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実戦訓練を終えて王城へ
しおりを挟む――とりあえず三つの魔物の集団を殲滅し、モニカさん達と合流した後は再び別の魔物を探してエルサで移動。
いくつかの魔物の集団を殲滅させた……さすがに、確認されているうちの半分も減らせていないけど、村などに近くそちらに移動する可能性がある集団は減らせたはず。
魔物の集団はやっぱりどれも単一の種族ばかりで、レッタさんが話していたように別種の魔物を協力させるなり、争わせないという事まではできていないようだ。
集団になっている魔物に関しては、バリエーション豊かでアルケニーはいなかったけど、アラクネの方がいたりもした。
ただ強い魔物というのはそう多くなく、いってもBランクくらいの魔物で、それもアルケニーやアラクネのように特殊なのばかりで、場所柄種族的な強みを出せない事が多かった。
むしろ、場合によってはCランクの魔物の方が厄介そうだったり、数が多かったりで放っておいたらそちらの方が脅威になっただろうね。
ちなみに、モニカさん達は基本的に三人一組で魔物討伐をしていたんだけど、さすがに数が多く三人で対処しづらい場合は、アマリーラさん、リネルトさん、エアラハールさんのうち一人から三人共が協力して戦っていた。
これも、少数ながら数の増減がありつつの複数での戦いを実戦で訓練する意味合いがあったようだ。
相変わらず、俺の時はユノとロジーナが見ていたけど……本当に見ていただけで、戦うのは俺一人というちょっとした孤独感があったけども……皆で魔物討伐ができるモニカさん達が、少し羨ましい。
まぁユノやロジーナは俺のすぐ近くにいたから、そちらにも魔物の意識が行って、俺一人に攻撃が集中しなかったのは少しありがたかったし、チーム戦と言えなくもないかもしれないけど。
ただロジーナから、俺の体を覆っている魔力を霧散させる事は禁止された。
今はまだ、魔力を意識して体内での動きなどを感じる程度で良かったらしい……そうならそうと最初から言って欲しかった。
でもユノからは魔力を霧散させる事そのものは、これから必要になるだろうと言われたので、ゴブリン相手に色々試したのは無駄じゃなかったとは思う。
見た目上の話だけど、小さな女の子に怒られて、別の小さな女の子にフォローされるのは大分情けない気もしたけどね。
本当に見た目だけの話だから、多分大丈夫だ……何が大丈夫かわからないけど。
そんなこんなで、十を超えるくらいの魔物の集団を殲滅した後、日が沈む前に王城へと帰還。
小さくなったエルサを頭にくっつけて、少しだけ空を眺めながら広い運動場のような場所で佇む。
「はぁ~、やっぱりここが一番安心するのだわ。魔力が染み渡るのだわ~」
「そんな、人をお風呂か何かみたいに……」
俺の頭にへっばりついているエルサは、ずっと空を飛んでくれていたためか、消費した魔力を補給中のようだ。
魔物と戦っていた時のように、自分の魔力へ意識を向けてみると、頭部分の魔力がさらに上へと流れ行っているのがわかる。
こうやって、俺の体を覆っていた滲み出た魔力をエルサが吸い取っていたんだなぁ。
ふむ……。
「ふわっ!? ビリっと来たのだわ! 変な事をしないでなのだわ!」
「変な事って……ごめんごめん」
どうなるんだろう? とふと思ったので、ゴブリンと戦う時に試していたように魔力を少し霧散させてみると、浸るような声を出していたエルサが驚いていた。
俺のはビリっと来るような魔力なのか……まぁ、エルサに流れる魔力が増えたりとかそんな感じで、過剰に流れ過ぎたとかだろうね、うん。
「お、戻ってきた戻ってきた」
そんな事をしていると、空から人を乗せたワイバーンが複数降りて来る。
センテから連れて来たワイバーンのうち、半分くらいは俺が今いる運動場のような場所の端に作られた、横に家が数件並んでいるくらいの大きさの厩舎みたいな場所で休んでいる。
けど他のワイバーンは俺達と同じく兵士さん達を乗せて、王都周辺にいる魔物の集団を討伐に行っていたんだよね。
リーバーもその中にいるし、様子見のために俺一人……じゃない、魔力補給中のエルサと一緒に残っていたってわけだ。
ちなみにモニカさん達は、魔物と戦った汚れなどを落とすために大浴場へ行った。
ユノやロジーナは何やら相談しておく事があるらしく、王城の部屋に……行こうとしたらモニカさんにまずは体を綺麗にしないと、という事で戦っていないからあまり汚れていないというユノの主張は聞き入れられずに連れて行かれた。
意外と、文句を言いそうなロジーナはお風呂を気に入っているのか、なんとなく機嫌が良さそうな鼻歌が出てもおかしくない様子だった。
後レッタさんはもちろん、ロジーナについて行っている……あの人もぶれないなぁ。
まぁお風呂からあがったら、ユノとロジーナは相談をするんだろう、何を相談するのかは知らないけど、多分俺の訓練に関してだと思う。
それからアマリーラさにんやリネルトさんは、残りそうかなと 思ったんだけど耳や尻尾が汚れているのが気になったらしく、おとなしく大浴場へ行った。
綺麗好き、と言う程ではないかもしれないけどやっぱり耳や尻尾が汚れているのは、気になるらしいし俺も自分が触れるとかは関係なくモフモフを損なって欲しくないから、そこは手を振って送り出したね。
少しでもモフモフが損なわれたら、世界の損失だから。
「ガァ、ガァゥ!」
「お疲れ様、リーバー」
俺が考えているうちに、リーバーやワイバーン達が空から降りてきて無事着陸。
すぐ近くに降りたリーバーを労うように体を撫でる。
飛行機と違って、基本的に着陸に失敗しないのはワイバーンの利点だよなぁ、エルサもだけど。
「お疲れ様です、リク様。お先にお戻りだったようで」
「はい、そちらもお疲れ様です。エルサの方が空の移動は早いですし、こちらは移動距離自体も少なかったですからね」
リーバーの背中から降りて来たのは、王軍の兵士さん……センテやヘルサルから王都へ戻る際に、同行した兵士さんの一人だ。
他にも、ワイバーンに乗っていた人は半分が王都へ戻る時、もしくはセンテで乗った事のある人達で、もう半分は王都に残っていた兵士さんだね。
ワイバーンに慣れてもらう意味合いもあるけど、交代で王都周辺の魔物を討伐するためでもある。
「王都に戻る前にも経験していますけど、どうでしたか、ワイバーンに乗っての戦闘は? 一応、怪我をしている人はほとんどいないようですけど」
「いやぁ、本当に空から戦いを仕掛けるのは楽ができますね。直接魔物と戦った際に、怪我を負った者はいますが重傷者はいません。魔物の集団、それも複数の集団と一日に何度も戦えば死傷者が出てもおかしくはないのですがね。軽症者だけというのは信じられないという思いもあります。戦いの根底が覆された気分ですよ」
多少大袈裟に言っているような気がするけど、とにかくワイバーンに乗って空から強襲する戦い方は、これまでのようにある程度の被害を覚悟した戦いとは、一線を画すようだ――。
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