雷撃の紋章

ユア教 教祖ユア

文字の大きさ
14 / 79
3章 永遠の森と人

14

しおりを挟む
「驚いたわよね。私達がエルフの里よりも外で見つけたこと。」

「……」

「もう我慢しなくてもいいわよ、エレスト。それと、エウルも。エウルは兎も角、エレストは丁寧な言葉を言う度に苦い草を噛んでるような顔を一々されても困る。」

「わ、悪い…で、驚いたかって話だよな。確かに驚いたよ。」

「……私は、クレイア・フォレスト。この子はアレイ・フォレスト。……エルフの…王族よ。」

「…まじか。」

「…だけど、私達は言ってしまえば王にはなれない。お兄様のほうが力を持ってるから。」

「…でも…何故王族の貴方達が?」

「エルフの里が危ないの。近い内に魔物によって襲撃される。」

「何だって…!?」

「…エルフの里って、結界の魔法が張られてる筈よ!?」

「ええ。だからお兄様含む皆はそれを過信してる。」

「じゃあ、何で…そっちはそれを信じれない?」

「……結界の外に…居たの。…結界を弄ってた人を。」

「え…?」

「…私を見つけるなり、直ぐに逃げたけど、あれは確実に結界に干渉してた。結界は…壊せるのよ。」

「…そりゃあ、ヤバイな。」

「だけど、誰も信じてくれないし、挙句の果てには私を虚言癖だの言って結界を信じれないなら出て行けって言われたのよ。だけど、アレイは私について来てくれたわ。」

「そんなことがあったんだな。」

「ええ。でも私はエルフの里を絶対に見捨てたりしない。勿論滅ぼしもさせないわ。」

「じゃあどうするんだ?」

「その為の不死人町よ。彼等に協力を依頼する。」

「…成程な。不死人なら死なないし、戦う事自体が否定的じゃなければ手伝ってくれそうだな。…ま、問題は対価だけど。」

「ええ。王族という肩書きはここでは何の役にも立たない。」

「……やっぱり、一度話をしないと分からないと思うわ。丁度、アレイも起きそうだし。」

「…う…ふぅ…ふにゃぁ…?」

取り敢えず、アレイに事の端末を教えた。

「ふふーん。…取り敢えずお礼はこっちも言っとくね。ありがと。完全に魔力の事を忘れてたよ。」

「どういたしまして。」

四人が元気になったところで、行動に移る。

「さぁ、不死人に協力を仰ぐか。不死人にも狩人みたいな職業があったらいいな。」

「そうだねー」

「…簡単にいくといいけどね。」

酒場なんてどこにでもある。

中に入った瞬間、瓶が飛んできた。

「アッハハハハハハハハ!」

バリーン!と、しっかり割れる。

全員避けたから助かったが、普通に危ない。

「……そっか…死んでも生き返るから…」

「いやいや、そっかでは終わらないって!?」

「…先が思いやられるわね…」

それもそのはず、治安が悪過ぎる。

普通に殴り合いを平気でしてる。

普通ならありえない光景だ。

「やっべ、頭怪我しちまった!ハハハ!」

「じゃあ、死ね!」

幾ら治安の悪い場所で暮らしてきたエレストでも、死ねを日常生活で使う所は初めて見た。

「クッソー…痛いんだよなー」

と言いながら、普通に首を刺した。

「は…」

「いやぁ、怪我が治った!」

彼らが笑っている隅でエレストは溜息を吐いた。

「…あぁ、死なないんだったな…駄目だ…一生慣れる気がしない。」

「………流石にグロ過ぎる…アレイの教育に良くないわ…」

「フフ、お姉様、私はもう成人してるわ。それでも…この有様は良くないと思うけど…」

すると、不死人が四人に気付いた。

「…何だお前ら?…見ねえ顔だな。」

「俺達はこの街に昨日来たんだ。俺達を見ないのは当たり前だ。」

「エルフと一緒なのは珍しい客だな。ハハッ。」

「それに俺達は不死人じゃない。」

「まじかよ!ただの人間か!?」

「ああ。」

「面白え。」

その人は急に大声をあげた。

「おーい、お前ら暴れるの止めろー!一回で死ぬ人間様が来店したぞー!」

「まじかよ!?大変だあ!」

「アッハハハハ!」

「笑うところなのか…?」

ここは人間性が欠如した場所であることに変わりない。

「まあ、取り敢えずどうやったら協力してくれるか、考えないとな。」

「そうね。」

「腹も減ったし、先に食うか。」

ご飯は基本的に不味くは無かった。

「うんうん、お酒は無いとやってられないわねー」

「良いの?」

「良いのよ。三杯くらいなら魔法使ってアルコール分解するから。」

「…そんなことできるのか?」

「当たり前よ。」

「…まあ、凄いっちゃあ凄いけど…意味あるのか…?それ…」

「うるさいわねぇ。飲んだっていう事実が大事なのよ!そういうのは!」

クレイアが飲み始める。

「あー…もう飲んじまったよ。」

「クレイアはこういうところが駄目だから…」

「…苦労してるんだな…」

「そういうエルフらしさが無いところが好きなんだけどね…」

アレイはやれやれという顔でクレイアを見つめた。

「おいおい、何でこんなところに森の守人がいるんだ?」

さっき酒場に入ってきた新たな人が入ってきた。

「協力者を募ってんだよ。」

「協力者あ?」

「ええ、そうよ。私の故郷が危ないの。」

「珍しいな。大体、「俺たちで守れるー」とか言ってんだろ?」

「…間違ってないけど、彼らと一緒にしないで。…最早偏見じゃなくて事実だけど…」

「認めたくないけど、認めざる負えないじゃねえか。」

「うるさいわねえ。別にエルフは弱くない種族だから、守れる自信があるのは当たり前よ。私だって、誰にも負けない自信がある。でも、それは一対一の話。相手の敵は何体か分からない。守るべき存在もある。油断なんてできない。それで一人でも死なせられない。」

「……それが、皆の総意だったらいいな。」

「エルフは誇り高き森の守人よ!森に仇をなすものは、何人なんびとも許さない。誰もがエルフの里を守ることに命を懸けている。……私は、他の者より方法が違うだけ。」

「はいはい。」

軽くあしなわれ、クレイアは物凄く機嫌が悪そうな顔をする。

「そんな顔をするな、守人の嬢ちゃん。悪かったって。協力するから。な?」

ちょっと眉毛がぴくつく。

「本当に?」

「男に二言はねえよ!」

周りが囃し立てる。

「もうー!本当に女の子に弱いですね!リ-ダーさん!」

「だからいつも、良いカモにされるんですよ!」

「うるせえ!」

「リ-ダーぁ?」

エレストは、意外な言葉に驚く。

「ああ。俺は、この町の代表だ。」

「あ、そうなの?」

「俺の名前はグルー。よろしくな。」

「あ、ああ。」

「まあ、俺たちは死なねえし、俺たち種族特有の戦い方も熟知してる。」

「俺たちい?」

「俺を笑った罰だ。お前らも手伝え!」

「クッソ!やられた!」

「今回は何回死んで終わるのかな?」

「それは15回も死ぬお前が悪いだろ……」

「いやな予感しかしないんだが…」

「まあ、お前たちが思うより俺たちは心強く思うはずだぜ。」

グルーは頼もしそうに笑う。

「守人さんよ。教えてもらおうか。何が起こっているのか。」

「ええ。」

二人は話し始めた。

「どうにかなるものだな。」

「そうね。」

「…で、アレイ。」

「…ん?」

「いつまで食ってんだ!?30分くらいずっと食ってるだろ!?」

「もごっ…あぶぶぶぶ…」

「なんて言った?」

「んぐっ…食べないと食べ物に失礼。」

「……」

エレストは引いた。

幾らエレストといえどもアレイほど食べれない。

「でも、もう話は終わったみたいだし、これだけにしとく。」

そして、特大チャーハンを平らげた。

「どれだけ食えるんだよ…」

「まあまあ。よく食べることは良いことよ。さあ、クレイアのところに行くわよ、エレスト。」

「あ、ああ。」

三人はクレイアのところに行った。

「話は終わったみたいだな。」

「ええ。」

「この守人の妄想癖じゃない。最近変な組織が亜人国に現れ始めたらしくてな。」

「そうよ…ずっと魔力がそのせいで揺れているんだか…ら…」

「どうした?」

「普通、揺れないのよ。魔物如きじゃ。揺れるってことは攻撃を受けている。しかも大きな存在に。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...