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冒険者ギルドでの話を終えて次へ
しおりを挟む「少しでも関係していたり、疑わしい人は逃げ出したりしていたみたいですからね……残って戦ってくれた冒険者さんは協力的だったみたいですし」
その調べで、アンリさん達が帝国出身だと判明したわけだけど。
センテとヘルサルからの冒険者はともかく、他でリストを受け取って見る機会があれば、注意しておこう。
「えーっと、全部で……五十人くらいですか。少し多いかな?」
何人をクランに、とは細かく考えていなかったけど、ヘルサルとセンテだけで五十人前後を連れていくというのは、さすがに多い気がする。
まぁ、クランの目的を考えれば最終的に三桁の人数になるのは覚悟しているけど……管理が大変そうだなぁ。
「あくまで、そのリストにある冒険者達は希望者です。まずはリクさん達に確認してもらおうと。これから意志の最終確認、それから帝国や裏ギルドの話をしますので……最終的にはその半数以上が残ればと言ったところでしょうか。さすがに全員となると、ヘルサルやセンテが手薄になりますので、冒険者ギルドとしては困ってしまいますが……」
「ははは、確かにそれはそうですね」
苦笑するヤンさんにこちらも苦笑。
そりゃそうか、今ヘルサルとセンテにいる冒険者の総数はもっといるとはいえ、五十人くらいが一気に抜けたら、さすがに厳しくなるよね。
魔物討伐の依頼自体は少なくなってきているけど、冒険者に依頼されるのはそれだけじゃないし。
人手が足りない場所へのヘルプみたいな……イメージとしては日雇いのバイトのようなものだけど、そういった依頼もある。
それこそセンテ周辺では、街道整備に関する仕事が盛りだくさんで、冒険者もそこに駆り出されるだろうと簡単に予想できるから。
街道整備そのものだけでなく、作業をする人に近付く魔物に対する牽制というか、護衛とかね。
「モニカさんも確認してオッケーが出ているみたいですし、この人達に関しては意思確認ができれば、クランに所属してもらいましょう。まぁヤンさんも言っている通り全員は多すぎますし、そうはならないでしょうけど……」
半数……多く見ても三十人程度なら多分問題ないはずだ。
有力な冒険者さん達でもあるから、余裕もありそうだし。
王都に戻った時、早くクラン用の拠点というか建物などを準備して始めないといけないけどね……また忙しくなりそうだ。
これまでも忙しかった気もするから、今更だけど。
「わかりました。それでは、迅速に希望者への最終的な意思確認を致します」
意思確認は、帝国と戦争になった場合に参加するかどうか、という意味でもある。
対帝国、というか帝国で根付いてしまった裏ギルドを冒険者ギルドの名誉などのために、対抗する手段としてクランを作るのが一番の目的だからな。
魔物とも戦うし、それだけなら冒険者としては特に悩む人はほぼいないと思うけど、対人になるのは間違いなく、しかもその相手が帝国の軍だけでなく裏ギルドで、自分たちと同じ冒険者になるわけで。
それでしり込みをしてしまって、拒否をする人だって出るだろうし、そういった人を俺は責められない。
誰だって、同じ人間とは戦いたくないものだからね。
ある程度の覚悟が必要な事だろう。
「それと、もう一つ確認ですが、意志が固まった者から順に王都へ向かわせてもよろしでしょうか? もちろん、まだ正式にクランができているわけではありませんので、しばらくは王都で冒険者として活動する事になるとは思います」
「そうですね……こちらもまだ準備が全て整っている、というわけではないので。王都に戻ったら中央ギルドのマティルデさんとも相談して、迅速に準備しようとは考えています。とりあえず、間に合わなければしばらくは王都に拠点を移しただけで、これまでと変わらず活動してもらえればいいですね」
「まぁ、エルサ様がいるリクさんと違って、王都までの移動日数もありますから……余裕はあるでしょう」
ゆっくり移動するとして一週間……いや、長距離移動の準備もあるし、拠点としての街を移動するいわば引っ越しに近いから、二週間以上ってところかな。
俺は半日程度で王都へ戻れるから、それだけの準備期間があると考えれば結構余裕はありそうだ。
まぁ、クランの建物に関してはそんなにすぐ用意できそうにないけど……簡素な物ならともかく、ちゃんとした物って一か月、いや数か月くらいは最低限かかるよね、建てるのに。
建設とかよくわからないうえに、この世界でどう作られるのか知らないから、どれだけかかるのかわからないけど。
「それでは他に……」
ある程度の話をヤンさんとして、モニカさんと確認しつつ、一応アマリーラさんやリネルトさんの意見も聞いて、話しを終わる。
アマリーラさん達はほとんど俺の意見に賛同する、という感じだったけど……反対意見とかがあれば、言って欲しいんだけどなぁ。
それはまぁそのうちってところかな。
最後にエレノールさんの事もあるので、明日もう一度顔を見せる事を約束して、冒険者ギルドを出た。
「さて次は……」
「リクさんと個人的に話もしていたし、クラウスさんの所かしら?」
「そうだね。ヘルサルを離れるとなったら何か言われそうだけど……お世話になっているし、色々お願いしちゃったから、挨拶はしとかないとね」
「ですが、リク様からといえばセンテとヘルサル、街に関わる事ばかりだったのではないですか? それは、センテの代官や侯爵様が話せばいいのでは……」
「いやまぁ、そうなのかもしれないけど、一応直接話しておきたいんですよ。確かにお願いそのものは俺の事ではなく街に関する事、復興のための話でしたけど……それでも」
冒険者ギルドから、クラウスさんがいるだろう庁舎の方へ足を向けて歩き出すと、不思議そうにアマリーラさんが首を傾げた。
クラウスさんとの話は、大体センテへの物資輸送だったり、王軍の受け入れに関してだったりで、お願いと言っても個人的な事ではない。
それでも、俺からお願いしたわけで……なんというか、ちゃんと話して挨拶くらいはしておかないとなと思っている。
というか単純に、知り合いだからってのが理由だけどね。
全ての顔見知りに挨拶を、なんてつもりはないけどある程度親しくさせてもらっている人には、ちゃんと王都に戻る挨拶をしておかないとと思うんだ。
黙って行っちゃったら、失礼になるかはわからないけど……クラウスさんとかは大変な事になりそうだし。
特に秘書のトニさんがね……。
「とはいえ、忙しい人だから会えない事も考えられるし、一応様子を見てもし駄目なら明日にしようかな」
「そうね。どうせまた明日冒険者ギルドに行くなら、明日来るからと言うだけでいいでしょうね」
要は急に合うのが難しいならアポイントを取って、という事だ。
クラウスさんの事だから、俺が来たとわかるとどうやってでも会おうとしそうではあるけど……そこはやんわりとね。
そんな事を話しつつ、途中で会う顔見知りのヘルサルの人達とも挨拶を交わしながら、庁舎へと向かった――。
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