テリオス・フィリア

幻田与夢

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PHASE6 ディア・マイ・フレンド

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「ゼナム様が消息不明!?」
アルトリオは驚愕し、声を荒げて地団駄を踏んでいた。
(何してくれたんだ、あのガキは!まずます立場がなくなったではないか!)
苛立ちと焦りが募るばかりで、アルトリオは混乱していた。
その時、急に彼に向けて通信が入った。
(ま、まさか、もうゼグド様の耳にも入ったのか?)
恐る恐る回線を繋げると、モニターに映ったのはゼグドではなかった。
「お久しぶりです、アルトリオ卿」
「ザイル、貴様か・・・、驚かせるな。それで、何用だ?」
「私もゼナム同様、援軍に参ります。ゼグド宰相曰くゼナムだけでは力不足とのことだそうです」
ザイル・フェルドリートはゼナムの同僚であり、彼とは十年来の付き合いである。ゼナムほどではないにしろ、それなりの名家出身であり、現階級は子爵である。
「それにアルトリオ卿も苦戦されているご様子。ここは私とゼナムにお任せください。ああ、それとそろそろ着艦許可お願いします」
「あ、ああ、その、とても言いづらいのだが・・・」

                
「そんな・・・ゼナムが・・・」
「ま、まあ、まだ死んだとは限らんだろう。《カシオペア》は大破したらしいが」
「・・・弔い合戦と洒落こみましょうか。あいつの仇は俺がとります」
鋭い剣幕でアルトリオを見て、ザイルは言った。
「アルトリオ卿。詳しい戦況を教えてください」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


欧州から疎開してきた時から、友と呼べる人なんていなかった。
環境も言語も、何もかも違うのだから、馴染め、なんて無理がある。
それに・・・・・・

「ゴーシュくんって、なんかズレてるよね」
「お前、おかしいよ」

僕は人より大分違っているようだ。

疎開者が珍しかったのか、転入当初は興味本位で質問する人、心配してくれる人も多かった。だが今や、僕に話しかける人などほとんどいない。
僕は学校が終わるといつも、町はずれの公園に向かう。そこで音楽を聴くのが日課となっていた。そこは人が来ることはまずない。

「何聴いてるの?」

黒髪の女の子に話しかけられた。

「・・・言っても分からないと思うよ」
「私にも聴かせて」
「え」
彼女は僕のイヤホンを手に取り、聴き始めた。
「・・・・・・よく分からない」
「だろうね」
「いつもここにいるの?」
「まあ、大体この時間はいるかな」
他愛もない会話を繰り返していると、ひとりの男の子が近づいてきた。
「おい、サナ。お前はいつも・・・、ん?お前誰だ?」
「そういえば、名前聞いてなかった。教えて」
二人にせがまれ、億劫ではあったが名乗って見せた。
「外国の人?」
「そうだよ、最近こっちに避難してきたんだ」
「疎開者か・・・初めて会ったな」
その男子は訝し気に僕を見ていた。
それも当然の反応か。
「あ、そうだ。俺、デンジ・ミカグラ。よろしく」
「サナ・マミヤ」
「よろしく・・・って、僕は別に仲良くするつもりはないぞ」
流れで絆されるところだった。どうせ君たちも皆と同じなんだろ。
「なんで?」
「な、なんでって、僕といたら色々とめんどくさいからだよ」
「私はめんどくさくない。それに・・・」
彼女は僕の目と鼻の先まで近づき、こう言った。
「私があなたと仲良くしたいの。あなたがどう思おうと知らないわ」
「っ・・・」
「あー、悪いな。サナはこういうやつなんだ。多めに見てやってくれ。それと、俺らは別にお前が疎開者とかそういうのあんまり気にしないぞ」
デンジは僕とサナを手で無理矢理距離を取らせた。
「サナ、そろそろ帰るぞ」
「またね、ゴーシュ」
またね・・・、か。
そんなこと言われたの久しぶりだな。
「・・・明日もここにいるから。またね、サナ、デンジ」
「・・・おう、また明日な」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「それで今に至るわけですか・・・、教えていただきありがとうございます!」
「ゴーシュは今とは結構違かったな、少しつっけんどんな感じだった。尖ってたというべきか」
「い、いやだって、僕だけ疎開者だったんだからしょうがないじゃん」
「ふふっ、ゴーシュさんにもそんな時期があったんですね」
ゴーシュは照れ隠しなのか、少しあたふたしていた。
懐かしい思い出に浸っていると、サナが訝しい面持ちでノヴァリスに尋ねた。
「ねえ、あなた。どうしてそんな事聞いたの?あなたが聞いてもただの思い出話じゃない」
「お、おい、サナ。お前はまた・・・」
「そうですね。私にとってはそうかも知れません」
「ノヴァリスさん・・・」
そう言うと、彼女はゴーシュ達から視線を逸らした。
一呼吸おいて、彼女は静かに口を開いた。
「でも、私はその思い出に触れてみたい。その思い出を通して、ゴーシュさん達をもっと知りたいのです・・・」
サナはただ黙ってノヴァリスの言葉を聞いている。
「サナさん、もちろんあなたのことも知りたいです。・・・サナさんは嫌ですか?」
「・・・い、嫌」
「そ、そんな!」
即断されたノヴァリスは目に涙を浮かばせた。
「・・・泣かせたね、サナ」
「サナ・・・・・・」
「な、何・・・二人もその子の味方するの?」
サナは凄まじい形相で男子二人を睨んでいる。しかし、二人は困った表情をみせるだけだった。彼女はとうとう痺れを切らし、ノヴァリスに優しく声をかけた。
「はあ、分かった・・・ノヴァリス、ごめん、さっきの嘘。全然嫌じゃないよ。私も・・・あなたと仲良くしたい・・・よ・・・」
「ほ、本当ですかっ!ありがとうございます!私、とっても嬉しいです!」
ノヴァリスは先程まで涙目だったのが嘘だったかのように、満面の笑みを浮かべると、サナに抱き着いた。
「・・・ちょっと、暑苦しいよ」
口ではそう言いつつも、さきほどまでの険悪な雰囲気は感じられなかった。
ゴーシュとデンジは互いに顔を見合わせて、笑っていた。
その時、デンジの携帯からメールの着信音が鳴った。
「おい、そろそろ戻るぞ。多分ハルスから連絡が来た」
「そうだね、戻ろうか。シエルさん達も心配してるだろうしね」
ゴーシュが来た道を戻ろうとすると、デンジがその場に留まり、道を阻んでいた。
「どうしたの、デンジ?早く戻らないと・・・」
「・・・悪い、予定変更だ。極東支部に帰るぞ」
「えっ・・・何があったのさ?」
「・・・・・・舞浜の拠点が落ちた」


@ 舞浜

「・・・・・・やはり恐るるに足らないな、バーバリアンは」
舞浜に降り立った一体のヘレネス。
そこには軍事兵器や建造物の残骸しかないという凄惨な状況だった。
(しかし、報告にあったバーバリアンはいないのか。運がいいのか、悪いのか・・・)
オープン回線で通信が彼のもとに入った。アルトリオだ。
『私だ。地上はどうだ?』
「特に変わったものは見当たりませんよ。アルトリオ卿は少し慎重すぎる気もします。一気呵成に畳み掛けてもよろしいかと」
『む、むう。そうか、なら私の兵を少し預ける。今日は一旦帰還するがいい』
「承知しました」
ザイルは通信を切り、帰投の準備を始めた。
「・・・・・・・・」

――――――――――――――

「新型?」
「ああ、報告によれば、こいつにゼナム様は撃墜されたとのことだ」
アルトリオは部下の残した記録の画像をモニターに映した、
「!・・・・・・アルトリオ卿。これヘレネス皇国所属のパノプリアです」
「何!?な、何故バーバリアンが・・・」
「それは分かりませんが、僕は国家の軍事施設で同様のものを確認しています。確か名称は《アキレウス》」

――――――――――――――

「・・・どこの誰かは知らないが、知己をやられて黙っているほど俺は人が出来てない」
ザイルは言葉と共に怒りを吐き出した。
「・・・引きずり出してあげよう、《アキレウス》・・・」


@ キヴォトス極東支部

イヴァンはΛ小隊とノヴァリス、サナを招集させていた。
「ごめんね。折角のオフなのに呼び出しちゃって」
「いえ、構いません。それより舞浜はどうなったんですか?」
デンジがそう言うと、イヴァンは携帯端末から動画を再生して見せた。
それを見たデンジたちはあまりの悲惨さに呆然としていた。
「ひ、ひどい・・・・・・」
「派遣したパノプリア隊も全滅。被害は予想以上に大きい・・・それにまた新たなヘレネスも確認された」
イヴァンは動画を一時停止し、画面を拡大させた。
「こいつが・・・。今はどこにいるのですか?」
「分からない。だけど、すぐに攻めてくるだろう。今のところはここで待機するのが一番だ」
「・・・了解です」
「じゃあ、僕は大佐に呼ばれたから、頼んだよ、君たち」
イヴァンが立ち去っっても、沈黙が暫く続いた。
その沈黙を破ったのはハルスだった。
「・・・・・・悪いねぇ、お二人さん。まさかこんなことになるとは」
「い、いえ、仕方ありませんよ、ね、サナさん?」
「うん、仕方ない」
「き、肝が据わってるねぇ・・・」
「まあ、いいことだろう、この場合は・・・ところで、さっきから気になっているんだが・・・」
デンジがハルスの方を見ると、彼の後ろに見知らぬ男が静かに立っていた。

「ああ、こいつのことか。避難し損ねたみたいでなー、俺たちがここまで連れてきたんだよ・・・・・・ほら、名前」
「・・・・・・ゼナム・メガロフィア。行く場所もないからここに来た。それだけだ」
「というわけだ。イヴァン隊長には報告したし、仲良くしてやってくれい」
「お、おい、僕は仲良くするつもりはな」
「いいから、いいから。とりあえず勝手なことすんなよ、お前」
ハルスはゼナムを宥めつつ、彼に釘を刺した。
その中、ゴーシュは一人胸を押さえて、違和感を感じていた。
(・・・何だこの感覚。僕は彼を知っているのか・・・?)

「わ、私、ゼナムさんを案内します。皆さんもゆっくり休んでください。ではまた」
「いや、俺も行くよ。お前ら二人きりにさせらんねぇしな」
「・・・勝手にしろ」
シエルとハルスは不服そうなゼナムを連れていった。

「・・・ゴーシュ、いつのまにキヴォトスに入ったの?」
「つい最近だよ。一か月も経ってないさ」
「・・・知らなかった」
「言ってなかったからね」
(・・・心配かけたくなかったからね)
「今日は休もう。色んな事がありすぎた」
「・・・わかった」


       ◯

「急に呼びつけてすみませんね、イヴァン君」
「いえ。それで、何用でしょうか?」
エルガーはシンフーの方を黙って向き、顎を少し彼に突き出した。
「イヴァン中尉。お勤めご苦労様デス」
「シンフー中佐・・・という事は例のエンジェルについて何か分かったようですね」
「察しがいいネ。探偵にでもなったらどうかナ?」
「ふふ、何です、それ?」
他愛もない会話の中、シンフーはおちゃらけた言動を正し、神妙な顔を作った。
「・・・エンジェルに搭載されていた特殊兵装。これは《アキレウス》と同じものだと僕は踏んでいる」
「!・・・その根拠は?」
「エンジェルと《アキレウス》。内部の構造から、動力源、あらゆるものが酷似しているんだヨ。まあ、それだけなら何とでもないんだが、決め手となったのはこれだ」
シンフーは手にしていたリモコンで、ラボのモニターに映像が流れた。
モニターに映し出されたのは、は先日の《アキレウス》と《カシオペア》の戦闘だった。
「ここ」
シンフーは映像を一時停止させた。
「光の粒子がぶつかり合っているのが見えるかイ?」
「言われてみればですが・・・確かに見えます」
「回収班にサ、戦闘場所に残滓がないか調査を頼んだんダ。そうしたらネ、《アキレウス》とエンジェル、二つの動力炉から同じものが発見されたんだヨ」
「・・・なるほど。そういうことですか」
イヴァンはすぐには呑み込むことは出来なかったが、今はシンフーを信頼した。
すると、それまで黙って聞いていたエルガーが口を開いた。

「調査は進んでも謎は深まるばかりですね。こうも分からないことばかりだとうんざりしてしまいます」
「ですね。調査ご苦労様です。では、僕はこれで」
「あ、ちょっと待っテ」
イヴァンがラボから退室しようとすると、シンフーはそれを引き留めた。
「はい、これ。付き合ってくれたお礼サ」
シンフーがイヴァンに握らせたものは、何てことのない飴玉だった。
「・・・ありがとうございます。では失礼します」
イヴァンはラボを出て、自分の部屋に向かう中、シンフーのことを考えていた。
(やっぱり、変な人だなぁ。わざわざ引き留めなくても・・・)
そう思いながら、イヴァンは飴玉を握った手を開いた。
すると、飴玉の他に一枚の紙きれも握らされていたことに気付いた。
(これは・・・・)

                                        ◯

@ 品川

「舞浜拠点が落とされた今、この品川も戦闘区域に入るだろうな」
「新型ヘレネスの情報聞いたかよ?動画を見たが、一瞬しか映ってなかったみたいだ」
「おい!いくら警戒任務だからと言って、べらべら喋るな!」
「・・・了解です」
品川周辺は厳重な警戒態勢が敷かれ、何十機ものパノプリアが配備されていた。
しかし、一向に襲撃の気配や報告、索敵反応すら一切ない。
「Δ4、そちらはどうだ?」
小隊長が首尾を確認するが、返答がない。
「・・・Δ4?」
モニター越しに確認すると、その機体はいつの間にか破壊されていた。
「Δ4!くそっ、いつの間にっ!」
「隊長!三時の方向に敵影を確認しました!」
小隊の目の前に舞浜襲撃の際と同型のヘレネスがゆっくりと接近してきていた。
そして、小隊長の指示で機銃を構え始めた。
「目標は目の前!攻撃開始!」

・・・・・・・・・・

「蟲の死骸のようだ。見ていて快いものではないな」
軍隊は壊滅。市街は炎上。機体の残骸の周りには、ストラティオ級が徘徊しており、品川の状況は最悪と言えるものだった。
「さて、どう来る・・・《アキレウス》」


「今度は品川か。行くよ、みんな!」
イヴァンを先頭にΛ小隊が格納庫へと急ぐ。
格納庫についた彼らはそれぞれパノプリアへと乗り込み、出撃した。
「え、ええと、報告によると、舞浜の個体と同型のようです!」
「あいつか・・・!一刻も早く撃退しなければ・・・!」
品川へと向かう道中、ヘレネスの情報を知り、一同は身構えていた。
それは、ゴーシュも同じだった。すると、ナグが窘めるように言った。
『ゴーシュ、心拍数が上昇しています。何かありましたね?』
「・・・・・・・」
『またも上昇。私の目はごまかせませんよ』
「・・・目ないだろ。何もないよ・・・」
『そうですか・・・。では、そんなゴーシュに通信が入ってます』
ゴーシュが回線を繋ぐと、その相手はイヴァンだった。
「ゴーシュ、さっきの話だけど・・・」
「・・・・・・・・」
「信じていいんだね?」
「・・・・・・はい」
「うん、了解した。それが聞きたかっただけさ。あと、今回の戦闘が試運転みたいなもんだから、フォローしてくれると助かる」
「はい。出来る限り尽力します」
それだけ伝えると、イヴァンは謝辞を述べ、通信を切った。
ゴーシュは動揺したのか、少しだけ冷や汗をかき、ふぅと一息ついた。
「ノヴァリスさん、大丈夫かな・・・」
『ノヴァリス皇女殿下のことも大事ですが、今は戦闘に集中することを推奨します。さもないと、私共々爆散してしまいます』
「お前ってほんとうるさい(ナグだ)な」

「ゴーシュさん、大丈夫でしょうか・・・」
ノヴァリスは本部に残り、戦場に赴いたゴーシュに思いを馳せていた。
緊急の出撃だったためか、軍属の者はほとんどが出払っていた。
「大丈夫。あなたは心配しすぎ」
「サナさん・・・・・・」
「あなたが思っているより、ゴーシュは弱くない」
不安げなノヴァリスをサナはぶっきらぼうに宥めると、ノヴァリスは僅かに安堵の表情を浮かべた。
「・・・・・・サナさん?」
サナは流し目でノヴァリスの方を黙って見つめていた。
すると、目つきを鋭くしこう放った。
「・・・・・・さっき、ゴーシュとどこに行ってたの?」
「うぇっ!?・・・いや、その、えーと・・・」
じっと見つめるサナ。落ち着きを取り戻したノヴァリスは返答した。
「すみません。言えません」
「っ!どうしてっ」
「君たち、少し静かにネ」
彼女らの会話に割って入ったのはシンフーだった。その後ろにはエルガーも控えていた、
注意を受けたノヴァリスは粛々としていたが、サナは相も変わらず不遜な態度で接した。
「あなた、誰?」
「ここの偉い人だヨ。そして、こっちはもーっと偉い人」
「キヴォトス極東支部最高司令官シャルロッテ・エルガーです。あなたがサナ・マミヤさん?」
サナはエルガー達に対して身構えた。
「何故私のことを知ってるの?」
「聖ピレイン学園の優等生。私の耳にも入ってきてますよ。それにスヴェンソン君達から色々聞いています」
エルガーのその一言にサナの目尻がピクリと動き、彼女の方へと詰め寄った。
エルガーはあまりの勢いに気圧され、少しだけ仰け反った。
「・・・何て言ってた?」
「え、ええ。あなたのことをとても褒めていましたよ。なんでもパノプリアの操縦が上手だとかなんとか・・・」
「その話、詳しく聞かせて」
「わ、分かりました。今回の騒ぎが落ち着いたら、話しましょうか・・・」
サナの興味はノヴァリスではなく、エルガーの方に移っていた。サナはエルガーと共にその場を離れた。すると、一人になったノヴァリスの隣にシンフーが近づき、二人にしか聞こえない声で囁いた。
「・・・約束は守っているみたいだネ、ノヴァリスさん。君は顔に出やすいから気を付けてネ。その話がバレて困るのは僕だけじゃないんダ。君の好きなゴーシュ君もだヨ。その辺は分かってるよネ?」
「・・・はい。感謝してます。シンフーさん」


『敵機接近。会敵まで2分です』
「・・・あいつか」
件の新型ヘレネスは大通りの中央に堂々と佇んでいた。
「ピュラクス級5体にストラティオ級が3体、それに件の新型ヘレネスが一体。前回ほど大群じゃない。一体ずつ確実に駆逐しよう。デンジ、ハルス、シエル、頼んだよ」
イヴァンの指示に全員が了解し、各機が散開した。唯一指示のなかったゴーシュはイヴァンの指示を待った。
「ゴーシュ。君はあの新型を頼む。周りのヘレネスを片付けたら、僕らも援護に向かう」
「了解です・・・ナグ、フィリア・ドライブ起動・・・」
《アキレウス》から光の粒子が拡散し始める。
『フィリア粒子、散布』
「これ、フィリア粒子っていうんだ・・・」
『はい。フィリア粒子が搭乗者の精神に感応することで、実体世界に影響を及ぼします。散布範囲がフィリア・ドライブの作動領域になります』
「なるほど。使える範囲は限られてるわけか・・・」
ゴーシュは対象のヘレネスを見据える。すると、前回の戦闘と同じように、胸に痛みが走った。ゴーシュは思わず胸を押さえる。
(ッ!・・・・・・これは・・・あの時と同じ・・・)
痛みに慣れ心を落ち着かせると、どこからともなく声が聞こえてきた。
(お前が《アキレウス》だな?)
(!・・・また声が・・・?)
(お前に一つ聞きたいことがある)
ゴーシュはここまで会話が成り立っていることに驚いていた。考えが読まれているわけではなく、お互いの思念が伝達し合っているような奇妙な感覚に陥っていた。ゴーシュは黙って聞いていると、ドスの聞いた声が聞こえてきた。
(ゼナムをやったのはお前か・・・?)
(!・・・・・・・)
ゴーシュは聞き覚えのある名前に少し違和感を覚えた。
(・・・・・・僕じゃない)
(・・・そうか)
そこで会話は途切れると、前方から光弾が飛んできた。それを察知したゴーシュは間一髪でバリアを展開し防いだ。
「っ・・・・・・・・・戦闘開始だ」
『了解』
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