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爆発の影響は町にも
しおりを挟む「以前よりも、城下町が静かなような……人が少ない気がしますね?」
王城を出て、町へと繰り出すとなんとなく以前よりもにぎわいが減っている気がした。
「それはそうよ。外は危険だものね」
「例の爆発騒ぎのせいですか……」
アメリさんもこもっていたように、多くの人が爆発を警戒して外に出ないようにしているようだ。
もしかするよ、外は危険だからできる限りでないようになんてお触れとかも出ているかもしれない。
まぁ、実際に爆発が起こったら、冒険者ギルドの大きく頑丈な建物すら破壊してしまう程なので、家の中にいても危険っちゃ危険なんだけどね。
ただ怪しい人物……つまり破壊工作を目的とした爆弾にされてしまった人を、目立たせるという意味では人が少ない方がいいのかもしれない。
それに、危険だとは言ってもそこは王都で、国の中心地。
完全に人が外に出なくなれば何も回らなくなるので、ある程度の人通りはある。
……記憶にある限りでは、以前の半分にも満たない人の数のようだけど。
「……実際、どこくらいの威力なのか、少しだけ見ておいた方がいいのかもしれません。ちょっとだけ、寄り道してもいいですか?」
「寄り道というか、そもそも私はどこに向かっているのかも知らないんだけど」
「そう言えばそうでした。本当は、アメリさんも知っているあのララさんのお店に行こうとしていたんですよ」
「あぁ、あそこね! リク君が王都を離れてから、何度か通わせてもらったわ。ララさんが面白くて、よく話し相手になってもらっていたのよ」
「そ、そうなんですか……」
「それも今は、控えているんだけどね。外に出られなかったから」
ララさんは独特な人だから、人によって好みは別れるかもしれないけど……アメリさんにはいい話し相手だったようだ。
向こうも話好きな雰囲気はあったから、お互い楽しんでいたんだろうと思う。
ただまぁ、ララさんもお店をやっているわけで、その邪魔になっていなかったのかな? というのは少しだけ気になった。
以前行った時は、お客さんは俺達の他にいなかったけど、全くいないわけじゃないだろうし。
「とにかく、ちょっとだけ……ってまぁ、少し離れていますけど。アマリーラさん、リネルトさん、荷物を持ったままでも大丈夫ですか? なんなら、さきにララさんのお店に行ってからにしますけど」
あくまで俺の興味、というわけではないけど、建物を破壊するほど爆発がどうなのかを見ておきたい。
見てどうするかってのは何もないんだけど、町に出たんだからついでみたいなものだ。
ただ、俺はともかくアマリーラさんとリネルトさんは大きな荷物を持っているし、先にララさんのお店に行った方が荷物が少なくなるだろうし。
……ララさんに断られて、減らないという可能性もあるけども。
「問題ありません。荷物の重さとしては大して感じませんので。リク様の思うようになさって下さい」
「私も同じくですよぉ。重さよりも大きさで少し邪魔になるかもしれませんが、人通りも少ないですし、動きづらい程ではありませんからぁ」
「ありがとうございます。それなら……そうですね、確か破壊された建物は中央冒険者ギルドと、もう一つのギルド支部でしたね。大体の場所はわかりますけど、何度も行ってよく知っている中央冒険者ギルドの方へ行きましょう」
「「畏まりました」」
場所としては、もう一つの冒険者ギルド支部の建物の方がララさんのお店に近かったはずだけど、道順なども知っているし、馴染みのある中央冒険者ギルドの方を選ぶ。
結果的には、何度も行った事のある場所の方が、時間がかからない可能性が高いからね。
なんとなくの場所は知っていても、行った事のないもう一つだと道に迷う程じゃなくても、遠回りな道を選ぶ可能性もある。
アマリーラさん達に城下町での土地勘はないようだし、アメリさんは冒険者ギルドとは無縁なので、細かい道などはわからないだろうから。
ちなみに、アマリーラさん達はずっとキョロキョロしていたり尻尾が落ち着かない様子で、この国の王都は初めてらしい。
おのぼりさんに近い状態になっている、のかな?
まぁ俺も、初めてこの王都に来た時は尻尾はともかく、近い感じだったから気持ちはよくわかる。
……俺の場合は、大きな建物や賑わいに対してではなく、日本やヘルサルにはない初めて見るような建物が多かったからってのもあるけどね。
「んー、危険じゃないかしら? だって、建物が破壊される程の爆発があった場所でしょう? まぁリク君ならどんな危険でも大丈夫だとは思うけど……そんな爆発が起こったって事は、また起きてもおかしくないし、仕掛けた人がまだ近くにいるかも」
「仕掛けた人は……多分近くにはもういないと思います。絶対に危険じゃないとは言い切ませんけど、もう爆発は起きないと思うので。もし何かあっても俺やアマリーラさん達が付いていますから」
「そう? ならわかったわ」
アメリさんを危険な場所に、というのは少し躊躇する理由になるかもしれないけど、危険はほぼないだろうと見ているので、このまま行く事にする。
建物や人的被害を出す事を目的とした爆発ならば、一度建物を破壊した場所では、もう破壊工作を仕掛けたりはしないだろうからね。
まぁ何かあれば、頭にくっついているエルサに結界を張ってもらえばなんとかなるはずだ。
日向ぼっこみたいな感覚なのか、俺からの魔力と温かい日差しでいつも以上に、べったり俺の頭に引っ付いて時折気持ち良さそうな息が漏れているエルサだけど、もしもの時にはやってくれるだろうし。
「……リク様。先程の話し方からおそらく、アメリ殿は詳細を知らないのではないでしょうか?」
歩く方向を変え、荷物を抱えて中央冒険者ギルドへと向かう途中、俺以外に聞こえない声でアマリーラさんが囁く。
アメリさんは、リネルトさんの耳や尻尾に興味が移ったようで、後ろを歩き、俺やアマリーラさんの方には意識を向けていないっぽい。
「多分、そうだと思います。まぁ、おおっぴらに人が爆発した、なんて発表できないでしょうからね。爆発が起こって、建物が破壊されたというのはさすがに隠し切れませんけど、その爆発の原因とかは明らかにされていないんだと思います」
人が爆発するように仕向けられた、なんてそのまま発表したら大きな騒ぎになりかねないからね。
下手をすると、混乱を招いて帝国の思うつぼかもしれないし。
情報統制というほど大袈裟な事かはわからないけど、アメリさんを始めとした一般の人達には詳しく公開されていないのと思われる。
アマリーラさんが気になった、先程のアメリさんの話し方からすると多分、単独もしくは複数人が争ったか何かで、大爆発するような魔法を使った。
それか、冒険者ギルドに対して恨みががある人が仕掛けたとか、そんな風に思っている印象だった。
だからこそ、仕掛けた人がまだ近くに……と言ったんだろう。
本当は、その仕掛けた張本人そのものが爆発して、もういないんだけど……。
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