わたしの家の“変わったルール”

ロアケーキ

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お皿を割った罰 (後編)

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「今日からお姉ちゃんの罪は、あんたにお仕置きすることにしたわ。」

父がいなくなった日。母はわたしに宣言した。
わたしはいきなりのことで頭が回らず、母が言った言葉の意味が理解出来なかった。

「ちなみに、あんたの罪は、あんたに2倍お仕置きするから。」

わたしがオドオドしているうちに、話はどんどん進められる。
隣で聞いていたお姉ちゃんも、わたしと同じ様子だった。

「もちろん、今まで以上に厳しくて、恥ずかしいお仕置きにするから、覚悟しなさい。」



あの日からわたしへのお仕置きは、毎日のように続いた。

“お姉ちゃん”がおねしょした・“お姉ちゃん”がテストで悪い点を取った・“お姉ちゃん”が学校に遅刻した・“お姉ちゃん”が…お姉ちゃん”が……etc…

思い返せば、わたしが原因で怒られたことは、数えるくらいしかなかった。
『なんでっ!?』・『どうしてっ!?』
そんな思いは何度もあったが、母にぶつけるたび、帰ってくるのは平手打ちだけだった。

いつからか、わたしは考えるのをやめ、素直に罰を受けるようになった。
“こうゆうものだ”そう思うようになってからは、追加罰の回数も減ったと思う。

ただ、お姉ちゃんはあの日以来、さらにわがままになり、根本的な罰が増えている気がするが…。



バヂンッ!

「ほら、早く起きなさいっ!」

頰に痛みを覚え、目を開けた。 
なんだか頭がボーッとして、思考がまとまらない。

「お仕置き中に居眠りなんていい度胸ね。そんなに気持ちよかった?」

『おしおき…?…そうだ、わたしはお仕置きを受けていたのだった。』

母の言葉でようやく頭が回ってきて、状況を少しずつ把握していく。

「…まい?お尻…大丈夫?」

「おしり?」

お姉ちゃんが心配そうにわたしを見つめる。
その一言で、わたしの意識はお尻にいく。
“ズキズキ”・“ジグジグ”・“じんじん”

「…い、い、いっだぁぁぁいっ!」

お尻全体から訴えられる痛みが、一気にわたしに押し寄せた。
とっさにお尻を抑えるが、その抑えた手さえも痛みを与える凶器となる。

「うるさいわね。お仕置きが足りないのかしら?」

「もう嫌だぁぁ!わだしわるぐないのにぃぃ!!」

もう何も考えることが出来ず、思ったことをそのまま口に出してしまう。
半端パニックとなったわたしは母を睨みつけていた。

「…そう。じゃあ出ていくのね?」

「…え?」

『出ていく?この家を?』

「この家のルールに従えないんなら、もういる必要はないでしょう?」

…正直、何度か考えたことはあった。
“この家を出ていって自由に暮らす”
だが、実際に家を出たところで、お金はないし、頼れる親戚もいない。
そんな思いがあり、わたしはこの考えを捨てていた。

「まあ、出ていったら学校の友達に会えなくなるわ。」

「…。」

「それに一度出ていったら“二度と”家には入れないわよ?」

「……。」

「きっとご飯も食べられず、お腹を空かせたまま死ぬのがオチよ?」

「………。」

母の言葉がわたしを追い詰める。
『死にたくない』
そんな思いが頭を埋め尽くした。

「さあどうするの?続きのお仕置きを受ける?…それとも出ていく?」

「………お、お仕置きを受けます。」

わたしは散々迷って“お仕置き”を選択した。
母の顔に笑みが浮かぶ。
気のせいか、お姉ちゃんもホッとした様子に思えた。

「じゃあ次のお仕置きをするわ。テーブルの上でオムツ替えの姿勢になりなさい。」

「……はい。」

わたしは言われた通りの姿勢になる。
この姿勢で受けるお仕置きは1つしかない。
もはや、“恥ずかしい”なんて言ってられなくなるほどの“お仕置き”である。

「今からこの性器にお仕置きよ。平手で百叩きだからね。」

予想通りのお仕置き内容に、わたしは内心ため息をついた。
母はわたしの大事なところに指を当て、離す。
どうやら、指の濡れ具合を確認してるようだ。

「今日は濡れてないのね。この前みたいに追加罰を与えようと思ったのに。」

「ひいっ…」

あまり厳しくないお仕置きの際に、わたしは“感じて”しまったことがある。
それを理由にされた追加罰は、今でもわたしのトラウマとなっている。
それ以来、わたしはお仕置きで感じることは、ほとんど無くなった。

「じゃあ始めるわよ。覚悟はいい?」

「…はい。」

ビッヂン!!

「いっだぁぁぁい!」

平手が当たった瞬間、わたしの大事なところが熱を持ち、一瞬針を刺すような痛みが全身を駆け巡った。

母の手がわたしの大事なところから離れる。
叩かれた部分は、手形の形で真っ赤に腫れ、熱を持っている。
だが、母はお気に召さなかったのか、不満そうな顔をしていた。

「あら、思ったより腫れないわね。次はもっと強く叩かないと。」

「ひぃぃ…!?」

ビッヂィン!!!

「ぎゃぁぁあ!!」

今度は、さっきよりも強い衝撃がわたしを襲う。
当たった場所が更に腫れ上がり、更に痛みが増していた。

このお仕置きの辛いところは、お尻や太ももと違い、“同じところばかり”をずっと叩かれ続けることだ。
当然、痛みは1点に蓄積され堪え難いものとなる。
たった2発でこれなのに、残り98回も耐えられるとは、とても思えなかった。

バッヂン!!

「いぃぃぃっ!!」

3発目、先程より少し上らへんを叩かれる。
膝を抑える手が、“じんじん”する部分を庇いたくなるが、必死に我慢する。

バジッ!パァン!バシッ!バヂンッ!

「いだいっ!いっだぁぁぃ!もういやっ!」

それから50回、70回と同じところを叩かれ続け、その度に、大事なところからもの凄い音がした。
身体中から汗が吹き出し、膝を抑える手が滑りそうになる。



「さあ、最後の1発よ。歯を食いしばりなさい。」

ビッヂィィン!!!

「だぁぁぁいぃぃ!!」

最後の1発が降り注ぎ、気のせいか“お星様のマーク”が見えた気がする。

わたしの大事なところは痣だらけで酷いことになっていて、しばらくはおしっこをするのも大変そうであった。

「ハァッ…ハァ…」

「さて、最後はお立たせよ。早く立ちなさい。」

「うぅ…。」

『少しくらい休ませてほしい…』
息を切らしながら必死で母に訴える。

虚ろな目で周りを見ると、お姉ちゃんが視界に入った。
心配してくれているのか、口に手を当てていた。

「…初めからお仕置きをやり直す?」

「ご、ごめんなさいっ!?いまなりますっ!!」

声のトーンが落ちた母の呟きがはっきり聞こえた。
これは“警告”を意味するもので、下手したら本当にお仕置きをやり直されてしまう。

“ズキズキ”と痛む重い下半身を上げて、急いで立ち上がる。
手を頭に組んで“お立たせの姿勢”となった。

「じゃあ仕上げの1発よ。しっかり歯を食いしばりなさい。」

「…はい、お願いします!」

バッヂィィィンッ!!!

「ぎゃぁぁぁぁっ!いっだぁぁぁいっ!!!」

もともと触るだけでも激痛が走るお尻に“母の渾身の一撃”が与えられる。
お尻全体に電撃を当てられたような感覚が走る。

お尻には紫色をした手形がくっきりとでき、“お仕置き完了の刻印”として刻まれていた。

「それじゃ、これでお仕置きは終わりよ。」

「…おじおぎ、ありがどぉございまじだぁ…。」

「反省中にお尻さすったりしてたら、また最初からだからね。」

「…あ゛い、わがりまじだぁ…。」

『やっと終わった』
母が二階に戻るのを確認し、わたしは安心しきっていた。
まだお尻が“ビリビリ”と痛むが、なんとかさすらずに耐えられそうだった。

“カシャッ”
後ろでカメラのシャッター音が響く。
お姉ちゃんは、わたしのお仕置きが終わるといつも写真を撮る。

“恥ずかしいからやめて”
何度言っても改善されることはなく、強めに言うと泣いしまい、“わたしが”追加罰をくらったこともあるから、もう気にしないことにしていた。

「まい…、ごめんね。」

「……。」

「おしり、痛い?」

「…すっごく痛いっ」

正直、腹が立つから話したくないが、話さないと泣いてしまう。
『誰のせいだと思ってるのっ!?』
本当はそう言ってやりたい気分だった。

「少しでも良くなるように。お姉ちゃんがなでなでしてあげるね。」

「…!?さ、触らないでっ!?」

「え…?」

いまは触れられるだけでも痛いのに、撫でられたりなんかしたら…。
頭で考えるより早く、反射的に口に出ていた。

「まい…、お姉ちゃんのこと嫌いなの…?」

「ち、違っ!?」

「…だって、嫌いだから触ってほしくないんでしょ?」

…まずい、このままではお姉ちゃんが泣いてしまう。
今泣かれたら、母が一瞬で駆けつけ、お仕置きのやり直しをされるのは明白だった。

すでにお姉ちゃんの目からは涙が溢れそうになっている。
決壊するのは時間の問題だった。

「さ、触っていいからっ!だから泣かないでっ!!」

「よかった♫」

なでなで

「いっ!?」

お姉ちゃんの無邪気な手のひらが、わたしのお尻を撫でる。
お世辞にも無事とは言えないお尻が、悲鳴を上げた。

なでなで、なでなで

「お姉ちゃんっ!!もう、やめてっ!!」

「え…、やっぱり、嫌いなの?」

「…っ!?」

もう、限界だった。
身体中から汗が溢れ出し、とっくに危険信号を放っていた。
『もう…許して…』



その後、案の定わたしは耐えきれず、お尻を庇ってしまう。
その様子を母に見つかり、お仕置きはやり直しとなる。

わたしはお仕置き後、3日間まともに座ることが出来なくなり、学校を休んだ。

その間、お姉ちゃんから“手厚い看護”を受けたのは、また別の話にしようと思う。

「完」
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