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弐章・選ばれし勇者編
2-3 35 緋色視点 殺られるフリは案外難しい
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緋色の代わりに香露音が後輩達に教えてくれている。
緋色は緋色でやる事がある。
「もう今日か…」
本来なら、夏希が緋色の精神世界に入った日。
勿論、この日までに何もしていない訳がない。
ずっと特訓していた。基礎能力も苦手なやつでも使える程度にはしている筈だ。
以前は肩を少し斬る位だが、今なら指くらいなら吹き飛ばせる。
本来なら、腕位を斬り落とせる位欲しいところだが苦手だからもう諦めている。
縮地は得意になってきたので、(中)なら音を置き去りにできる。
しかし春斗とはまだ一度も会えてない。あの時偶然再開したのだろう。
(まずさ…学園が違うんだよなぁ……)
これに関しては待つしかない。あの日まで。
「もう、この時間か。散歩、散歩ー…」
全然楽しくない散歩が始まった。
前と同じルートで歩く。
あくまで同じ条件で同じ事を起こさないといけない。
「理科の実験と同じ…だよね………知らないけど。」
すると、例の彼が来た。やはり来た。
「やぁ…そこのネーチャン。」
(はぁ…………)
同じ出来事を繰り返す。
「何ですか?」
「一緒に美味しいやつ食べようぜ~!奢るからな!な!」
「俺ら暇なんだよ~!」
「拒否します。」
「どうしても嫌なら…決闘するかぁ?」
やっぱり同じ事を言うと同じ事を言い返して来る。
「弱者虐めて楽しいですか?」
「勿論だ。」
やはりこいつはゴミだ。
あの時よりは弱者では無いが。
今まともに殺り合って勝てるのかは知らない。
それでも、どうせ負ける。負けないと助けてもらえない…筈だ。
「決闘するか誘いを引き受けるか。」
「決闘で。」
という事で、決闘する事になった。
相手が攻撃して来るが、今なら普通に基礎能力で避けきれる。
しかし、避けるだけでは意味が無い。
適宜、相手を煽りつつ、少し攻撃しながら、自らも致命的な場所を避けながらダメージを食らう。
相手は小賢しいと、必殺型のブーストを使う。
そう、ここが問題だ。
油断すると、普通に致命傷を負う。
かといって本気を出して避けるとこのままではノーダメだ。
まあ、あの時を再現するなら、お腹を抉られないといけないが。
(痛いの嫌なんだよなぁ…)
緋色は普通に避ける事にした。幸運で避けた事にする。
「うわーーーーー」
棒読みで、叫んでみる。
電光石火を使いながら適当に逃げていく。
食らったら食らったで、助けて貰えるし大丈夫なはずだ。
「食らったらー死ぬーーー」
我ながら恥を晒している。
「ウワハハハハハハ!棄権しても良いんだぜ!」
しかし、このままいくと、ノーダメージで終わってしまう。
流石に助けて貰わないと困るのだが……
(いやぁ…殺られるフリは案外難しいんだなぁ……どうしよう…?)
「あ、イテ…」
足に掠った。途轍もなく痛い。
目を抉られたときとは比べ物にならないくらい対したことないが。
「ッチ…!」
(こんなんでダメージ食らうなんて…だからいつまで経っても私は弱いままなんだよなぁ…)
取り敢えずギリギリを攻めてダメージをわざと食らった。
足の怪我で上手く躱せなくなったって事にしている。
「くっ…足がー…」
「終わりだな!フハハハハ!」
「あれを耐えたのは褒めてやるが…死ね。」
そろそろな筈だ。これで無理なら困る。ギリギリまで耐えるチキンレースをここでやるとは思って見なかった。
「うわー」
「そこまでです。」
ちゃんと来た。世界は割れて、決闘は強制終了した。
「貴方がナンパしているところから全部見てましたし、録音録画もしてます。…まだ続けるならどうぞ。」
「調子乗んなよ小娘が!」
かつては一瞬で倒れているように見えたが、今見ると割と違うようだ。
美しく腕を捌きそのまま背負い投げしている。
(おー…こんな事してたんだー…感動…)
春斗にもちょっかいをかけた挙句、現実世界の方でも暴力を働いていたのだから、もう一回地獄を見て欲しいと緋色は思った。
(本当に春斗が、遅刻なんて珍しいと思ったら、服がヨレヨレって…あの時吃驚。)
そして、話しかける。
「助けて頂きありがとうございました。あか…………」
曉さんと言おうとが、この世界ではまだ教えてもらっていない。
「あか……の流星さん。」
「………私の名前を…知ってますか…?本名を。」
この世界線は何故か初めてだ。
前回なら馬鹿なんじゃないかと言われたが。
「ええっと…夢野 曉さんです。」
「………そうですか。合ってます。……次からは名前で言ってもらっても良いですよ。」
「え…あ、分かりました。」
「貴方の名前は?」
「樫妻 緋色です。」
「緋色さんですか。良い名前ですね。……それで緋色さん。」
「はい。」
「貴方…わざと手を抜いたでしょう。」
「え……!?」
「決闘中の足は緋色さんが油断していたからですが、それ以外は死なない程度にかつ、殺られそうな見た目になるくらいに、わざと怪我してますよね?」
バレている。圧倒的にバレている。
「ええっと……」
これは如何すべきか。もう本当の事を言ったほうが早いのではないか。
「………曉さんと、会いたかったからです。」
「私と…ですか。」
「このブレイカーの人と決闘して殺られそうになっている時に助けてくれると……知っていたので。」
「……そうですか。次は、そんな事しなくても私の名前を言うだけで大丈夫ですよ。」
「…それは…どういう意味で……」
「貴方と私は同じなんです。前回緋色さんと会ったときに私が私の名前を教えたって事は…私はあなたの味方だと言っているんですよ。…じゃあ、この人を連れていきますね。」
そうして再び、ゴミの様に引き摺っていった。
何故……前回を知っているのだろうか。
もしかすると、緋色が世界をやり直した事を知っているのではないだろうか。
というか、名前を呼ぶだけで良かったのなら痛い思いをするメリットが完全消失するのは気のせいだろうか。
「今思ったけど………二つ名の本名皆知らないんじゃない…?と言う事は…私…試された…?」
どうやら嵌められたようだ。味方になってくれたので問題無いが。
香露音は上手くやってくれているだろうか。
後輩達は別にあの地獄を体験した訳では無いので、対したことはなさそうだ。
本当に鶴ちゃんを引き連れなくて良かったと今思う。
春斗に関しては………ちょっとだけ申し訳ないと思うが、春斗に助けられた場面もあるので、こればかりは仕方無い。
さっさと家に帰る。もう用済みだ。
(ん~………………次は…あと一ヶ月後の試験……ここで、大地の涙の接触を…………したいんだけど……ちょっと……キツイなぁ…嫌だなぁ…洗脳されたくないなぁ…春斗と会いたいなぁ………)
最後は完全に自己満足だが、彼と会わない日が続くとそれはそれで寂しい。
彼には事情を説明するが、絶対に簡単には夏希を思い出せない。
繋がりを強く持っている人がすぐに思い出せるのなら、繋がりを対して持ってない春斗は多分、簡単には思い出せない。
どうやら、緋色が個人でなんやかんやして洗脳を解いてる時に会ったみたいだが、それ位では無いだろうか。
不安しか無い。
まず、夏希を復活出来る保証など存在しない。
無理かもしれない。誰もそんな事を言っていないからだ。
出来る、出来ない。
それが分からないのに、何をすればいいかも検討がつかない。
出来るのであれば、何かを引き金にして復活する。
出来ないのであれば…………何も考えないでおこう。
そんな事を考えてたら、今の行動は無駄になる。
無駄にはさせない。絶対に。
…出来る事ならば、せっかく過去に戻れたのであれば助けたい人が居た。
そう…橋本だ。
あの時、自分の弱さで殺させた。緋色を庇って死んだ。
今回は、もうそんなヘマはしない。
生きて言わせる。絶対に、死ぬ間際には言わせない。
本当に、申し訳ないと思っているなら…彼は生きて言うべきだ。
生きる事が大事だ。
誰もが、生きなければならない。
誰も死なさない。
緋色の味方であるならば。友ならば。
緋色に微かに残っている正義を、今、執行するべきだと緋色は決意した。
緋色は緋色でやる事がある。
「もう今日か…」
本来なら、夏希が緋色の精神世界に入った日。
勿論、この日までに何もしていない訳がない。
ずっと特訓していた。基礎能力も苦手なやつでも使える程度にはしている筈だ。
以前は肩を少し斬る位だが、今なら指くらいなら吹き飛ばせる。
本来なら、腕位を斬り落とせる位欲しいところだが苦手だからもう諦めている。
縮地は得意になってきたので、(中)なら音を置き去りにできる。
しかし春斗とはまだ一度も会えてない。あの時偶然再開したのだろう。
(まずさ…学園が違うんだよなぁ……)
これに関しては待つしかない。あの日まで。
「もう、この時間か。散歩、散歩ー…」
全然楽しくない散歩が始まった。
前と同じルートで歩く。
あくまで同じ条件で同じ事を起こさないといけない。
「理科の実験と同じ…だよね………知らないけど。」
すると、例の彼が来た。やはり来た。
「やぁ…そこのネーチャン。」
(はぁ…………)
同じ出来事を繰り返す。
「何ですか?」
「一緒に美味しいやつ食べようぜ~!奢るからな!な!」
「俺ら暇なんだよ~!」
「拒否します。」
「どうしても嫌なら…決闘するかぁ?」
やっぱり同じ事を言うと同じ事を言い返して来る。
「弱者虐めて楽しいですか?」
「勿論だ。」
やはりこいつはゴミだ。
あの時よりは弱者では無いが。
今まともに殺り合って勝てるのかは知らない。
それでも、どうせ負ける。負けないと助けてもらえない…筈だ。
「決闘するか誘いを引き受けるか。」
「決闘で。」
という事で、決闘する事になった。
相手が攻撃して来るが、今なら普通に基礎能力で避けきれる。
しかし、避けるだけでは意味が無い。
適宜、相手を煽りつつ、少し攻撃しながら、自らも致命的な場所を避けながらダメージを食らう。
相手は小賢しいと、必殺型のブーストを使う。
そう、ここが問題だ。
油断すると、普通に致命傷を負う。
かといって本気を出して避けるとこのままではノーダメだ。
まあ、あの時を再現するなら、お腹を抉られないといけないが。
(痛いの嫌なんだよなぁ…)
緋色は普通に避ける事にした。幸運で避けた事にする。
「うわーーーーー」
棒読みで、叫んでみる。
電光石火を使いながら適当に逃げていく。
食らったら食らったで、助けて貰えるし大丈夫なはずだ。
「食らったらー死ぬーーー」
我ながら恥を晒している。
「ウワハハハハハハ!棄権しても良いんだぜ!」
しかし、このままいくと、ノーダメージで終わってしまう。
流石に助けて貰わないと困るのだが……
(いやぁ…殺られるフリは案外難しいんだなぁ……どうしよう…?)
「あ、イテ…」
足に掠った。途轍もなく痛い。
目を抉られたときとは比べ物にならないくらい対したことないが。
「ッチ…!」
(こんなんでダメージ食らうなんて…だからいつまで経っても私は弱いままなんだよなぁ…)
取り敢えずギリギリを攻めてダメージをわざと食らった。
足の怪我で上手く躱せなくなったって事にしている。
「くっ…足がー…」
「終わりだな!フハハハハ!」
「あれを耐えたのは褒めてやるが…死ね。」
そろそろな筈だ。これで無理なら困る。ギリギリまで耐えるチキンレースをここでやるとは思って見なかった。
「うわー」
「そこまでです。」
ちゃんと来た。世界は割れて、決闘は強制終了した。
「貴方がナンパしているところから全部見てましたし、録音録画もしてます。…まだ続けるならどうぞ。」
「調子乗んなよ小娘が!」
かつては一瞬で倒れているように見えたが、今見ると割と違うようだ。
美しく腕を捌きそのまま背負い投げしている。
(おー…こんな事してたんだー…感動…)
春斗にもちょっかいをかけた挙句、現実世界の方でも暴力を働いていたのだから、もう一回地獄を見て欲しいと緋色は思った。
(本当に春斗が、遅刻なんて珍しいと思ったら、服がヨレヨレって…あの時吃驚。)
そして、話しかける。
「助けて頂きありがとうございました。あか…………」
曉さんと言おうとが、この世界ではまだ教えてもらっていない。
「あか……の流星さん。」
「………私の名前を…知ってますか…?本名を。」
この世界線は何故か初めてだ。
前回なら馬鹿なんじゃないかと言われたが。
「ええっと…夢野 曉さんです。」
「………そうですか。合ってます。……次からは名前で言ってもらっても良いですよ。」
「え…あ、分かりました。」
「貴方の名前は?」
「樫妻 緋色です。」
「緋色さんですか。良い名前ですね。……それで緋色さん。」
「はい。」
「貴方…わざと手を抜いたでしょう。」
「え……!?」
「決闘中の足は緋色さんが油断していたからですが、それ以外は死なない程度にかつ、殺られそうな見た目になるくらいに、わざと怪我してますよね?」
バレている。圧倒的にバレている。
「ええっと……」
これは如何すべきか。もう本当の事を言ったほうが早いのではないか。
「………曉さんと、会いたかったからです。」
「私と…ですか。」
「このブレイカーの人と決闘して殺られそうになっている時に助けてくれると……知っていたので。」
「……そうですか。次は、そんな事しなくても私の名前を言うだけで大丈夫ですよ。」
「…それは…どういう意味で……」
「貴方と私は同じなんです。前回緋色さんと会ったときに私が私の名前を教えたって事は…私はあなたの味方だと言っているんですよ。…じゃあ、この人を連れていきますね。」
そうして再び、ゴミの様に引き摺っていった。
何故……前回を知っているのだろうか。
もしかすると、緋色が世界をやり直した事を知っているのではないだろうか。
というか、名前を呼ぶだけで良かったのなら痛い思いをするメリットが完全消失するのは気のせいだろうか。
「今思ったけど………二つ名の本名皆知らないんじゃない…?と言う事は…私…試された…?」
どうやら嵌められたようだ。味方になってくれたので問題無いが。
香露音は上手くやってくれているだろうか。
後輩達は別にあの地獄を体験した訳では無いので、対したことはなさそうだ。
本当に鶴ちゃんを引き連れなくて良かったと今思う。
春斗に関しては………ちょっとだけ申し訳ないと思うが、春斗に助けられた場面もあるので、こればかりは仕方無い。
さっさと家に帰る。もう用済みだ。
(ん~………………次は…あと一ヶ月後の試験……ここで、大地の涙の接触を…………したいんだけど……ちょっと……キツイなぁ…嫌だなぁ…洗脳されたくないなぁ…春斗と会いたいなぁ………)
最後は完全に自己満足だが、彼と会わない日が続くとそれはそれで寂しい。
彼には事情を説明するが、絶対に簡単には夏希を思い出せない。
繋がりを強く持っている人がすぐに思い出せるのなら、繋がりを対して持ってない春斗は多分、簡単には思い出せない。
どうやら、緋色が個人でなんやかんやして洗脳を解いてる時に会ったみたいだが、それ位では無いだろうか。
不安しか無い。
まず、夏希を復活出来る保証など存在しない。
無理かもしれない。誰もそんな事を言っていないからだ。
出来る、出来ない。
それが分からないのに、何をすればいいかも検討がつかない。
出来るのであれば、何かを引き金にして復活する。
出来ないのであれば…………何も考えないでおこう。
そんな事を考えてたら、今の行動は無駄になる。
無駄にはさせない。絶対に。
…出来る事ならば、せっかく過去に戻れたのであれば助けたい人が居た。
そう…橋本だ。
あの時、自分の弱さで殺させた。緋色を庇って死んだ。
今回は、もうそんなヘマはしない。
生きて言わせる。絶対に、死ぬ間際には言わせない。
本当に、申し訳ないと思っているなら…彼は生きて言うべきだ。
生きる事が大事だ。
誰もが、生きなければならない。
誰も死なさない。
緋色の味方であるならば。友ならば。
緋色に微かに残っている正義を、今、執行するべきだと緋色は決意した。
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