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モニカさん達はアマリーラさん達の説得に
しおりを挟むエアラハールさんが二人に触れないどころか、逆に脅しまで受けたその後、ちゃっかり仲良くとは言わないまでも、それなりに話をしたらしいエアラハールさんとアマリーラさん達。
その時、実力がAランク相当だとかそう言うのを聞いていたんだろう。
ちなみに、そのアマリーラさんとリネルトさんは昨日に引き続き、カイツさんの所で魔力を調べるのに協力してもらっている。
……研究熱心なのはいい事かもしれないけど、カイツさんの姿を昨日のあれ以来見ていないどころか、まだアルネとも戻って来てから一度も会っていない。
まぁ、王城には多くの人がいるから無理をし過ぎる前に止めてくれる人だっているだろうし、大丈夫だとは思うけど。
「まぁ最初の試練みたいなものじゃの。ワシは元々三人に訓練を付けていたのもあって、熱意に負けて引き受けたが……あの二人はそうではあるまい。リクからなら話は別なようじゃが……今回はリクからの口添えなく説得するのも条件とするかの」
「……リクさんなしで、アマリーラさん達を説得ですか」
「リネルトの方は、話が通じそうだが……アマリーラ方はどうだろう」
「お二人共リク様の傍を絶対に離れない、という強い意志をお持ちですからね。特にアマリーラさんがですが。今は、そのリク様のお願いもあってカイツさんに協力はしているようですけど」
「話せばわかってくれる……と思うような思わないような?」
モニカさん達が難しい表情になるのを見て、苦笑しながらフォローにならない言葉を口に出す。
初対面の時の印象だと、アマリーラさんの方が堅い感じだけど冷静に話せばわかってくれる人で、リネルトさんはぼんやりしている感じに見えた、んだけど……今では全く違う印象だ。
激情家っぽい部分が前面に出てしまって、話が通じない人になりかけているアマリーラさん……エアラハールさんがちょっかいを出した時、脅し文句が「リク様以外が私達に触れようなど……首と体を斬り離されたいのか?」だったからなぁ。
俺だったらいいんだ、と思うよりもまず俺にも許可を出さないで下さいと言いたいけどそれはともかく。
条件と言ったエアラハールさんとしては、アマリーラさん達を説得できるかも試したいってところみたいだ。
モニカさん達の熱意はエアラハールさんには伝わっているけど、それが他の人にも通用するのか。
どう通用させて説得させるのか、とかかな。
「アマリーラよりも、リネルトに話を通した方が良さそうだな」
「最初と違って、今はリネルトさんの方が主導権を握っているようにも見えますから……」
「……んー、いえ。むしろアマリーラさんと話した方が、説得できるかもしれないわ」
顔を突き合わせて相談する三人から漏れ聞こえる声。
それによると、モニカさんに何やら説得するための考えがあるみたいだ。
確かに、最近のアマリーラさん達を見ているとリネルトさんの方が主導権を握っていて、決定権があるように見えるけど……元はアマリーラさんの部下みたいな位置だったからね。
モニカさんの言う通り、アマリーラさんと話した方がいいという部分は否定できない。
どういう話をするかにもよるとは思う。
リネルトさんの方が、冷静に話ができるのは間違いないけど。
「ほれ、その二人が来たぞい。どうするのかは任せるが、説得して訓練にかかるなら早めの方がいいじゃろう?」
そう言うエアラハールさんが示す方、訓練場の出入り口へと視線を向けると、アマリーラさんが満面の笑みで手を振りながらこちらへと駆けて来るのが見えた。
すっごい楽しそうだけど、何か嬉しい事でもあったのかな?
「リク様ー!」
「アマリーラさん、リク様の所に戻るのが嬉しいからって……そんなに尻尾も振って。気持ちはわからなくもないですけどぉ」
……どうやら、俺の所へ駆けて来るというだけであれだけ嬉しそうにしているみたいだ。
後ろから追いかけて同じく訓練場に入って来たリネルトさんが言う通り、アマリーラさんの尻尾ははちきれんばかりに振られている。
なんというか、猫っぽい尻尾と耳なのに忠犬のように見えるから不思議だ。
ともかく、このままじゃ俺に突っ込んできそうな勢いだし、モニカさん達が話さなくちゃいけないから……。
「ストップ! 待てですアマリーラさん!」
「はっ!!」
おぉすごい、つい忠犬という考えから待てと言う言葉が口を衝いて出たけど、ズザザザ……という音を立て、訓練場の床に敷き詰められている土を少し抉りながら、直立不動のままで急ブレーキして止まった。
尻尾は相変わらずブンブン振られているけど、ピタッと止まった様子を見るに、こんな事で驚くのはどうかと思うけど、Aランク相当というのは伊達じゃないみたいだ。
他の人がやったらそのまま前のめりに転びそうだし……ほんと、こんな事で驚いたり感心したりするのはどうかなとは思うんだけどね。
「アマリーラさん、それからリネルトさんも。モニカさんやソフィー、フィネさんから話があるようですから、まずはそちらを聞いてくれますか?」
「はっ、リク様のお言いつけとあらば!」
「モニカさん達からですかぁ? なんでしょう……ひとまずわかりましたぁ」
近くで静止し、直立不動のままのアマリーラさんと、それを追ってきたリネルトさんにそう言うと少し不満そうな雰囲気を醸し出しつつも、二人共了承してくれた。
アマリーラさんはともかく、リネルトさんなら気にせず頷いてくれると思ったんだけど……なんとなく少しだけ気分が下がったように見えるし。
雰囲気以外にも尻尾は特に顕著で、二人共さっきまで左右に振っていたのが今は ぶらんと垂れ下がっているのが気分をそのまま反映したかのようだ。
わかりやすいなぁ。
「そら、三人とも行くのじゃよ。リクがおぜん立てしたんじゃから、ちゃんと説得してみせい」
「わ、わかりました……ソフィー、フィネさん。さっき話したように……」
「あぁ」
「はい」
こめかみからツツゥーっと汗を流しつつ、エアラハールさんがモニカさん達を促す。
エアラハールさんは初めてアマリーラさんの勢いある行動というか、小柄な体に見合わない動きを見たから圧倒されているのかもしれない……。
ともかく、顔を見合わせた三人はモニカさんの言葉で深く頷いてアマリーラさん達の所へ……あ、ここでは話すわけじゃないんだ。
訓練場の隅へとアマリーラさん達を連れて行った。
アマリーラさん、俺の方をチラチラ見ながら不満気な表情をしないで下さい。
「さて、何をどう話しているのか聞き耳を立てたいところじゃが……リク。お主はモニカ達とは別にワシにはなしがありそうじゃの?」
「……わかりますか?」
モニカさん達を見送って、くるりと俺へと体を向けたエアラハールさんは片目を閉じて俺を見ながらそう言った。
見抜かれていたかな。
「モニカ達の話には参加せず、じゃが何か言いたそうな雰囲気を漂わせてワシを見たりモニカを見たり……ここにいる事もそうじゃが、わかりやすすぎるわい」
「そ、そうですか……ははは」
まぁ隠していたつもりなんてないから、見抜かれていてもいいんだけど……なんとなくわかりやすいと言われて少しだけ悔しい。
ともあれ、エアラハールさんが聞く体制になってくれるのなら、とりあえず話すだけ話してみよう――。
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