胸に当て、頭を垂れたリネルトさん。
 思わず、ポカンと口を開けて間抜けな声を漏らしてしまった。
 いや、予想はしていたけど、予想通りだったけど……リネルトさんがそれを言うとは思っていなかったから。
 こういう事を言うのはいつもアマリーラさんだったし、リネルトさんは止める側だったのに……。

「というか末席って……」
「どんな形でも、リク様にお仕えできる事こそが獣人としての誉」

 いや、そもそも配下なんて持っていないし、持つ気もないんだけど……。
 まぁクランを作ればどんな形であれ、部下のような人を持つ事だってあるかもしれないけども。

「そもそも、アマリーラさんを止めていたのはリネルトさんですよね? それなのになんで……?」
「あれは、アマリーラ様がリク様に迷惑をかけるような形で、お願いしていたからです。アマリーラ様は直情的な性格ゆえ、あぁいった方法しかできないのでしょうが……」
「まぁそれはなんとなくわかりますけど」

 アマリーラさんはどっちかというと、裏表なく真っ直ぐな性格。
 自分の信じた道をただひたすら突き進む系の獣人さん……のように見える。
 すくなくとも、初めて会った時からそういった姿をよく見ていた。

「アマリーラ様と共に、リク様の手足となり、場合によっては耳となり目となり、忠実な配下としてお仕えするとお約束いたします」
「そう言われても……」

 いつも纏っているリネルトさんのふんわりした雰囲気はなく、口調もヒュドラー戦の時に話した時と同じようになっている。
 それだけ、リネルトさんが真剣にという事なんだろうけど……。

「どうして、俺なんかに……いえ、何度もそれらしい事は言われていましたけど」

 アマリーラさんもそうだけど、ドラゴンとの契約とかフレイちゃん達精霊の召喚とか……あと、少しくらいは俺の魔力に起因する活躍とか?
 それらから獣人として仕えるに値する……と言ったような事は何度も言われていた。
 さっきも、大袈裟どうかはともかく全獣人がとか言っていたからね。

「第一に、リク様程のお力を持たれている人は他にいない事。これは私やアマリーラ様、獣人が仕える相手を決めるために一番優先される理由になります」

 顔を上げ、引き締めた表情を俺に向けたリネルトさんが、配下になりたいという理由を話始めた――。


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